漁書日誌 3.0

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6月の蝉の鳴き声

とにかく暑い。6月末に梅雨が明け、7月末かというような気候が続いている。木曜日、多摩センターの先の方に行ったらもう蝉が鳴いていた。

久方ぶりの学会発表などがあり、バタバタしていたら買った古書も記さぬままにいつの間にか7月になってしまった。色々と忘れてしまうので、覚えも兼ねて以下連ねて書いていきたい。

6月4日土曜日、城南古書展2日目に立ち寄り、ザッとみて以下2冊。

福田純一「純粋一等国民序曲」(誠文堂新光社)昭和60年7月3日カバ帯300円

別役実「赤い鳥の居る風景」(角川文庫)昭和49年8月20日初カバ150円

買ってから喫茶店で本を取り出してみていると、あれれ「純粋一等」の方は前にも買ったような記憶。羽良多平吉の書容設計が際立った本。

6月10日金曜日、まど展初日。普段であれば朝イチで並ぶ古書展ではあるが、今日に限っては無理であった。実は裁判員裁判裁判員の最終候補になったと裁判所から呼び出しがあり、初めて地方裁判所へ。40名くらいの中から6名の裁判員に選ばれてしまった。その後宣誓やら説明があって、まだ間に合うというのでそのまま夕方に古書会館へ向かい、1冊のみ購入。

上野葉子「葉子全集第二巻」(私家版)函欠1200円

6角形の造本で知られる「葉子全集」だが、今回端本であったので装幀参考資料として購入。著者は女学校の教師で、小説を執筆しており、この2巻には朝日新聞の懸賞小説に応募して佳作になったという「雑音の中より」を収録。面白いのは、冒頭に収録作品原稿の1枚目の写真が口絵として出ているのだが、本文1ページ目としてその口絵写真が用いられているのである。つまり原稿の写真の最後の文字が次の本文に続いているという具合。こんな作りの本は初めてみた。

6月11日土曜日、神奈川県立近代文学館でのドナルド・キーン展に赴く。三島由紀夫からの新発見書簡なども展示されていた。

週明け、注文していた雑誌「螺旋の器」第6号が届く。

おなじみ森開社の小野夕さん主催の雑誌である。今回はモンテスキウ特集第2弾。ネット告知のみ、直接注文のみなので見逃すわけにはいかない。

6月19日日曜日、お誘いがあって、六本木の俳優座劇場へ新劇交流プロジェクト公演2「美しきものの伝説」に行く。俳優座に芝居を見に来るのもだいぶ久しぶりのような気がする。渡辺美佐子が本公演で舞台生活を引退する由。松井須磨子役であった。

週が明けてから後、扶桑書房目録速報が届き、1点注文、それがすぐに届く。

広津柳浪「人」(金尾文淵堂)明治43年1月1日函欠7500円

元々は夫婦函に入った1000ページを越す分厚い角背上製本。今回は函欠。この本、蒼々園叢書と銘打っているが、この1冊だけの模様。奥付には特製の値段も記してあるので、別に特製があったのだろうか。「一段落」とタイトルを改めようとしたが既に印刷に入っていたから諦めた云々後記あり。新聞連載ものだろうか、分厚くて読む気が削がれるほどだが、考えてみれば漱石のものなども同じように分厚い菊判で、「明暗」と同じくらいの分厚さ。

6月24日金曜日、ぐろりや会古書展、初日。注文品はなし。会場をざっと回り、三島に関するエッセイが入っているので尾崎一雄のエッセイ集と、文庫を1冊。

尾崎一雄「四角な机丸い机」(新潮社)昭和49年1月15日初函200円

共同通信社編「東京あの時ここで」(新潮文庫)カバ200円

それから新刊書店へ行って、文庫などを購入。

6月26日日曜日、明治大学駿河台校舎にて日本近代文学会6月例会。ここで「三島由紀夫のエンターテインメント作品と方法意識」なる発表を行う。

論文の校正やら裁判員裁判やら発表での準備などでもうグッチャグチャであった状況だが、ようやく荷を下ろす形に。その反動か、欲しいなと思っていた新刊書籍をズバズバと買ってしまう。

7月2日土曜日、愛書会古書展2日目。目録注文品はなし。ザーッと会場を回るも、これといったものもなく、書き込み用に用紙がいい頃の「詩学」と、三島由紀夫「火宅」初演のパンフを。

俳優座創作劇研究会5パンフ300円

ボワロー「詩学」(岩波文庫)重版帯150円

「文学」特集・出版文化としての近代文学(1998冬)200円

俳優座パンフは党に持っているけれど、公演チラシ挟まっており。こういうエフェメラがたまに挟まっているのが面白いところ。

その後、武蔵小金井に移動して野戦之月公演「鯨のデーモス」を高架下の特設テントで観る。学生時代、風の旅団の公演には行きはぐっていたのでこれが今回初なのだが、アングラ的芝居と、旅回りのドサ芝居のような客席のへの浸透感とがいい具合にミックスされたちょっとみたことのないような芝居であった。

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ここのところ新刊書店で購入した新刊書籍。

発表用の資料本やらお勉強用の本などもあるが、新刊書籍だと以下のようなところ。このほかに、藤澤清造の随筆集も買わないとな、と。