金曜日は所用で窓展に参加できず、2日目の土曜日に赴く。強者どもが夢のあとで、ぺんぺん草も生えないような状況かも知れないが、まあ落穂拾いくらいはできるかなと夕方に会場へ。それでも50分くらい見て回る。
あきつ書店、かわほり堂あたりをじっくりと見ていく。ああこれは今度の原稿で使えるな、これはあれで…などという形で古書を買うのは少し残念というか、ただ欲しいで買うのとはまた少し違うニュアンスがある。で、結局購入したのは以下。
緒方維嶽「シルレル」(民友社)明治29年5月4日400円
竹越与三郎「マコウレー」(民友社)明治26年8月22日400円
岩本吾一「訂正増補 通俗男女造化機論」(金桜堂)明治20年11月27日500円
リー「日米戦争」(博文館)明治44年11月7日再版400円
民友社のは「拾貮文豪」のシリーズ。よく見かける本だけれども、ちょっと必要になり購入。造化機論のは装幀のために購入。クロスの表紙がそのまま帙になっているような造本なのである。前にも化粧の本でこういう造本のを買ったが、結構このタイプの装幀って明治期にはあったのだろうか。片方の爪が欠けている。
上田秋成「雨月物語 聴耳世間猿」(袖珍文庫)明治43年12月25日初版200円
上森健一郎訳「薫園秘話」(文芸資料研究会編輯部)昭和3年3月25日500円
日夏耿之介「吸血妖魅考」(武侠社)昭和6年9月29日函欠500円
「書物展望」昭和11年4月300円
薫園秘話は函がついていたのだが、よくみるとこれが違う本の函。同じ版元から同時期に出ている「性象徴に根ざす生命象徴」の函である。サイズはぴったり。日夏のは武侠社のお馴染み性科学全集の一冊。残念ながら函欠だが、まあこの値段ならばいいかと。そして「書物展望」は翻訳文学の特集。これすべて原稿用の資料として。
先日の趣味展も所用で行けず。神保町の古書展は久々だが、その間ネットやら何やらで古書は買ってしまっていた。以下、ここのところ買った本を並べる。
須永朝彦「天使」(コーベブックス)昭和50年9月20日初版函帯1211円
永井荷風訳「珊瑚集」(籾山書店)大正2年4月20日函欠4700円
林芙美子「わたしの落書」(啓松堂)昭和8年3月31日初版3060円
林芙美子「北岸部隊」(中央公論社)昭和14年1月1日初版809円
萩原朔太郎「郷愁の詩人与謝蕪村」(第一書房)昭和12年6月10日2刷カバ300円
新藤雄介「読書装置と知のメディア史」(人文書院)3999円
片岡真伊「日本の小説の翻訳にまつわる特異な問題」(中公選書)1791円
朔太郎のは地元の古本屋でたまたま見つけたもの。カバー付きの美本でこの値段ならば買ってしまうというものだ。他はネットで入手。須永朝彦や林芙美子は原稿用資料。須永のは同書の特装版の総革装があると思っていたが、事実は逆で、最初に総革装を限定本で出した後に多少収録作を入れ替えて普及版のこれを出したという。「珊瑚集」はもう20年近く前にこちらの表紙色ではない方(赤/赤、赤/クリームの2色がある)を買って持っていたが、これはちょっと面白い印が奥付にあったのでこれで何か原稿が書けるかと、こんな高価なものを買ってしまった。最後の2冊はお勉強用で最近出たものだがケチケチ古本で探して購入。趣味展には行けなかったが、結局は行った時くらいの出費をしてしまっている。しかしお勉強用を除き、どれもこれも「これは原稿に使える」というので買っている。純粋にただ欲しいとか読みたいとかで買う本がほとんどない。これでいいのか、とも思う。
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以下はここのところ献呈していただいた本。改めて御礼申し上げます。
白井敬尚「組版造形タイポグラフィ名作精選」(グラフィック社)
「近代出版研究」3号
大野露井「塔のない街」(河出書房新社)