漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

炎天下のヴィンテージ

ヴィンテージ・ブック・ラボ展も今回で3回目であろうか。昨年の同じ頃にかなりの注文をして買ったのを覚えているが、今はもうあんな注文ができない。なので目録の方には欲しいものがなかったのは幸いだった。

9時半ごろに高円寺駅着。ポカリを流し込みながら40分過ぎに会場へ。昨夜、熱中症らしき症状に悩まされたので、万全を期したつもり。ここは毎回そうだが、入場前の列は曖昧である。なんとなく列んでそのまま入場のような感じなのでなるべく外は見ずにそのまま列に着く。ふと下を見ると、ちょっと興味のある新書があったので、それを持ったまま入場。10時開場だが数分前に開けたと思う。入り口のカゴを持って真ん中の列にある盛林堂の棚へ。先日の残り分などがあるかと思っていたがないようであった。1冊500円。突き当たりの均一棚は、各書店による200〜400円棚。色々抱えていたが、よく考えてみるとこれ持っていたなというのもあり、どしどしリバース。すると同じようにリバースされたものがちらほら。あれこれと吟味。しかし暑い。場内、空調はあんまり効いてない?のか、汗がダラダラたれてくる。また荷物持ち込みなので、リュックの人などはバシバシ当たるし、なんとも。均一棚もなかなか興味深く、何冊か抱える。

ということで、お会計。

大正九年文章日記」(新潮社)大正8年11月20日函欠500円

井伏鱒二「なつかしき現実」(改造社昭和5年7月3日初版500円

佐々木信綱「短歌入門」(改造社昭和6年10月28日初版函500円

「文章日記」は嬉しい。未使用。実は今まで未所持だったので参考用に1冊は欲しかったもの。「短歌入門」は雪岱装幀。改造社の新鋭文学叢書は5冊くらいあったように思うけれど前から欲しかった井伏のがあったので購入。

羽太鋭治「キネマ・スターの素顔と表情」(南海書院)昭和3年5月28日初版裸500円

「講談雑誌」昭和9年1月号付録500円

羽太鋭治はこんな本も書いていたのか、と。「週刊朝日」連載をまとめたものだが、日活とのタイアップもののようでもある。本文中に精力剤やら羽太の性科学関係著書やら医院やらの広告がずらずらと入っていて、表紙のアルファベット表記といい、いかにも南海書院だなあと。雑誌付録の方は口絵ばかりを集めた経本のような製本。

木々高太郎熊笹にかくれて」(桃源社昭和35年5月25日初版函500円

吉村昭「少女架刑」(南北社)昭和38年7月15日初版カバ500円

木々のは確かハンセン病に絡んだ実際の事件をモデルにしたものだと何かで読んだことがあって、これはちょっと買っておこうかと手を出したもの。この書下ろし推理小説全集というのは初めて買ったのだが、四六判よりちょっと横広い絶妙な判型。「少女架刑」は帯欠。

三浦哲郎忍ぶ川」(新潮社)昭和36年3月3日初版カバ帯500円

三島由紀夫「目」(集英社)昭和40年8月20日初版函帯500円

三浦哲郎は初版だったので思わず買ってしまったけれども。「目」も元版(元の帯)。もちろんすでに持っているが前にこの10倍以上で買ったなあと。

柴田南雄「現代音楽の歩み」(角川新書)昭和40年2月10日初版カバ200円

遠藤鎭雄「かわら版明治史」(角川新書)昭和42年8月10日初版カバ300円

寺山修司「地下想像力」(講談社)昭和46年5月30日初版カバ帯500円

柴田南雄の本が外のガレージで抱えた本。「かわら版明治史」のみ盛林堂ではない書店での購入物。この辺の新書は面白いし中身もある。寺山のは持ってなかった本で、寺山が当初担当したミュージカル「ヘアー」の日本版台本収録。

須永朝彦「滅紫篇」(コーベブックス)昭和51年5月10日限定960部記番函帯500円

ラルボー岩崎力訳)「罰せられざる悪徳・読書」(コーベブックス)昭和51年6月25日初版函帯500円

そしてコーベブックスの2冊。須永のは特装版を、ラルボーのは後版を持っているのだが参考資料として。ラルボーのは今ではみすずブックスで出ているのではなかったか。南柯書局ででた後版は、池袋のぽえむ・ぱろうるで学生時代に定価で買ったものだ。

バークヘッド「恐怖小説史」(牧神社)昭和50年8月30日初版カバ帯200円

メーテルランク(杉本秀太郎訳)「ペレアスとメリザンド」(湯川書房)昭和53年5月10日初版カバ500円

「季刊 湯川」2号500円

皆川博子講演会録」(同志社ミステリ研究会)500円

「恐怖小説史」は安く買えてよかった。「季刊湯川」は持っていないので試しに。

まあしかし、買いも買ったりだ。会場で古書仲間に会ったので一緒にぎょうざの満州へ昼食へいき、その後、4丁目カフェで一服してから帰途。寝不足、炎天下で汗だく、重い、の三重苦。ヘトヘトであった。