漁書日誌 3.0

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夏も後半の古書

夏は高円寺まではグングンと突き進んだけれども、やはり今夏は猛烈に暑い。かなり気をつけていたはずだのに、今年は生まれて初めて熱中症的症状に見舞われることがあった。家ではダラダラしてしまうし、冷房の効いたファミレスに本を持参してゆっくり読書と以前ならそうしていたこともあったけれども、以前は24時間営業やら深夜2時までやらやっていたファミレスもコロナ以後は22時閉店(近所は遅くても22時閉店ばかり)で以前のようには行かなくなった。

で、夏の風物詩でもあったデパート展も、今や東京では元リブロ・三省堂池袋の古書展のみだろうか。たまに黒い本もあって面白いのだが、今回は2日目の夜に向かう。会場の棚の配置が今までとは全く違っていた。目録注文品もなく、ザーッと会場を回って2冊のみ。

清水徹「書物の夢・夢の書物」(筑摩書房)カバ帯500円

澁澤龍彦「夢の宇宙誌」(河出文庫)カバ200円

澁澤はちょっとチェックする必要があって、書き込みできる文庫本を購入。置き場所もないしなあと購入したのはこれだけ。

そして8月25日土曜日、しばらくぶりの紙魚展。2日目である。夕方に来てザッと回る。

クララ・リーヴ「老英男爵」(牧神社)初版函500円

ユリイカ」臨時増刊・澁澤龍彦300円

「老英男爵」は持っていたようななかったような曖昧な記憶だったが購入。実は読んだことがない。パラ読みしてみると、正字正かな遣いの擬古典的訳文だった。ゴシック・ロマンスだからそれに合わせたということか。この「埋もれた文学の館」シリーズ、リーヴにウォルポール、ルイスにベックフォード、そしてミルボー「責苦の庭」だ。みんなゴシックだと思うけれども「責苦の庭」もゴシック系だろうか。確か大学2年の時に「オトラント城綺譚」をたまたま公民館のご自由にどうぞコーナーで見つけ(捨て猫みたいに段ボールに入った本が屋外に置いてあった)嬉々として持ち帰り読んだなあと。その後「責苦の庭」を入手して読んだくらいか。「ヴァテック」は奢灞都版で入手して読んだし、ルイスとリーヴは未読なのであった。澁澤特集ユリイカは、若桑みどり「註のない文章について」を改めて読んだ。そんなことはどうでもいいが、2日目なので17時で閉場。神保町駅から半蔵門線で表参道まで出て、今度はビリケン・ギャラリーで今日から開催の寺山修司没後40年記念「田園に死す」展に赴く。

いわゆる寺山トリビュート展である。で、これを見てからせっかくここまで来たんだし、イメージフォーラムまで歩いて、ちょっと気になっていた映画「オオカミの家」を見てこようと思っていた。18時過ぎに劇場に行ってみると、18時半の回はもちろん次回のも全部売切れだという。立ち見でもいいと思ったが、鼻から立ち見席は用意していないとの由で、諦めて帰る。この人気で少し長めに上映してくれるだろうから、まあそのうち。

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扶桑書房目録で注文した本が届いた。

森鴎外「青年」(籾山書店)大正2年2月10日初版函欠4500円

長田幹彦「旅役者」(濱口書店)大正2年12月15日初版函5000円

以上2点。「青年」はなぜか今まで逃してしまい手に入らなかったもの。胡蝶本を集めるとはなしに集めているのでお安く函欠で欲しかったが今回のは状態もよく嬉しいところ。「旅役者」は代表的名作選集でも出ているけれどこちらの元版が欲しかった。函欠を買ったのは今から20年前。その前に、教育会館で古書展をやっていた時にどこかの目録に凾付7000円で出て注文したのに外れたということがあった。それから函欠を入手することができたが、その後は万越えで1度目録で見たような気がするけれど当時それでは手が出ないなあと思っていたものである。

夏目漱石吾輩は猫である 下編」(大倉書店)明治42年8月26日8版裸汚3000円

こちらはオークション落札品。上中下巻を合本したものは持っていたけれども、バラでは上中のみで下巻を持っていなかった。これでようやくバラで上中下巻が揃った。