漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

新学期の古書

とうとう4月になってしまう。収入も少なくなる反面出費も多くなるこの季節に、あいも変わらず古本を買っている。もちろん、その分生活はキツくなる。チビチビと古本を処分しているが、なかなか追いつくものではない。古書展もここのところ行く回数が減っているのだが、そうしたことが却って古書展以外での購入を促進してしまっているようなところがある。ここのところ購入した古書、まずはネットから。

川端康成「古都」(新潮社)昭和37年6月25日初版函帯付1601円

山田俊治「〈書くこと〉の一九世紀明治」(岩波書店)9000円

「古都」は前に買った重版は売却。こちらは初版。別に川端に興味が特段あるというのではなく、装幀に関してちょっと原稿用で欲しかったもの。山田俊治のはお勉強用。まさに欲しいところの本であったが定価が高い。分厚いわけでもない個人の論文集だのになぜ定価万越えなのだ。出たばかりで古書も出ないし。泣く泣く古本売却代金から1割引くらいのを購入したもの。

ミュンツェンベルク「武器としての宣伝」(柏書房)カバ500円

村上春樹「辺境・近境」(新潮社)初版カバ300円

中井英夫「星の不在」(南柯書局)夫婦函限定8000円

お次は仕事の帰りに立ち寄った街の古本屋で購入した本。「武器としての宣伝」はパルマケイア叢書の1冊、安かったので。村上春樹のは装幀で。迂闊にも知らなかったが本書は三方青染め。そして中井英夫のは、南柯書局の限定本ということで原稿資料用。8000円はかなりの出費だが、おそらく現在の相場としては最安値か、今逃したらこの値段で買えないかもといってしまった。中井もいい読者ではないのだが、南柯書局は詩歌以外だとあまり限定本を出していないのである。

松永延造「夢を喰ふ人」(京文社)大正11年11月30日初版函欠2500円

矢川澄子「架空の庭」(弥生書房)昭和35年8月30日カバ欠3000円

こちらは扶桑書房目録で注文したもの。どちらも外装欠だが、完本であればちょっと手が出ないものかなあと。「架空の庭」はいつかはと思っていたが、確か限定200部の自費出版だったと思う。野中ユリ装幀のカバーは欲しいところだが。

ベッカー「美のはかなさと芸術家の冒険性」(理想社)重版カバ200円

車浮代「春画入門」(文春新書)カバ200円

三田文学」昭和30年5月号200円

サファイア「バレエ読本」(思索社)昭和25年5月20日初版カバ500円

富田仁「フランス小説輸入考」(東京書籍)カバ500円

こちらは先週の五反田散歩展、初日金曜日の収穫。上の3冊は1階ガレージで、残りの3冊は2階の会場で購入したもの。「三田文学」は三島の「熊野」掲載。フランス小説…は持っていたと思うのだが入り用になった時に限って出てこないので仕方なく。バレエのやつの著者オリガ・サファイアは戦前来日して日本人と結婚したソビエトのバレエダンサー。昭和25年ごろ、それこそ川端の「舞姫」に描かれているようにちょっとしたバレエブームだったのか、本場の人間があれこれとバレエについて書いている本。普段なら買わない本だが、これの後版?重版?に三島由紀夫の推薦文?らしきものが掲載されるのだが、初版には掲載されていない。書評か何かの抜粋の可能性もあるけれども不明。

しかし扶桑は別としても、大きいのを2点も買ってしまっている。おかげで本当にゲルピンでどうしようもない。

これは先日イベントがあったので伺ったカフェ・ブーザンゴ。喫茶でもある古本屋というべきお店。人に誘われ「ヴィヨン全詩集」刊行記念のイベントに行ってきたのである。