漁書日誌 3.0

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秋口の残暑

連日30度越えが普通に続き、ここ数日でようよう20度代になってきたかという陽気であるが、とうに中秋節も過ぎている。なんだか真夏からすぐに真冬になりそうな嫌な予感もするが、それはそれとして古書は愛も変わらずに買っている。まずは扶桑書房目録速報から注文したものを。

尾崎紅葉「十千万堂日録」(左久良書房)明治41年10月25日初版函6500円

内藤千代「惜春譜」(牧民社)大正4年6月28日初版函欠6500円

紅葉のはもちろん函目当て。装幀資料としてである。この縦に入れる函は斎藤松洲装幀(思案の序文には松洲と協議したとある)。そして内藤千代子。この本は「内藤千代」名義であるが、2冊ある自伝的小説(?)のうちの一冊。縮刷で「生ひ立ちの記」と合本になっている本があるが置いておくならあちらでもよかったかもしれない。

M.H.ニコルソン「暗い山と栄光の山」(国書刊行会)初カバ帯1000円

木村勲「鉄幹と文壇照魔鏡事件」(国書刊行会)初カバ500円

これらは仕事の帰りに下北沢で途中下車してちょいと古本屋を覗いたらあったので購入したもの。前者はロザリンド・ウィリアムズの「地下世界」を読んだ時から目を通しておきたいと思っていたものでケチケチ安く探していた。

森田草平「縮刷 煤煙」(植竹書院)大正3年4月22日初版カバ欠痛500円

これはネットオークション落札品。後ろ見返しのノドが切れている。しかしこの縮刷の「煤煙」うちにはこれで4冊目か。拙著で述べたようにある時期からタイトルより「縮刷」の文字が消えて現代代表作叢書というシリーズ名がつくことになる。初版は赤いカバー。叢書に組み入れられてからは函装になるのだが、前に初版の凾付というのが古書として出てへえと思ったことがある。在庫分に函をつけたものだろうか。

で、9月29日(金曜)に翌日から開催される井伏鱒二展(神奈川近代文学館)の内覧会に誘われて行ってきた。あまり良い読者ではないが、これがなかなかいい展示で堪能。