漁書日誌 3.0

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本降り前に退避せよの趣味展

まだ梅雨にもなっていないのに気温が30度を超えた木曜日、翌日の天気予報は昼頃から雨、しかも本降りになるという。趣味展での重い重い収穫を雨に濡らしながら帰るのはどうにも避けたい。本降りというなら折りたたみじゃないほうがいいか、などと傘を持参して会場へ向かう。古書会館には開場15分前くらいに到着。そして開場。持参した傘はそのまま帳場で預かってもらった。

で、普段よりはお客は少ないような印象。扶桑書房の棚の前も押し合いへし合いは全くない感じ。なぜだか大佛次郎の著作とプロレタリア関係の本がどっさり出ていた。花袋「妻」初版函欠1500円とか子規「続俳諧師」初版カバー付1000円、天外「コブシ」カバー欠3冊揃重版2000円など抱えたが、結局棚に戻し。吟味の果てに最終的に購入したのは以下。

相馬御風「峠」(春陽堂大正2年3月18日初版300円

室生犀星「愛の詩集」(聚英閣)大正9年8月15日初版函欠1500円

中西伊之助「死刑囚の人生観」(越山堂)大正13年11月15日裸1000円

御風のは小説でおなじみ現代文芸叢書である。「愛の詩集」はもちろん感情詩社版の限定版ではなくいわゆる後版。こちらも恩地孝四郎装幀である。死刑囚の本は全く知らない本だが好奇心で購入。山田憲、島倉儀平、幸徳秋水、野口男三郎の人生観などが伝えられている。

小川菊松「商戦三十年」(誠文堂)昭和7年5月25日贈呈本背痛300円

岸田國士訳「にんじん」(白水社昭和8年8月1日函1000円

「秋」2号(昭和11年9月20日)200円

小川菊松の本は出版史を知るためにも数冊買って読んでいるが、この本は知らなかった。函は紙型をそのまま用いていて面白いが背革の革が痛んでポロポロ。奥付に「贈呈本」と印刷してあるのだが、どうも帰宅後にネット検索してみると装幀が異なるようで、贈呈用の特製といったところらしい。「にんじん」は別段今更買うこともないような本だが、ちょっと原稿用の資料になるかなと購入。1000部刊行で記番がある(他に25部が鳥の子を使用した本と若干の非売本があると記載)。岡本一平のイラストがユーモラス。菊版函入でどっしりした本は置き場所に困るのだが。そして「秋」はほとんど全集月報のような薄冊子なのだが、「季刊・小山書店だより」と銘打たれている。書店立ち上げの経緯など記されているんで参考資料として買ったものである。

林忠彦写真集「小説のふるさと」(中央公論社昭和32年4月25日初版カバ函800円

「本の手帖」(昭和40年1・2月)200円

ベリャーエフ「ドウエル教授の首」(創元推理文庫)重版カバ300円

横田順彌編「日本SF古典集成(2)」(ハヤカワ文庫)初版カバ300円

桶谷秀昭「昭和精神史戦後篇」(文春文庫)カバ帯300円

新谷ひろし「寺山修司の俳句」(暖鳥文庫)カバ平成18年1月15日400円

林忠彦の写真集は部分的にコピーで持っていたが、かなり状態もよく千円以下ということもあって買ってしまった。印刷も今は再現できない粉っぽい白黒写真で三島「潮騒」やら谷崎「月と狂言師」なども入っている。「本の手帖」は「作家と画家の交流」特集。SF古典のは、これの1を大学生の時に古本屋で見つけ買って読んだ記憶があったからである。

レーンドルフ+トリュシュ「ヴェルーシュカ」(リブロポート)昭和62年12月10日カバ700円

こちらは先々週の愛書会の会場を閉店近くの時間帯に見つけ買ってみたもの。パフォーマーが風景に擬態するような写真の写真集。ソンタグが序文を書いている。

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5月8日(月曜)にアルカディア市ヶ谷にてで開催された「三島由紀夫研究会」で講演をさせてもらいました。

そして最近買った新刊書。