漁書日誌 3.0

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半年振りの高円寺

3月4〜5日開催のVintage Book Lab.展初日のために西部古書会館に行く。前回が8月の頭だったんで、ちょうど7ヶ月振りか。高円寺に来るのもそれ以来である。と書いたが、いやいや先月芝居のついでに中央線古書展に来たのを忘れていた。

10時40分ごろ高円寺に着いて会場に赴くと、すでにガレージ部分は開放されわしゃわしゃと本をあさっている客でごった返す一方、入り口になんとなく入場のための行列ができていた。今更でもあるしと列に並ぶ。

10時になると開場して先頭集団がワッと雪崩れ込んだが「これ荷物預け大変なことになるのでは」と思いきや、荷物預かりは無しという。全品500円均一である盛林堂の棚へ。黒っぽい?ものや仙花紙本が並んでいる手前の棚は人がダマになってとても見られないので、奥の方から見ていく。

『黒魔術の手帖』初版函付の美本など、これが500円かと思うとすでに持っているのにも関わらず悔しくてカゴに入れてしまうが、買ったところで置く場所もないと棚に戻す。そういう本が5〜6冊あった。

室生犀星の『肉の記録』の状態の悪い裸本が2冊あり、綺麗めの方を選んだのだが、そこに扶桑書房のタスキが挟まっており、20ページ近くの落丁の旨記されていた。それはなあともう1冊の水シミが酷い方を選んだが、こちらも後からみると扉が欠であった。鴎外の『うた日記』も抱えていたが扉欠。元版で背に欠損のある『珊瑚集』は奥付欠。500円なりの状態だが、これは持っていなければ買うなあと思う。他に井伏鱒二の元版が結構並んでいたのが印象的であった。

しばらくして他の参加書店の棚も見にいくが、オッと思って手に取って6千円とかの値付けがされていると、500円棚との落差の感覚でサッと元に戻してしまう。1時間くらいしてからだろうか、改めて500円棚を見ていくと、リバース分がちょろちょろ。最終的にここで戻すものを戻してお会計。

菊池寛「啓吉物語」(玄文社)大正13年2月18日5版凾付美本

室生犀星「肉の記録」(文化社)大正13年3月25日初版函欠痛水シミ

西条八十「孝女白菊」(「少女倶楽部」昭和8年10月号付録)

菊池寛のは表紙に芥川の句が印刷されているもの。同じ5版凾付を持っているが美本なので差し替え用。

大宅壮一「ヂャーナリズム講話」(白揚社昭和10年3月5日初版函付

リラダン(斎藤磯雄訳)「(続)残酷物語」(三笠書房昭和15年7月15日初版函欠

大宅壮一のは論文資料用。リラダンは、奥付に書名なく表紙にSUITEとあるのを気づかず買ってしまったが、後記を読んでいてああこれはあの2冊本の続編か、と。トリビュラ・ボノメと取り違えていた。装幀資料用。

「書祭(地)」(書物展望社昭和15年1月20日特装函

「書祭(人)」(書物展望社昭和15年5月18日特装函

これでようやく「書祭」の天地人特装版3冊が揃った。天の巻奥付には限定●部という記載がなく番号だけあって何部出たものだと思っていたが、地人の巻には奥付にちゃんと特装限定100部と記載があった。で、ここで買った2冊はともに記番が1番。会場にあった天の巻もおそらく1番だったろう。どうせなら揃えればとも思うが持ち帰りが大変だと1冊残してきてしまった。

三島由紀夫「創作ノォト」(ひまわり社)昭和30年7月25日帙付録

三島由紀夫林房雄論」(新潮社)昭和38年8月30日函

プルースト窪田般弥訳)「画家と音楽家たちの肖像」(コーベブックス)昭和49年冬函

三島のはもちろん両冊とも完本で所持しているが、安いため。両方とも函が踏んだように潰れている。創作ノォトは汚れもあるが一応付属品は欠けていなかったため。

池内紀「天狗洞食客記」(コーベブックス)昭和51年11月30日函帯

バタイユ生田耕作訳)「聖なる神」(二見書房)平成8年6月25日初版函函カバ

岡井隆伊太利亜」(書肆山田)平成16年2月25日函

コーベブックスのは近代文学逍遥というシリーズもので、これは牧野信一の巻。これは何冊か持っているが和紙を使った素晴らしい造本。バタイユは無削除完訳版。学生時代だったか、翻訳原稿1枚付のピンクの函にたとう納めの限定本を買って持っていたが、金欠で売却したのでいつか安く見つけたら買っておくかと思っていたもの。岡井隆のは横綴じ本を函に縦に入れるもので装幀資料用として。中身も横書きの短歌という実験的なもの。

寺山修司・薄奈々美「カタツムリの笛」(サンリオ)昭和54年5月25日初版カバ

上村一夫「一葉裏日記」(小学館)昭和61年5月10日初版函

矢川澄子野溝七生子というひと」(晶文社)平成2年1月20日初版函帯

寺山の絵本は、メタ展開のストーリーでこれも前から安く探していたのでちょうどよかった。上村一夫は、まあ文芸もの、ということで。

500円だしと気を許してしまって、かなり買ってしまった。重い。古書仲間を誘い西部古書会館近くのぎょうざの満州でランチをした後、4丁目カフェでお茶して帰途。本当は、愛書会古書展にいく予定だったが、重いし、くたびれたので予定変更である。

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ここ最近、献呈していただいた本を紹介。

ありがとうございます。