漁書日誌 3.0

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2月の窓展

窓展。今年最初の窓展である。ということで、いつものように開場15分前に古書会館に向かったのだが、バスが遅れ電車も遅れ、いつも通りきたのにも関わらず会場到着は10時3分くらいに。

まずはあきつ書店の棚へ。かなりの混み合い。なんだろう、趣味展の扶桑書房の棚よりもマナーの悪い爺様が多い印象。慣れてはいるが、自分のペースで突っ込んでぶつかってくるのはやはり少し苛立つ。いくつか抱えながらも、他の書店の棚を回る。

いつものことだが、なぜか今日は眠れず寝不足がひどい。昼過ぎには会計して、友人とお茶して帰る。

で、会場で買ったものは以下。

溝口白羊「不如帰の歌」(岡村書店)明治42年9月25日44版800円

高山樗牛「滝口入道」(春陽堂大正2年11月1日18版300円

上田貞治郎「魔法的写真術」(上田写真機店)大正9年8月13日3版300円

「魔法的写真術」というのは正直、タイトルに惹かれて購入。「趣味深き写真術」要は写真テクのこと。どうも輸入書の翻訳のようでもあり挿絵などが海外っぽい。写真叢書の第3編。「不如帰の歌」はとうに所持しているが、奥付を見てみると「発行所」の記載はない代わりに「発売所」として三つの書店が記されている。その一つに東京堂書店がある。これって大正時代に書籍商組合ができる前の「特約販売」ということだ。つまり販売している小売が制作資金出して一手に売り捌く本。

荒江啓「真珠の夢」(宝文館)昭和4年7月10日7版函欠背欠600円

柳原白蓮「指鬘外道」(大鎧閣)大正10年11月5日5版函欠300円

長谷川伸「一本刀土俵入」(日本小説文庫)昭和10年3月10日12版300円

「真珠の夢」という本は全然知らなかったが、スモーキーな水色羽二重に銀と薄桃色の箔押し、白クロスの継表紙。装幀は衣川美鈴。カラー口絵ほか挿絵入り。「指鬘外道」も凾付を持っているが、表紙模様が異装。口絵は夢二。それから長谷川伸は、小林秀恒の挿絵入り。

久保田万太郎脚色「鵙屋春琴」(劇と評論社)昭和10年8月1日記名200円

民間情報教育部編纂「国体の民主化とは」(社会教育聯合会)昭和22年9月1日改訂版」300円

「鵙屋春琴」は前に綺麗なのを2000円で買ったが、200円だったので悔しくて購入。ただ記名のところに購入日が記してあり昭和10年8月15日に買ったようだ。もしかしたら劇場で売られてて観劇ついでに買ったのかも。「国体の民主化」はCIE発行。占領期資料。

新橋演舞場」10月号(松竹)昭和24年10月3日110円

「アートシアター」122(日本ATG)昭和51年7月17日300円

日本オペラ協会公演「春琴抄」パンフレット100円

ATGのは「金閣寺」の。持ってるが安いので予備にと。それから「新橋演舞場」は筋書きで、昭和24年10月の。谷崎原作、久保万脚色の「お艶殺し」。10月号となっているが、当時雑誌形式だったのか。

三越のあゆみ」(三越本部総務部)昭和29年11月1日函挨拶状付600円

「游魚」7号、8号、各200円

三越のは呉服店時代から明治大正の展開がわかる資料として。「游魚」は何冊か持っているが、5〜6冊が1冊200円であって逡巡したが重いので2冊だけ。

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石丸梧平「小説家志願」(大阪屋号書店大正13年5月1日初版函1500円

これは前々からちょっと欲しかった本で、古書展とは別に日本の古本屋経由で注文したもの。蕗谷虹児装幀。明治大正期の小説家表象の参考資料である。が、買ってみたらどうも著者の自伝的小説であった。