vintage book lab.展、初日である。うちからは御茶ノ水よりもかなり遠いので、いつもの趣味展などよりも早く出なければならない。今日は暖かいと天気予報。いつだったか、昨年か、汗だくななった記憶がある。ということで、ヒートテックにパーカーのみという恰好で向かう。会場には9時45分過ぎくらいに到着。ガレージはけっこうごった返しているし、本を見ずに並んでいる列もある。

盛林堂は毎回棚の写真を前日にアップするのだが、今回は今朝であった。電車のなかで写真をよく見て、拡大し、これは欲しいなというような本にあたりをつけておく。そして10時、開場。今回は手荷物は預けたい人は預ける形式。趣味展などでは大きく頑丈なポーターのトートを持参しているが、今回はウエストバッグのようなショルダーのみ。そのまま目をつけていた棚を見ていく。写真では気が付かなかった本もあり、開場2〜3分で一気に盛林堂の棚の前は芋洗状態になっていたが、目をつけていたものは幸い、全部手に取ることができた。カゴの中を一旦整理して、改めて見る。ほとんどのものが1冊500円(なかには200円のもあった)。例えば、「青狐」の削除部分がコピーで補われているもの、とか、「鬘下地」口絵欠重版本とか、傷んだカバーのついている「続俳諧師」とか、手に取ったりしたがやはり置き場所を考えると買っていられない。それでもけっこう予算をオーバーしそうで、あれこれと棚に戻す。注文品も当たり、これかなというものを帳場に預け、11時半過ぎに一旦食事に出る。ぎょうざの満州でタンメン餃子セット。その後、商店街の100円ショップに赴き、布製のトートバッグ300円を購入。一服してから会場に戻る。
注文品を出してもらい、署名を確認。お会計。買ったものは以下。

森鴎外「分身」(籾山書店)大正2年7月5日初版裸500円
世界短篇小説大系「仏蘭西編(下)」(近代社)大正14年8月25日裸200円
田中純一郎「宣伝ここに妙手あり」(四季社)昭和33年12月15日初版帯200円
西村みゆき「眠れないの眠らないの」(荒地出版社)1960年6月10日初版函帯500円
西村の本は前にもここで買ったけれどもピンピンに綺麗な本だったので買ってしまった。盗作疑惑の変な本というだけだが。田中純一郎はあの映画研究者の田中だと思うが、これは内容がちょっと面白く読んでみたくて。「分身」は本来「走馬灯」と2冊セットで函に入っている本。短編集。世界短編小説大系は。矢野目源一訳のシュオッブ、バレス、アポリネールなど、ちょっとマイナー系の翻訳があれこれ入っていてデカくて重いし買いたくなかったが仕方あるまい。

稲垣足穂「ライト兄弟に始まる」(徳間書店)昭和45年3月15日初版函帯500円
澁澤龍彦「ヨーロッパの乳房」(立風書房)昭和48年4月15日初版函帯500円
澁澤龍彦「思考の紋章学」(河出書房新社)1977年5月25日初版函帯500円
澁澤龍彦「異端の肖像」(桃源社)昭和52年12月10日初版函帯500円
澁澤なんてキリがないのだけど、70年代の函入本はまあいいかと。異端の肖像新装版とか思考の紋章学とかヨーロッパの乳房とか、このあたりは帯のない重版本をかつてこの4〜5倍の値段で買ったものだ。

ラング(生田耕作訳)「書斎」(白水社)1982年9月22日初版函500円
グリアースン(日夏耿之介訳)「近代神秘説」(牧神社)1976年6月30日初版函帯500円
どちらも持っている。「書斎」は所持本が背焼けなので交換。この本は2刷も出ている(のちに新装版としてカバー装本も)。「近代神秘説」は擦れているのが多く、前に30円とかでマケプレ購入したものを持っているが、これで帯付きに交換。交換用ばかり買ってもしょうがないのだけれども。

角田喜久雄「虹男」(雄山閣出版)昭和37年6月10日カバ欠500円
寿岳文章「和紙落葉抄」(湯川書房)昭和51年12月20日初版函帯500円
土方巽「犬の静脈に嫉妬することから」(湯川書房)昭和51年2月25日函500円
「少々自慢この一冊」(EDI)2001年5月31日カバ500円
「虹男」は後版だし買わなくてもよかったかも。土方巽のは掘り出しものか。叢書溶ける魚シリーズの1冊で限定300部記番。寿岳文章のは湯川本で持っていたいところだが、500円で帯付かつきれいな本が欲しかったもの。

森村誠一「人間の証明」(角川書店)昭和52年3月5日14版総革装天金署名500円
塚本邦雄「緑珠玲瓏館」(文藝春秋)1980年2月15日初版函帯500円
ルーセル(岡谷公二訳)「ロクス・ソルス」(ペヨトル工房)1987年5月24日初版函帯500円
塚本のは千円以下で欲しかった本。「ロクス・ソルス」は大学1年の時に買って当時読んだものだが、資料として必要で、最近書架でいくら探しても出てこない。学生さんにあげてしまったかもと安く探さなければと思っていたところであった。

「血と薔薇」2号500円
「血と薔薇」3号500円
「幻想と怪奇傑作選」(新紀元社)2019年11月4日カバ500円
「血と薔薇」ワンコインならいくらでも。創刊号はなかったが、ちょうど先日創刊号を別の古書展で500円で購入したばかり。これでワンコイン揃いができる。そして悲しいのが、所持本の「血と薔薇」よりも綺麗であったこと。今でも憶えているのは、大学1年の時に江古田の落穂舎で今回のより汚れた3号を6000円だして買ったことである。当時それが一番安かったのだ。仕方ない、きつかったが工面して買ったものである。それからバラで集めてようよう揃えたのであった。もう昔話だが。「幻想と怪奇」は実はまったく縁のなかった雑誌なのだが、ちょっと資料用に必要になって元版は集めている。これは紀田順一郎らの回想なんかが収録されているため。

龍膽寺雄「塔の幻想」(奢灞都館)1978年7月24日函署名3300円
今回の注文品。函は汚れているが本体は綺麗で署名は万年筆署名。この本への署名本は今回初めて見た。すでに持っているもう少し状態の良い函のものと中身を差し替えて保存用だ。
お会計してもらってから、喫茶店へ行きそこで布製トートに本を入れ替えてから帰途。しかし、今回半分以上すでに持っている本というのがやりきれない。往時に比べれば何分の一と格安のうえにコンディションもいいから入れ替え用だとはいえ、バカバカしいくらいである。まあ学生時代に夢中になっていた幻想文学やら澁澤生田系はちょいと書きものの資料として必要になっていて、こんな次第になっているのだが。
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昨日、2月27日はぐろりや会古書展。終わり20分くらいに会場に到着、ザーッと見て回って購入したのが以下。

関義「展覧会の絵」(前衛社)1971年9月15日初版函帯500円
これは帯にだけ「稲垣足穂推奨」と記してある。まあ帯がついて綺麗なのがごく安くあればと思ってもう20年経過しただろうか。ゾラとかアラゴンなんかを訳している著者の創作集。まあでも、あくまで「推奨」というだけだし、どんなものか。
そして以下はネットで購入してしまったもの。

萩原朔太郎「氷島」(第一書房)昭和11年5月25日再版函痛7980円
初版函付も再版裸本もすでに持っている。この再版の函が欲しかったのである。函といっても表紙と同意匠なのだが。背は傷んでいるし焼けもあるがまあ、いちおうこれで函付で初版再版が揃った。本体は所持本の方がマシだったので入れ替えだ。
しかしこのいろいろと出費がかさむ季節に、こんなものばかり買って、浪費する余裕はかけらもないのだが、まあ買うことによって精神的健康を維持している面も否定できないかなあと。