漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

春一番的な窓展+3月末

春一番の正確な定義は知らないけれども、昨夜も今日もどこか生暖かい強風。雨も止んだ朝、しかし午後からはまた降るという。窓展だということで、朝イチに向かうが、ほとんど眠れなかったというのもあってダラダラ向かっていたら電車を逃し、結局会場に着いたのは開場5分前。まずはあきつ書店の棚に向かう。白水社の「演劇」がドサっと1冊100円があったので一応抱えてみたが、そこから帯のついてる号1冊のみ取ってあとは棚に戻す。それから会場全体をザーッと回って、友人とお昼にうどんを食べにいく。雨は降ったり止んだり。食後に一服してから東京堂を覗くも「近代出版研究」2号はまだ入荷していないという。友人と別れ会場に向かい、改めてリバース分を見ていくと「多情仏心」凾付が。むかし函欠本を買って持っているはずなんだけど、そして雨だしできれば嵩むものは買いたくなかったが、函はないしと抱える。最後にあれこれ吟味してお会計。

里見弴「多情仏心 前編」(新潮社)大正15年2月20日13版函400円

   「多情仏心 後編」(新潮社)大正15年2月25日10版函400円

小村雪岱装幀。見返しが多色刷木版画。本体表紙は鮮やかな橙色。前に買ったのはもう10年以上前だが、あれ初版だったか覚えていない。

「小学唱歌集 第三篇」(大日本図書)明治18年5月再版300円

明石海人「白描」(改造社昭和14年7月18日14版300円

唱歌集」は前に第1集と2集を買って持っていたので。奥付は整版印刷で明治18年とあるのに傍にスタンプで「昭和三年度臨時定価」とある。これ前にもこの本について書いた時に記したがどういうことなんだろう。明治18年からずっとこの和綴・整版を使ってきて改めて奥付だけ整版を作り直すのではなく流用しスタンプで済ませているということなんだろうか。こんな和綴・整版なんか使わずに普通の冊子として印刷製本した方が楽だろうに、なんで昭和に入ってまでもこんなスタイルにしているんだろう。「白描」は前に塚本邦雄生田耕作の対談を読んで頭の隅にあったのでまあ300円ならと。岩波文庫でも出ているようだ。

コクトオ「僕の初旅世界一周」(第一書房昭和12年5月20日初函500円

松本清張「小説日本芸譚」(新潮社)昭和33年6月20日初カバ帯500円

コクトオのこの本は凾付で安く欲しかった。コクトオが来日した時に鏡獅子を見て、巨大な筆で中空に詩を書いてると語った云々って確かこの本のはず。清張のはガンダレ的カバーのため。

「群像」昭和28年6月15日臨時増刊100円

「演劇」昭和26年8月100円

「文学界」昭和36年2月200円

「演劇」は帯的紙片がついているため。雲の会の雑誌で集めているもの。「群像」は「群像誌上原稿展」というグラビア特集のため。三島由紀夫「禁色」のほかあれこれの「群像」掲載作の原稿写真がズラッと紹介されている。そして「文学界」だが、これは大江健三郎「政治少年死す」初出。この「文学界」とか「風流夢譚」掲載の「中央公論」とか、少し前までは6千円くらいしていたような気がする。もちろん海賊版以外では読めなからだが、今では「セブンティーン」は「大江健三郎全小説」に収録されたのでプレミア的な価値はもうないのかもしれない。

で、会計を済ませて再度東京堂を覗くと入荷していたんで購入。

 

************************

そして以下は最近買った古本など。

武田麟太郎「好色之戒め」(文圃堂書店)昭和10年12月14日函310円

瀧口修造「余白に書く」(みすず書房)昭和41年5月30日ビニルカバ函4000円

両方とも装幀資料で落札品。武田麟太郎の随筆集は横長の和綴本を夫婦函に納めるという造本で前から凾付を探していた。瀧口のは安くはない買い物だが、著者名とタイトルが印刷してあるビニルカバが劣化で縮んでカバーと表紙に大きな皺ができてしまっている。薄い硬質ビニルという感じの素材だが、印刷部分もあるから捨てるわけにもいかないし困る。限定1500部記番で40番までは署名入りで紙質が異なる由。

第2回莟回筋書1000円

これは歌右衛門の勉強会公演の莟回の筋書。この公演で三島由紀夫歌舞伎舞踊「熊野」が初演されたのでずっと探していたもの。他の回は見たことがあるのだが、第2回のは探し始めて約20年目にしてようやく。

これは3月31日に幡ヶ谷に見にいった三島由紀夫の「班女」の公演。手に台本を持っての上演で、台本を持たずに違うキャストでの英訳上演も併演していた(英訳の方はキーン訳なのか?わからないけれども、セリフを結構端折っていた)。