漁書日誌 3.0

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師走の窓展

パリに行っていたので趣味展には行けなかったが、窓展はということで、いつものように会場15分前くらいに古書会館に到着。いつもに比べると、多少人が少ない感じ。10時開場。

で、ザーッと見て行くが、今回は抱え込む本はあまり多くなかった。その代わりといってはなんだが、雑誌があれこれと。「書痴往来」や「愛書家クラブ」など1冊200円だったので、ポツポツ棚から引き抜いていたら、けっこうあるではないか。1号から12号まであったが、どうしても9号がない。先に買われたか、それとも棚にまだ埋もれているのかと徹底的に探したが、ない。あとで喫茶店で一服しながらパラパラ見ていたら、中にむかしのタスキが挟まっていて、9号欠11冊揃15000円とあった。そんなにするものか。以下、今回買ったもの。

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北原白秋「白秋小唄集」(アルス)大正12年12月15日32版凾200円

柴田芳水「紅葉の著書から」(大盛堂書店)大正11年6月15日初凾欠300円

白秋の方は恩地孝四郞装幀か。これが凾付で200円は嬉しい。小さい判型だが、表紙は5ミリくらいの厚さがあり、赤の絹張りに箔押。「小唄」といった時のイメージをモダナイズしている装幀。そして今回一番嬉しかった収穫は実はこれ「紅葉の著書から」。「紫」「隣の女」あたりから「金色夜叉」「多情多恨」までの紅葉作品梗概本。これ1冊で読んだ気になれる本。

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山崎一芳編著「マッカーサー元帥」(丹頂書房)昭和20年12月1日初200円

村上信彦「出版屋庄平の悲劇 上巻」(西荻書店)昭和25年7月8日初版300円
 室生犀星「蜜のあはれ」(新潮社)昭和34年12月5日初版凾200円

マッカーサー」のは日本側が企画執筆したという体裁になっているが、占領政策に一環かしら。ともかく戦後資料。村上信彦のは出版史資料として読むつもり。ただ下巻がない。探すか。ちなみに村上信彦は村上浪六の子息。

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中央公論」明治45年2月400円

「本の虫」創刊号300円

中央公論」は谷崎潤一郎「悪魔」初出。初出は現行テキストとラストが違うのです。「本の虫」は「愛書家くらぶ」を改題してのリニューアル創刊号。発禁本「ふらんす物語」の種々の伝説について検証している面白いエッセイあり。この元になっている「愛書家くらぶ」は場にほかにあったが買わず。

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「書痴往来」1〜12、9号欠の11冊、各200円

齋藤昌三主宰の雑誌。この他に13号、14〜16を1冊にまとめた号があるという(13号には特装50部本あり)。これは復刻もないが、小冊子とバカに出来ず、中身にはなかなか興味深いエッセイが収録されていたりする。雑誌といえば、お次もそう。

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「寿多袋」第6号、24号、26号、各300円

趣味雑誌。古書目録などでその名前を見聞いてはいたが、実物を購入するのは初めて。まあ参考にとたまたま棚にあったものを購入。なかは謄写版刷りで、写真、宝くじ、舟券、展覧会の半券等々が実際に貼付され、雑多な趣味的なものとなっているが、田中冬二の原稿などもあり、興味深い。

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竹中郁「動物磁気」(尾崎書房)昭和23年7月1日カバ欠1000円

これはネットオークションで落札。紙質はあまりよくないが、造本、装幀にスタイリッシュな魅力がある。カバーは表紙と同柄なのでなくてもかまわない。