漁書日誌 3.0

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師走の窓展

さて、窓展である。いつの間にやらもう12月、窓展も年内最後である。開場10分前に古書会館に到着。ひとりひとり熱を計測してから入るので、やはり時間がかかる。まずはあきつ書店の棚へ。ザーッと見てから、会場をぐるりと見ていく。お昼に古書仲間とうどんを食べに行き、喫茶店で一服してから会場へ戻り、さらに漁ってからお会計。

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伊東橋塘「鳴渡雷於新」(中礼堂)明治23年3月11日印刷背改装200円

斎藤緑雨「あられ酒」(博文館)明治32年2月9日再版裸300円

尾崎紅葉「多情多恨」(春葉堂)明治36年9月30日7版函欠1500円

「多情多恨」は以前初版函付を持っていたのだが、金欠で売却してしまい、それを埋め合わせるように重版函欠汚本を買っていた。でも流石になあと言うので、今回大きいのはないしと買ってしまった。

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堀口大学訳「マリイ・ロオランサン詩画集」(昭森社昭和11年6月1日限定函欠痛800円

丘汐絵「憂恨の湖」(宝文館)昭和11年9月5日6版函付200円

手札ガラス乾板写真ケース入500円

「ロオランサン」は限定700部(内100部は和紙刷)。特にこれというわけではないのだが、後ろ見返しに大きく「1946.12.15 ETSURO」とあり、このETSUROという筆跡が鈴木悦郎っぽいな、ということで購入。なんら根拠はないのだが直感で。それと、「憂恨の湖」は「令女界」常連投稿者の遺稿集。清水澄子の「ささやき」と造本、装幀も似ている。それからまたガラス乾板は初めて買ったもの。参考資料として。若い女性と母親(乳母?)か。

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「新聞雑誌付録」(明治6年7月)600円

「興民新誌」(明治11年2月27日)200円

中央公論」(大正2年5月)300円

中央公論」(大正6年11月)300円

中央公論」(大正8年5月)300円

お次は雑誌。上から二つは参考資料として。「中央公論」は谷崎の作品初出ということで。既に持っていたかもしれないが。大正期のが300円ならまあ安い。

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ロベール・ブラジヤック「七彩」(PLON)1965、300円

俳優座」パンフ100円

映画「テオレマ」パンフ200円

ブラジヤックの原書はリーヴル・ド・ポッシェ版。よくある文庫版みたいなものだが、生田耕作旧蔵(生田蔵書印と奢灞都館主蔵と手書)で300円ならまあと。フランスの出版の世界については全くの無知だけども、コラボ作家の戦前作なんてのは60年代でも普通にこういうペーパーバックで普及していたのねと思ったことであった。コラボ作家というだけで戦後はパージされているような幻想を抱いていた。これ、国書刊行会から出た翻訳書は持っていたな。

それからこれはネットで注文していた古書。

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安藤貞之「樋口一葉を世に出した男 大橋乙羽」(百年書房)2185円

去年出た本で、編集者としての側面を含めて乙羽を論じたもの。限定500部という。昨年でた時からちょっと目をつけていた。