漁書日誌 3.0

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城南展、ほか

城南古書展が、今回を以て休会だという。実質終わりということだ。高齢化とか色々と理由があるのだと思うが寂しいものである。

で、金曜日に行けなかった城南展、2日目の土曜日にちらと覗く時間があった。ザーッと回って、2冊。

それから御茶ノ水駅に戻り、一路高円寺へ。西部古書会館での中央線古書展。高円寺に来るのは夏以来だから半年ぶりか。ザッとだけ見て文庫を2冊。

で、城南展、中央線展で購入したもの。

ルポルタージュと生活記録」(日本機関紙協会)200円

上田博他編「明治文芸館4」(嵯峨野書院)100円

久松真一「茶道の哲学」(講談社学術文庫)200円

秦孝治郎「露天市・縁日市」(中公文庫)200円

上記2点が城南展。ルポルタージュのは刊記なしの小冊子。1950年代の左翼芸術の記録芸術関係の資料になるかと購入。

その後、座・高円寺へ向かう。高円寺を環七側に行くのも20年ぶりくらいか。実は座・高円寺に行くのは初なのである。おおというくらいに整備された綺麗な劇場。今日はここに、アポロの杯公演「船の挨拶・灯台」を観に来たのである。

アポロの杯公演、三島由紀夫作「船の挨拶」「灯台」@座・高円寺2。

「船の挨拶」は昨年艤装会社の寮を使った上演を観たが、今回はある程度間口のある劇場での上演、どうしてもスペースが空くが、上手に舞台を、下手にはブラインドを下げて、チェロの生演奏(蝶が入ってきたシーンのみ)とカゴに小豆を入れた波音の効果音などをその場でやるという処理。ただチェロの演奏音はちょっと大きすぎたかもしれない。一方「灯台」は、奥に夫婦の寝室があるていでベッド的オブジェ、手前に2つベッド的オブジェ。俳優はなかなかの熱演で、戯曲ではあくまで会話で進められる昇といさ子だが、今回は手を握ったりあわやキスシーンというような感じのかなり突っ込んだ演出がなされていた。現代の観客にもわかりような演出ともいうべきか。衣装など細部もいいもので面白く観た。

実はパンフに寄稿しており御招待だったのだが、そういうこととは関係なく良質の成果だったと思う。

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そういえば、先日届いた扶桑書房目録速報での注文品。

堀口大学詩集」(第一書房昭和3年6月15日総革三方金スレ函4500円

泉鏡花「薄紅梅」(中央公論社昭和14年10月28日函痛スレ4000円

大学詩集は第一書房の総革装特に天小口に装飾のある本が欲しかったため。雪岱装幀の「薄紅梅」は未所持だったし、やはりこの清方の口絵のある本は前から欲しかった。美本ではないがこの値段ならば大満足。

天小口の装飾とはこれのこと。大学詩集は奥付にも初刷〇〇部などの記載がないが定価6円はかなり高額だと思う。小口の金へのこうした装飾や、表紙のチリ部分への装飾が施された近代文学書はあまり多くないと思う。第一書房の革装本については、革質だの製本だのについてあれこれ言われることもあるが、まあ第一書房の装幀本がなかったら、こんなに装幀に興味を持っていなかったかもしれない。