漁書日誌 3.0

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11月にしてようやく秋

晩夏と記したけれども、一昨日などは11月だというのに26度。予報では今日の雨以降、例年のように季節通りの温度になるという、傘を持参して古書会館へ向かう。会場15分前くらいに到着したがいつものように長蛇の列。そして開場。

扶桑書房の棚へ。今日は昭和以降の佐藤春夫、それから与謝野晶子の中期以降の本が多かったような印象。一通り見て、カゴに入れた本を選別してすぐに戻す。そして会場の他の棚を見ていく。今日はなんというか、あれもこれもというのが少な目であった。

昇曙夢訳「毒の園」(新潮社)明治45年6月25日初版裸300円

ジイド(竹内道之助訳)「イザベル」(日本限定版倶楽部)昭和9年11月5日限定裸1500円

永井荷風訳「珊瑚集」(第一書房昭和13年3月25日初版函1000円

まずは翻訳。「毒の園」は今は岩波文庫になっているけれども、学生時代欲しかった一冊。00年代初頭は裸で(元版、後版どちらも)6000円くらいしていたし、あんまり見かけなかった。目録で3回くらい注文して毎回外れた覚えがある。本来は凾付。そして「珊瑚集」は籾山書店の元版もあったが、所持しているのでこちらを。ちょっと近代文学における翻訳物については来年以降必要になるので参考資料である。そして「イザベル」は嬉しい収穫。秋朱之助の日本限定版倶楽部第2回刊行物。背コーネル革装、天金、本文は手漉き和紙。限定170部記番。昭和初期の円本への反動としての豪華本志向から出来したサンプルとしてこのくらいの価格で入手できたのは嬉しい。背革に少し痛みがあるが問題なし。

尾崎紅葉三人妻」上巻(春陽堂)1000円

菊池幽芳「己が罪」上巻(春陽堂)明治33年9月15日3版1000円

復刻版岩波写真文庫「本の話」(岩波書店)2刷200円

三人妻」の上巻は、元々奥付がなく奥付は下巻のみについている。ちょうどうちには下巻があるのでこれで上下が揃った。同作は元版上下、合本版そして訂正版といつの間にか3種類揃ってしまった。ところで上巻には奥付がなく下巻のみというのは他の本でもあるけれども、これ発売当時は上下ワンセットで売ったのだろうか。これがよくわからない。

サンデー毎日特別号」昭和32年2月200円

日本はこんなに変った、という特集。1950年代後半の戦後史観のための資料として。表紙の写真は「命売ります」という男。