漁書日誌 3.0

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ウイルス禍と古書展

紙魚展に赴く。

米国では非常事態宣言が出た由、世界的にウイルス禍である。こういうときこそ「猖獗」という言葉がぴったりくる。電車に乗ると、その車両でマスクをしていないのはワタクシだけだったり。スペイン風邪が流行したときも、みなあの黒いマスクなどして街鉄なんかこんな感じだったのであろうか。

で、古書展だが、ウイルスなど関係ないってくらいの通常運転、盛況であった。数冊文庫本などを抱えていたが、これはというのがあって、すべて元の棚に戻した。というのは、後藤宙外とか尾崎紅葉とかそこそこの価格で口絵付本が並んでいたからだ。お金もないし、それでも逡巡した上で購入。

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尾崎紅葉三人妻」(春陽堂明治28年6月13日3版裸少汚3500円

「小劇場」2号(俳優座)200円

三人妻」は、元は上下巻の本。これは3版だが、上下合本になって1冊本になったのは再版か3版からか。初版は下巻のみ持っている。で、あとで気がついたのであるが、この本、表紙には下巻の表紙が用いられ、裏表紙には空押しの上巻意匠(「三人つま」表記の方)が用いられている。これはなんだろう。他の合本重版でもそうなのか。

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「小劇場」の方は、六本木の小劇場が出来た時に1号が出たようだ。その後1年以上の間を空けて2号が出ている。3号以下出たのであろうか。

ところで、会場に入る前に古書会館2階で開催中の「作家・大西巨人」展を見る。原稿、書簡、メモから本の書き込みまでズラリと展示、解説冊子も配布している。これはファンや研究者は嬉しい展示だろうなあ。

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 追記。本日、図録「作家・大西巨人」をお送り頂きました。感謝です。古書会館のみならず二松學舍大学でも開催されていた同展のオールカラーの図録で、編集は山口直孝先生。肉筆のここという箇所が全部カラーでこれは資料としてもただ読んでも面白い図録になっています。

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