漁書日誌 3.0

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4月目前の趣味展

趣味展である。
注文品は一点、荒木経惟撮影の鈴木いずみ写真集「私小説」(白夜書房)1500円というものだが、無論ハズレ、はなから期待はしていなかった。まあそれはよいとしても、今日は日中暖かくなるというので、マフラーせずにきたのだが、風があって寒い。今日は電車一本乗り過ごして古書会館到着は9時50分過ぎくらい。既に階下の入口から行列だったが、最後尾はちょうど会館入口のところ。これは最後尾グループかと思っていたが、その後にまだまだ行列は続き5分前くらいまでその後20名くらいは列んでいたようであった。
で、10時開場。
もちろん扶桑棚に直行。といっても最前列はもうギュウギュウで、うしろから見るほかない。それでも、例えば漱石「明暗」再版凾付5千円だとか、藤村「家」上巻初版下巻再版揃1500円とかいくつか抱えるが手放す。あれやこれや抱えても、金銭的に限界がある。今日はどうも雑誌もよかったらしいが、これは参考資料用にとひとつ抱えた。結局、お昼に丸香うどんに昼食に行って喫茶店で一服してから再度リバースチェックして、再度抱えた本を厳選してお会計。

「しがらみ草紙」1〜10号揃1000円
森鴎外「美奈和集」(春陽堂明治25年7月2日初版スレ4000円
「しがらみ草紙」は創刊号あるし参考資料用に。鴎外のは扶桑棚ではなく違う書店の棚から見つけたものだが、普段なら買わないけれどもこれはいってしまった。



というのは、奥付は初版なのだが、外装(背)及び扉には再版と印刷されているのである。つまり初版だのに再版の装幀。おそらく売れ残りを再版の装幀にしなおして再出荷したのであろう。背の文字は消されているが、扉にはしっかりと第貳版とある。

小山内薫「夢見草」(本郷書院)明治39年11月7日初版見返し傷1000円
谷崎潤一郎「刺青」(籾山書店)明治45年2月18日3版凾欠3500円
「夢見草」千円は嬉しい。「刺青」は2版が欲しかった。


柳原白蓮「踏絵」(竹柏会出版部)大正4年3月5日初版総革装特製本痛400円
柳原白蓮「白蓮自選歌集」(大鐙閣)大正10年8月20日初版凾付800円
水上滝太郎「第二貝殻追放」(東光閣)大正12年7月16日再版凾付300円
白蓮、自選歌集は一寸前に凾欠を入手したが、これは凾付。差し替えだな。そして「踏絵」の特製。総革装で小口三方黒染。表紙は雁垂のようになっている。ただしかなり痛んでいるのが難だが、この価格では仕方あるまい。特製は何部あるのかなど不明。かなり珍しいとは思う。

編輯研究会編「編輯著述便覧」(厚生閣)昭和8年8月22日外装欠300円
「出版人の遺文 新潮社佐藤義亮」(栗田書店)昭和44年2月11日再版凾200円
清水英夫他「出版業界」(教育社新書)カバ200円
こちらはちょいとお勉強用に買ったもの。このなかでは新書が、昭和初期における出版業界、印刷からインク、校正などについて書いてあって重宝しそうである。編集者向けのマニュアル本といっていい。

三島由紀夫「黒蜥蜴」(牧羊社)昭和44年7月20日再版凾帯付300円
「だぶだぼ」10号、250円
後者は全く知らない雑誌で、昭和50年3月20日発行。購入の決め手になったのは、寺山修司NHKの番組制作中に、寺山の弟子が開催したイベントがNHK料金不払い運動?で、NHKから寺山にもう番組製作するなと通達があってこれに激怒したという事件を巡っての会話だのインタビューなどが収録されている。
またまた浪費してしまった。よりにもよってこの金欠の季節。