漁書日誌 3.0

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神田古本まつり(1)

神田古本まつり特選古書即売展の初日、である。今年は、特選と外が同時スタートですずらん通りは翌日という日程的にコスパの効いたスケジュール。少し前までは、これがまずは外が平日から始まり、金曜土曜に特選があって、日曜日にすずらん通りというようないちいち神保町に来るのも面倒だしバラバラな日程になっていた。

で、10時開場であるが、今日は電車を一本逃してしまい、9時50分少し前くらいに会場到着。既に行列で入口の自動ドアあたり。その後も続続とお客が来て外の道路に沿って列んでいた。で、開場。まずはあきつ書店の棚を目指す。いつもの窓展よりも混雑していないような印象。それが段々と混雑してきてという感じでけっこう会場全体にばらけていたように思う。ザーッと見て、幾冊か抱えてから、今度はほかの書店の棚に移動する。あれやこれやを吟味したりなんだり。11時くらいにはほぼ終わってしまった。しかしさすが、あきつ前の人混みに紛れて本を漁っていると、額から汗が流れる。
11時20分頃、帳場に取り置きを頼み外へ出る。その後昼食。
さて、昼食後は靖国通り沿いをブラブラと流して楽しもうと思っていたのだが、雨。今にも雨の降りそうな雲行きではあったものの、けっこうザーザー降ってきた。これで今日はおしまいだ。残念。ということで、お茶してから会場に戻り、金欠非常時ということもあって、抱えたもののなかから更に吟味を加えて精選、お会計となった。

夏目漱石吾輩は猫である」(大倉書店)大正5年3月6日23版凾欠400円
久保田万太郎「東京夜話」(新潮社)大正7年5月18日初版凾欠少痛300円
有本芳水「芳水詩集」(実業之日本社大正3年9月20日10版カバ300円
里見トン「桐畑」(新潮社)大正14年12月15日初版凾付500円
「猫」はよりよいコンディションのものを求めて。それから「芳水詩集」もとうに持ってはいるけれども、夢二のカバー目当てである。正直、これといった収穫は今回なかった。一緒に写っている「桐畑」は、帰宅後に届いてたネットオークション落札品。小村雪岱装幀。

「文芸倶楽部」明治29年7月少痛口絵欠500円
三田文学大正2年5月号400円
雑誌である。ちょいと表紙の破けた「キング」の創刊号900円なんてのも抱えていたのであるが、逡巡の末手放した。「文芸倶楽部」はほかにも数冊あったけれども、これは柳浪「今戸心中」初出であったので、まあ買ってみるかと。それから「三田文学」は、山崎俊夫「童貞」初出。

岡本一平「漫画と漫文」(誠文堂十銭文庫)昭和6年1月10日初版痛折200円
福田清人硯友社の文学運動」(山海堂出版部)昭和8年2月18日初版凾400円
堀辰雄「晩夏」(甲鳥書林昭和16年10月30日再版凾300円
寺山修司「現代の青春論」(三一新書)昭和38年4月8日初版カバ100円
硯友社のは、前々から読んでおかなくてはとどれだけ安く見つけられるかと思っていたのだが、凾付でこれならばちょうどよい。「晩夏」は、堀辰雄が読みたいというのではなくって、実は装幀目的。以前、オルタナ編集者の郡淳一郎氏に、奢灞都館から出た龍膽寺雄の「塔の幻想」はこの本が装幀の元ネタだとうかがったことがあった。それもあるが、今一寸考えている装幀論でこういう横綴じの本、例えば「緑雨集」とかの系譜を考えていて、その参考のために購入。だから再版で充分。
まあ、この金欠時に、なんとか会場分を千円札3枚以内に収めることが出来てホッとしている。明日土曜は第2弾、すずらん通りが待っているからだ。
しかし今日は寒かった。会場では汗すら流したというのに、雨が降ってきてからは急に寒くなり、寝不足もあってお腹の調子が悪くなってしまった。