漁書日誌 3.0

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神田古本まつり特選古書即売会

年に一度の特選、である。
寝不足のなかを早起きして、古書会館に到着したのは9時50分頃であったろうか。既に古書会館の扉は開けられていて、地下の会場へ降りる階段に列が出来ている。といっても、ワタクシが到着した時には列はトイレの脇くらいに到達していた。その後列は伸びたが、といって、混んでいる趣味展の時よりは気持ち少ないくらいであったような印象。そして10時、開場。

みんながみんなあきつ書店の棚にいくわけではない。ただまあ、ワタクシの場合は一直線に奥のあきつ棚に向かった。ザーッと見て行くが、ウム、抱えるほどでもない。ただし、前からあるような本は、ちょっとだけ値下げしているようでもあった。ある程度見てから見切りを付け、今度はまた別の書店の棚を見る。その後、かわほり堂の棚に行く。千円均一なのか、数冊千円ではお買い得だろうという本が千円であった。そして一応全部をザーッと見て回る。11時頃、さすがに疲れた。最近は屋外の喫煙所も客は立ち入り禁止になってしまっており、抱えた本を帳場に預けて外に出る。
三茶の前あたりから靖国通り沿いの各古書店の屋台をザッと見ていく。今年の田村はと見に行くと、今年は黒っぽいのはなく、澁澤、種村、塚本などの本が多い。11時40分頃、待ち合わせの場所に向かい、ランチ。その後、都営線を乗り継いで五反田に向かう。今日は五反田散歩展でもあるのである。1階などは相も変わらず雑本の山で、これがまた楽しい。2階の会場では、けっきょく新書1冊のみに止まった。寝不足疲労もたたりグロッキー。駅前の茶店で一服して休んでから、今度はまた神保町に舞い戻り。北沢書店あたりまで靖国沿いの屋台はだいたい見て、17時50分頃、古書会館へ。再度ザーッと見て、預けた品を出して貰いお会計。まずは特選での収穫。

小山内薫「一里塚」(植竹書院)大正4年5月15日初版凾1000円
池谷信三郎「望郷」(新潮社)大正14年10月8日初版凾300円
久保田万太郎「月あかり・町中」(新小説社)昭和9年9月25日初版凾1000円
千円のはかわほり堂より。しかし安い。「望郷」は凾に水濡れ痕があるが凾付でこの価格。装幀は村山知義装幀だが、池谷などはやはりマイナーで人気もないのだろう。300円でつい買ったが、これ千円だったら買わなかっただろうなあ。万太郎のは山下新太郎の装幀、木版口絵の新小説社の本。

秦豊吉「文芸趣味」(聚英閣)大正13年5月15日初版凾献呈署名入1000円
黒田礼二訳「表現派戯曲集」(叢文閣)大正13年12月8日初版背少痛700円
谷崎潤一郎「刺青 他九篇」(春陽堂)大正15年10月15日26版凾美400円
山田順子「女弟子」(ゆき書房)昭和29年6月30日凾欠限定版無番号500円
小和田次郎「デスク日記4」(みすず書房)昭和43年2月5日カバ200円
芥川龍之介による序文が入っている「文芸趣味」は、これまたかわほり千円本。実はとうに所持しているが、献呈署名本であったのである、「表現派戯曲集」は、トラー、カイザー、ゲーリングの3編の戯曲集録。「朝から夜中まで」なんかが入っている。谷崎のはいわゆる後版で、小豆色無地クロス装表紙の装幀的には面白くない本だが、やたら状態がいい。「女弟子」は記番がないが、元々限定部数はどのくらいなのだろう。「デスク日記」はバラで買っているもの。

雑誌「明正民論」(大正15年4月号)200円
軍隊手牒(第二次大戦時)美500円
「明正民論」は全く知らない雑誌で執筆している連中も聞いたことのない人ばかり。写真でわかるように「中央公論」の表紙そっくりで、モドキというかそんなテイストが面白いので購入。軍隊手帖は、昭和16年の米英に対する開戦の詔が印刷されているので第二次大戦時のであろう。軍関係は詳しくないが、資料としてもっておこうというもの。これも頗る状態がよく、元所有者の生年月日と名が記載さてているほか全く使っていないような感じ。写真右の本は、上記の「文芸趣味」の見返し。〈角尾兄 大正十三年八月伯林 著者〉と入っている。
お次は、五反田散歩展での収穫。

山田孝三郎「芥川文学事典」(岡倉書房新社)昭和28年1月20日初版200円
判沢弘「土着の思想」(紀伊國屋新書)重版帯ビニカバ200円
高橋俊夫「葛飾永井荷風」(崙書房)200円
小笠原恭子「出雲のおくに」(中公新書)帯ビニカバ200円
雑誌「映画評論」(1972年1月号)200円
塚本邦雄「定型幻視論」(人文書院)昭和47年10月30日初版凾800円
塚本邦雄のやつだけ五反田からの帰るさ靖国通り沿いの古本屋台で買ったものである。
しかし眠い。