漁書日誌 3.0

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9月に入った古書展

9月に入った。今年はコロナのせいで夏休みがずれ込み、休みといっても休み中に仕上げないとならない仕事もあり、夏の解放感などはかけらもないといったところである。早くコロナ終息しないものだろうか。

まずは先週、8月29日(土曜)に立ち寄った紙魚展での買物。

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クラカウワー「カリガリからヒトラーへ」(みすず書房)カバ300円

外山滋比古「省略の美詩学」(中公文庫)カバ帯200円

山城むつみ「文学のプログラム」(講談社文芸文庫)カバ帯800円

カリガリからヒトラーへ」は今更度が高く、安くないと買わないと思っていたが、これは状態も悪くないのに今まで見た最安値だったので購入。

で、本日。今日は文化講座の講師仕事のあと、都内に出たのでということで神保町へ出る。愛書会古書展の初日。17時くらいに到着して、閉場まで1時間じっくり見て回る。置き場所もないし、無駄金も使いたくないという意識が最近は強く、結局は以下のものだけ。

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「古酒」第1号400円

長谷川宏編「ヘーゲル」(作品社)200円

大橋良介他編「〈哲学〉」(ミネルヴァ書房)カバ300円

「古酒」は日夏耿之介の取り巻きがやっていた雑誌。「ヘーゲル」は法大出版局の「ヘーゲル読本」と勘違い。200円ならと抱えてちゃんと見なかった、いらない…。

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こちらは古書展閉場後に東京堂に行ってかった新刊書。

「すばる」は三島由紀夫特集号。昨年のパリでの三島シンポジウムの報告座談会とか、パリでのジョン・ネイスンの講演の翻訳など。もう1冊は、

大竹昭子随想集「スナップショットは日記か?」(カタリココ文庫)定価900円

で、ISBNは入ってないようだ。森山大道論。

すばる2020年10月号

すばる2020年10月号

  • 発売日: 2020/09/04
  • メディア: 雑誌
 

そして帰宅すると、「三浦哲郎全作品研究事典」(鼎書房)が届いていた。13〜4年前に入稿したもので、先日校正が届いたもの。いくつかの項目を書いています。 

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 以下、今週新刊書店で購入したもの。

本のリストの本

本のリストの本

 

 

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谷崎潤一郎と書物

谷崎潤一郎と書物

  • 作者:山中剛史
  • 発売日: 2020/10/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

コロナの夏、東京で古書を買う

2週間経過してからでないとここに記さない、というような自主ルールでやってきたけれども、というのもやはり遠隔とはいえ学校仕事があるからで。しかしまあ書かなければどんどんと記憶も薄れていくばかり。もう夏休みに入ったしということで、ここも再開していこうという次第。

とはいえそうは思ったものの、ではと思ってみても、もう一ヶ月も書いていないと何がいつあって何を買ったのかというのも忘れていってしまうようなところがある。ということで、7月後半からの古書記録をズラズラと列挙していく。

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久保田万太郎「雪」(籾山書店)大正2年1月20日初版凾5000円

ソンタグ「書くこと、ロラン・バルトについて」(みすず書房)カバ帯1848円

清浦康子「ゾルガーの哲学・美学とイロニー」(南窓社)カバ3700円

胡蝶本は扶桑目録注文品。見返しに書き込みがあるが、凾も付いてまずまずの状態でこれは安い。胡蝶本もだいぶ揃ってきた。あとの2冊はお勉強用で日本の古本屋で注文したもの。

お次は7月31日、初校ゲラを真っ赤にしたものを神保町の出版社に持ち込んで、その後、古書会館の我楽多展初日に向かう。熱を測り入場。会場内は出展店舗も少なくのんびりと会場を見る感じ。

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吉村昭「少女架刑」(南北社)昭和38年7月15日初版カバ帯1500円

芥川龍之介「或る日の大石内蔵助」(春陽堂)大正10年11月23日5版美500円

「少女架刑」帯付きがこの値段なのは嬉しかった。ただしカバーにはスレ、本体小口が汚れているのだが、帯欠本を持っているので付け替えよう。芥川のヴェストポケット傑作叢書のこれも所持しているが、これはピンピンに綺麗なコンディション。そして、その足で今度は池袋に向かい、三省堂池袋店古本まつりに赴く。こちらも初日なのであった。

 田村紀雄「鈴木悦」(リブロポート)カバ帯600円

「名著復刻日本児童文学館」(ほるぷ)200円

「鈴木悦」はちょっと探していた本で安く入手できた。大正期の海外文芸翻訳書とか興味がある人なら必須かと。ほるぷのやつは、復刻版についてる解説書。持っておくとなかなか参考になるときがある。

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お次は8月8日、神保町に出て扶桑書房に立ち寄って2冊ばかり。

寿岳文章「本の正坐」(芸艸堂)凾500円

中井英夫「磨かれた時間」(河出書房新社)カバ帯300円

ちらりと立ち寄ってこれだけ。

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「螺旋の器」別冊定価1000円

これは古書ではなく、森開社の小野夕馥さんの個人雑誌。コロナ後初は、別冊として刊行。コロナもなんのその、外界とは一線を画したいつもながらに高踏的な内容で読み応えもあるのがすごい。限定300部記番。

で、ようやく今日8月21日、ぐろりや会古書展の初日である。といっても、閉場1時間前に会場到着。熱を測って、入場。

ザッとまわろうとしたが、今日は映画パンフをじっくりと漁ってしまい、本はワンセットのみ。

 

 

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ラドクリフ・ホール「さびしさの泉」(新潮社)上巻昭和27年8月20日

         「さびしさの泉」(新潮社)下巻昭和27年9月30日上下揃い2200円

「さびしさの泉」ようやく入手。三島や乱歩も言及していた小説で、もう10年以上探していた。いや、たまに見かけるのだがいつも3〜4千円していたのでもっと安くとケチケチしていたのである。女子同性愛の小説。こういう系統であれば、「ラ・ガルソンヌ」とかもあるけれども、昭和20年代後半には珍しかったのであろうなあと。

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映画チラシ「さらば箱舟」昭和59年100円

演劇パンフ「青ひげ公の城」(西武劇場)昭和54年300円

「青ひげ公の城」が300円は安すぎる。実は前に買って持っているのだが安すぎると購入してしまった。ちらし、台本も持っている。ちょうどアングラ演劇が西武劇場でファッション化していく頃のものだよなあと。同じく西武劇場でやった寺山の「中国の不思議な役人」には山口小夜子も出ているし。渋谷で西武カルチャーが発信されていった初期のものといえるかもしれない。

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映画パンフ「美女と野獣」昭和24年200円

映画パンフ「オルフェ」昭和26年500円、同異種200円

映画パンフ「道」200円

映画パンフ「ルードウィヒ神々の黄昏」昭和56年200円

こちらは戦後のコクトーなどを買ってみたもの。「オルフェ」は2種類ある。どちらも昭和26年のもの。まだ占領下だよなあ。

五反田に赴く

7月24日、金曜日。

和洋会、それから五反田遊古会とが開催された。中央線古書展は中止。ここ数日都内のコロナ罹患者がグッと増え、古書展初日の今日は全国で700名を超えたという。わたくしのような職業は罹患したら一発アウトであろう。そこまでして行くのかというのもあるのだが、まあこれは致し方ないのかもしれない。

今度出す本のゲラチェックをやっていたら朝になり9時を過ぎ。それでも14時半に起床して、寝不足のなか仕度して五反田へ。ちょっといろいろ雑誌等漁りたいなと思うも見切りを付けるなど。そういえば、五反田は1階のガレージも透明ビニルの幕が張ってあり、脇の入口から入って検温、手消毒をしてからでないと入れないようになっていた。

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特に注文品はないがやはり雑本が面白い五反田。今日はわざわざ来て何もないかと思ったけれども、幾つか。

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デシエーザー「私は日本の捕虜だった」(有恒社)昭和24年11月5日カバ200円

寺田博「文芸誌編集実記」(河出書房新社)カバ帯500円

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「日本及日本人 秋季増刊 男性美」(大正9年9月20日)500円

河出の「文芸」などの編集者である寺田さんのやつは、初出の「エディターシップ」も持っており、編集者学会での講演なども聴きに行ったが、単行本もと前々から安く探していた。それから「男性美」というやつ。西洋的な美的規範とか取り入れたものだったら面白かったのだが、どちらかというとまあ雑誌がそもそもあれというのもあるが、硬派とは的なものかと表紙のイラストがそれを象徴しているか。前にも見かけていたが安くなっていたので。こんなところで、そのままとんぼ返りで帰途。

ウイルス戒厳令下的趣味展

正直行くか行かないか本当に逡巡したし、今回はブログ公開できないなと思っていた(少なくとも1週間は時間おかないと、参加者に罹患者発生した場合接触者になる可能性もあり、手前が罹患し苦しむのはまだしも、下手をすれば、ことは仕事関係に迷惑をかけたり職業的な責任問題にも発展するので、もしかしたらこれはずっと保存のままで公開しないかもしれない)。

で、2020年7月18日、約3ヶ月ぶりの趣味展である。

楽しみにしていた。が、開催前々日くらいから暗雲立ちこめ、コロナ罹患者が都内で200名を超え日ごとに増加の一途、300名目前という状況。これ当日中止もあるなと思っていた。で、並んでみて混雑していたらそのまま帰る選択肢も考え、マスクにフェイスシールド、携帯用除菌剤、除菌ティッシュ、そして終わったあとにすぐに銭湯へと着替え一式も持参。9時半に新御茶ノ水駅に到着し、古書会館へ向かう。すると、整理券を配っている。自動ドアあけたすぐのロビーに長机が出ており、封筒持参していない人はそこで住所氏名電話番号を記入、体温を測り整理券をもらって、開場時間にというシステム。毎回20名ずつ入場し合計80名で一旦入場ストップ、という。いつも趣味展に来ているあの人とかあの人なんかは顔を見かけなかった。80名でストップということであったが、全部で80人もいなかったであろう。

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まあ小劇場方式である。前はチケットに発券順で整理番号がついていて、「はいぴあの人〜、こちらはセゾンの人〜」とかよくあった。朝から雨だし、ここ数日の罹患者増加もあってか、いつもよりは来場者が少ないように思われた。わたくしは32番。第2回目の入場組である。初回の組が入ってから、しかし5分程度で入場。帳場もビニールシートでガードしてあった。そもそも会場参加も10店ほどで全部の店が参加しているわけではない由。扶桑書房の棚も分散設置され、かたまらないようにしてある。

確かに快適。思ったよりもスカスカな空間で、焦っているような人もいない。みな気をつけているようだ。これならという安心感があった。約1名、腰まげて突っ込んでくる棺桶片足みたいな老人も見たが。

ちょうど欲しかったマイナー詩集とも出会え、また注文品も当たり、予算オーバーの買物をしてしまった。昼食抜けて(早速傘を盗まれた)、濡れながら昼食へ行きサテンで一息ついてから再び会場へ。扶桑以外の棚もじっくり見てからお会計。

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丹羽純一郎訳「欧州奇事 花柳春話」四編(坂上半七)明治12年1月汚500円

大橋乙羽「若菜籠」(博文館)明治32年2月10日再版少痛500円

まずは古いところから。「花柳春話」は参考のために1冊持っておきたかったので嬉しい。「若菜籠」は木版口絵入。大橋乙羽の作品集。

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姉崎正治「脚本 瀧口入道」(春陽堂明治39年4月30日初版200円

後藤宙外「裾野」(春陽堂明治43年1月1日前後編揃凾欠前編口絵欠4000円

「脚本瀧口入道」は既に持っているが、所持本より綺麗で200円だったので。そして「裾野」は惜しくも前編口絵欠だが、後編は鰭先英朋の木版口絵入り。パッと見はただのクロス装だが、面白い製本形式である。しかし分厚い。短編全集的なもの。しかし国会図書館蔵書や過去にネットオークションに出た本を見てみると前編はもとより口絵がないようでもある。となればこれは欠落のない本ということか?

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長田幹彦「小夜ちどり」(新潮社)大正4年8月2日4版1500円

間司つねみ「海のほとり」(交蘭社)大正14年10月28日凾欠1500円

長田幹彦「ゆく春」(春陽堂昭和2年2月20日改訂20版2000円

「海のほとり」は少し前にちょうど間司つねみの第1詩集を買ったばかりなので嬉しい。これは山名文夫装幀挿画。日本の古本屋にも数件出ているが手が出なかった。「ゆく春」は元版は伊東深水木版装幀挿画なのだけれども、これは昭和2年の改訂版で表紙と扉は竹久夢二になっており、判型も大きくなっている。

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坂元三郎「子規随筆」(名著梗概叢書)大正4年2月18日背痛150円

堀辰雄風立ちぬ」(細川書店)昭和24年4月30日発行300円

三島由紀夫選集11「真夏の死」(新潮社)昭和33年9月30日凾3500円

名著梗概叢書も参考用に1冊欲しかったのでちょうどよかった。「風立ちぬ」もそう。細川書店の造本、奥付のために。そして武者小路書房さんに目録注文品していた「真夏の死」回収本。ようやく入手。10年くらい前に安価で入手出来るチャンスを逃し、やっとという感じ。お金を出せば買えるのだろうがケチケチと買わずにいた。本文中に他人の作品が入ってしまい、回収され訂正版が発行されたといういわくつきで、当時担当者であった進藤純孝は責任を感じて退社、文芸評論家の道を歩んでいく。

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中央公論大正7年9月500円

「TVガイド」昭和37年11月9日号1000円

中央公論」のこの号も合冊でしか持ってなかったもので、「新時代流行の象徴として観たる「自動車」と「活動写真」と「カフェー」の印象」特集号。500円なら元本を持っておきたいものだ。それから「TVガイド」は千円と高いが、これは三島作品のフォトストーリー掲載号でコピーしか今まで持ってなかった。

梅雨の晴れ間に

土曜日、久々に都内に出る。

仕事関係の打ち合わせもあるが、扶桑事務所がオープンするというので出たわけである。

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塚原史『反逆する美学』『模索する美学』『切断する美学』(論創社)揃4500円

岩切信一郎『橋口五葉の装釘本』(沖積社)限定500凾6800円

2点併せて9000円ににしていただいた。感謝である。

『橋口五葉の装釘本』は超基礎文献であるにもかかわらず、少々値が張るのでいままでケチケチして見送ってきた。ようやく。そして塚原のはお勉強用。ここのところずっと授業準備とかあれこれで古書どころではなかったので一気にいってしまった。

 そういえば、以下のものに寄稿しております。

 

約3ヶ月ぶりの古書展

新興古書展があけるかも、という。もしそうなら、4月6日に高円寺の古書展にいって以来である。高円寺でさえ、入口での検温と消毒液があった。今回は、ということで、午後、江東区の文化セミナーで「没後50年三島由紀夫・短編小説の魅力に迫る」第1回の講師を務めてから、神保町に向かう。

無事開催している。

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本部古書会館は、会場が地下でもあり、換気の点などで難しいだろうなあと思っていたが、思ったよりも速い開場となった。入口では、三脚にセットされた検温器、それからカメラで写してサーモグラフのようなモニタが出るやつ、そして入場者は名前と電話番号を明記しなければならない。ここから罹患者が出たら連絡が来て濃厚接触可能性ということになるのであろうか。

で、会場はというと。新興展なので、メインは和本。もちろん関係なく普通の本もあるのでザーッと見て行き、ちょっとお安めで雑訴「一寸」があったので数冊を購入。

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「一寸」11、15、21号、各500円

この雑誌、古書や装幀に興味がある人にはマストだろうけれども、国会図書館にも入っていない。おそらく意図的に入れてないのだろうかとも。趣味というより学問的なキチンとしたエッセイが掲載されている。たまに1冊800円くらいで出ることもあるけれど、それでは手が出ない。

関西でも古書展が開催されたようだが、これから東京もボチボチと古書展は開催されていくのだろうなと思われる。

3ヶ月ぶりの国会図書館

国会図書館が1日限定200名で開くというので申し込み、早速当選した。ということで、本日金曜日行って来た。

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入口ではサーモグラフィーなんちゃらで熱を測定し、当選した人間か確かめ、入場。いやあガラガラで快適ではある。ただし複写受付の人が研修中の人ばかりで、おそらくはこの状況で全然経験値が低いのだろう、けっこう時間かかったり。まあしかしそんなことはどうでもよい。6階の食堂はと行ってみると、13時までであった。購買は18時まで。

で、18時までに神保町に出るようにと思っていたのだが、ギリギリ間に合わず。どの店もだいたいは既に閉まっていた。澤口書店ですらそうで、東京堂も18時まで。

ところで、このところ買った古書。

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小島徳弥「文壇百話」(新秋出版社)大正13年3月15日初版裸4頁落丁2000円

新秋出版社文芸部編「文壇出世物語」(幻戯書房)平成30年5月16日カバ帯152円

「文壇百話」は扶桑目録注文品。2葉落丁だが、手頃なお値段。同じ出版社の「出世物語」はマケプレ。つい最近復刻していたとは知らなかった。こちらの解説に細かいことが書いてあり、どうも同書は武野藤介と井伏鱒二が書いたものらしい。こういう類のものはいわばゴシップ的なものではあるけれども、同時代の言説として極めて興味深いものがある。

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吉井勇「酒ほがひ」(文芸復興社)昭和21年11月2日再版300円

雑誌「麒麟」創刊号、1000円

こちらはネットオークション落札品。「酒ほがひ」は再版だが、初版は元版初版で明治43年9月7日。これはその再版という体裁。新装版あるいは復刻版といったところであろう。中身は初版の版面そのままのようでもあるが、本文は和紙の袋綴じで著者による「巻後で」という経緯を述べた文章がついている。「麒麟」は御存知大衆文学研究会の古書雑誌だが、これでようやく「麒麟」はあと別冊を残すのみ。しかし別冊は見たこともないのだよなあ。

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谷崎潤一郎「鍵」(中公文庫)昭和35年2月18日20版カバ500円

映画パンフ「アートシアター」(日本ATG)チラシ付200円

「鍵」はいわゆる普及版。この普及版が何版までいったのかを調べていて、探し得た一番の重版。本体の背のみ「中公文庫」と記してある。普及版という言葉は帯のみに記してある。初版の帯付きは所持しているのだが、重版でもおそらく同じか。それから「アートシアター」は寺山修司脚本・東陽一監督の映画「サード」のパンフ。それとチラシ。寺山系でこれは持っていなかった。200円は安い。こちらは地元駅前のモールで古本ワゴン市をやっており、そこで見つけたもの。