漁書日誌 3.0

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ウイルス戒厳令下的趣味展

正直行くか行かないか本当に逡巡したし、今回はブログ公開できないなと思っていた(少なくとも1週間は時間おかないと、参加者に罹患者発生した場合接触者になる可能性もあり、手前が罹患し苦しむのはまだしも、下手をすれば、ことは仕事関係に迷惑をかけたり職業的な責任問題にも発展するので、もしかしたらこれはずっと保存のままで公開しないかもしれない)。

で、2020年7月18日、約3ヶ月ぶりの趣味展である。

楽しみにしていた。が、開催前々日くらいから暗雲立ちこめ、コロナ罹患者が都内で200名を超え日ごとに増加の一途、300名目前という状況。これ当日中止もあるなと思っていた。で、並んでみて混雑していたらそのまま帰る選択肢も考え、マスクにフェイスシールド、携帯用除菌剤、除菌ティッシュ、そして終わったあとにすぐに銭湯へと着替え一式も持参。9時半に新御茶ノ水駅に到着し、古書会館へ向かう。すると、整理券を配っている。自動ドアあけたすぐのロビーに長机が出ており、封筒持参していない人はそこで住所氏名電話番号を記入、体温を測り整理券をもらって、開場時間にというシステム。毎回20名ずつ入場し合計80名で一旦入場ストップ、という。いつも趣味展に来ているあの人とかあの人なんかは顔を見かけなかった。80名でストップということであったが、全部で80人もいなかったであろう。

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まあ小劇場方式である。前はチケットに発券順で整理番号がついていて、「はいぴあの人〜、こちらはセゾンの人〜」とかよくあった。朝から雨だし、ここ数日の罹患者増加もあってか、いつもよりは来場者が少ないように思われた。わたくしは32番。第2回目の入場組である。初回の組が入ってから、しかし5分程度で入場。帳場もビニールシートでガードしてあった。そもそも会場参加も10店ほどで全部の店が参加しているわけではない由。扶桑書房の棚も分散設置され、かたまらないようにしてある。

確かに快適。思ったよりもスカスカな空間で、焦っているような人もいない。みな気をつけているようだ。これならという安心感があった。約1名、腰まげて突っ込んでくる棺桶片足みたいな老人も見たが。

ちょうど欲しかったマイナー詩集とも出会え、また注文品も当たり、予算オーバーの買物をしてしまった。昼食抜けて(早速傘を盗まれた)、濡れながら昼食へ行きサテンで一息ついてから再び会場へ。扶桑以外の棚もじっくり見てからお会計。

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丹羽純一郎訳「欧州奇事 花柳春話」四編(坂上半七)明治12年1月汚500円

大橋乙羽「若菜籠」(博文館)明治32年2月10日再版少痛500円

まずは古いところから。「花柳春話」は参考のために1冊持っておきたかったので嬉しい。「若菜籠」は木版口絵入。大橋乙羽の作品集。

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姉崎正治「脚本 瀧口入道」(春陽堂明治39年4月30日初版200円

後藤宙外「裾野」(春陽堂明治43年1月1日前後編揃凾欠前編口絵欠4000円

「脚本瀧口入道」は既に持っているが、所持本より綺麗で200円だったので。そして「裾野」は惜しくも前編口絵欠だが、後編は鰭先英朋の木版口絵入り。パッと見はただのクロス装だが、面白い製本形式である。しかし分厚い。短編全集的なもの。しかし国会図書館蔵書や過去にネットオークションに出た本を見てみると前編はもとより口絵がないようでもある。となればこれは欠落のない本ということか?

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長田幹彦「小夜ちどり」(新潮社)大正4年8月2日4版1500円

間司つねみ「海のほとり」(交蘭社)大正14年10月28日凾欠1500円

長田幹彦「ゆく春」(春陽堂昭和2年2月20日改訂20版2000円

「海のほとり」は少し前にちょうど間司つねみの第1詩集を買ったばかりなので嬉しい。これは山名文夫装幀挿画。日本の古本屋にも数件出ているが手が出なかった。「ゆく春」は元版は伊東深水木版装幀挿画なのだけれども、これは昭和2年の改訂版で表紙と扉は竹久夢二になっており、判型も大きくなっている。

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坂元三郎「子規随筆」(名著梗概叢書)大正4年2月18日背痛150円

堀辰雄風立ちぬ」(細川書店)昭和24年4月30日発行300円

三島由紀夫選集11「真夏の死」(新潮社)昭和33年9月30日凾3500円

名著梗概叢書も参考用に1冊欲しかったのでちょうどよかった。「風立ちぬ」もそう。細川書店の造本、奥付のために。そして武者小路書房さんに目録注文品していた「真夏の死」回収本。ようやく入手。10年くらい前に安価で入手出来るチャンスを逃し、やっとという感じ。お金を出せば買えるのだろうがケチケチと買わずにいた。本文中に他人の作品が入ってしまい、回収され訂正版が発行されたといういわくつきで、当時担当者であった進藤純孝は責任を感じて退社、文芸評論家の道を歩んでいく。

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中央公論大正7年9月500円

「TVガイド」昭和37年11月9日号1000円

中央公論」のこの号も合冊でしか持ってなかったもので、「新時代流行の象徴として観たる「自動車」と「活動写真」と「カフェー」の印象」特集号。500円なら元本を持っておきたいものだ。それから「TVガイド」は千円と高いが、これは三島作品のフォトストーリー掲載号でコピーしか今まで持ってなかった。