漁書日誌 3.0

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趣味展。

趣味展初日。9時30分頃に会場到着。暑い、古書会館のガラスドアの前にズラリと行列だが日光が直にあたる場所である。15分前くらに開場され、入り口のところでスタンバイの状態で待つ。10時ジャスト、各馬一斉にスタートという感じになる。で、あれこれ漁り、昼食に抜け、いったん購入した後に用事を済ませてからまた再度夕方漁って結局最終的に購入した古書。


国木田独歩・治子「黄金の林」(日高有倫堂)明治42年12月25日初版凾欠ムレ印少痛1000円
堀内神泉「立志小説 人の妻」(成功雑誌社)大正3年5月23日初版裸痛800円
ズーデルマン抱月訳「帰郷」(金尾文淵堂)明治43年6月18日初版凾欠背痛1000円
久米正雄痴人の愛」(新潮社)大正15年12月24日12版美400円
独歩は先日買った「涛声」の6版異装があって結局棚に戻したのだが、カバ欠なのか全くの無地に涛声とタイトルのみ印刷した並製であった。重版は並製になるのか。「黄金の林(こがねのはやし)」は、治子の「破産」という独歩の死に至るまでの経緯と独歩の短篇が入って共著となっているもの。序文は吉江孤雁、口絵は小杉未醒。「人の妻」というのはなんだか知らないが、堀内神泉は前にも立志小説と角書きのあるのを買ったことがある。まあ千円以下ならと。序文を読んだだけでも当時の良妻賢母イデオロギーの典型だろうしこういうものからは明記されることのない生活の型というものが知れる資料となるかと。外装はわからない。ズーデルマンのマグダは、抱月訳で補遺もしているやつで無論当時松井須磨子がやったもの。須磨子の写真と、マグダに扮した須磨子の木版画(中沢弘光)が入っている。装幀も木版、口絵木版も綺麗に残っていた。「痴人の愛」は重版だがピンピンの美本。

有本芳水「芳水詩集」(実業之日本社大正3年3月30日再版美500円
岡本綺堂「梨の葉集」(春陽堂大正7年6月25日初版凾欠印400円
岡本綺堂朝顔集」(春陽堂大正9年4月18日初版凾欠400円
岡本綺堂「山月集」(春陽堂大正11年7月23日初版凾欠400円
木村毅「文芸東西南北」(新潮社)大正15年4月22日初版カバ欠400円
綺堂の袖珍本はザッと安く出ていたので買ってしまう。ホントは戯曲よりも小説が欲しいのだけれど。三冊とも木版装だが装幀者わからず、「朝顔集」は清水三重三装幀(サインがある)。凾欠とはいえ、このくらいならば買いやすい値段。「芳水詩集」はたまに痛んでいるのを見かけるが、これはかなり状態が良く惜しいかな再版。それから「文芸東西南北」は、ホントは東洋文庫版のほうが綺麗だろうし読むにはそちらの方がいいのだが、あちらは古書でも千円以上するだろうなあ、と。


雑誌「秀才文壇」明治42年9月号800円
雑誌「別冊宝石 ショート・ショートのすべて」昭和36年7月100円
和田利夫「明治文芸院始末記」(筑摩書房)カバ帯400円
マクルーハン「メディア論」(みすず書房)カバ帯1800円
大森荘蔵「知の構築とその呪縛」(ちくま学芸文庫)カバ100円
バタイユ「エロティシズム」(ちくま学芸文庫)カバ300円
四方田犬彦「漫画原論」(ちくま学芸文庫)カバ帯200円
池内紀「地球の上に朝が来る」(ちくま文庫)カバ帯署名200円
井伏鱒二「文士の風貌」(福武文庫)カバ帯200円
ミルワード「シェイクスピアと日本人」(講談社学術文庫)カバ400円
田中純一郎「日本映画発達史1」(中公文庫)カバ200円
今日は文庫が安かった。特にちくま学芸、汚れてもいないのにこれは安い。マクルーハンなどは今更だが、一応所持しておきたかった。これは買える価格と思う。
いやしかし疲れた。朝から夕方までいたからか、本当にぐったりした。いつもより荷物が重かったというのもあるが。
そういえば今日会場で、初めて「ダヌンチオ全集」を見た。凾入り、背革装?で2冊で1万円。しかも午前中あったのに夕方には売れていた。

で、以下は本日の神保町事件簿。火事と消火の様子。



久生十蘭「従軍日記」 (講談社文庫)

久生十蘭「従軍日記」 (講談社文庫)