ここのところ、漁書日誌を記す頻度が極端に落ちている。古書展に行く頻度が少し落ちたというのもあり、貧乏暇なしであり金がないというのも相変わらずではある。まあ、そんなことはどうでもいい。
まずはぐろりや会古書展、4月26日金曜日の初日、夕方に赴いた時のものである。
新派五月公演筋書(昭和32年5月)300円
パニッツァ種村季弘訳「三位一体亭」(南柯書局)函帯
新派の筋書は「金閣寺」を舞台化した時のもの。すでに持っているが、そちらが状態がよくないものだったので嬉しい。そして「三位一体亭」も帯欠を持っているが、差し替え用。確か1000円か1200円だったのだが、購入価格を忘れてしまった。
お次は5月10日の愛書会古書展初日夕方に立ち寄っての購入品。
同人会パンフ「班女」3000円
内容見本「現代の文学」200円
俳優座スタジオ劇団同人会公演「班女」パンフは目録注文品。探し始めて20年にしてようやく入手。高かったけれども、これは入手したかった。それにしても目録注文自体、もう数年していないような気すらするな。「現代の文学」は三島が編集委員だから。
そして扶桑書房目録速報が届いたので注文した本。
吉井勇「酒ほがひ」(濱口書店)大正2年6月20日再版裸5000円
これは原稿用に探していた本。「酒ほがひ」自体は初版をすでに持っているのだが、この再版がなかなか入手できなかった。文庫判くらいの本である。この本、外装は函だろうか。版元の違う「再版」本なのだが、初刊本ではなくこういう本に関しては情報が少ない。
そして5月18日金曜日、五反田遊古展での購入本。閉場30分前くらいに到着してからの買い物。
佐藤春夫「芸術家の喜び」(金星社)大正11年3月15日初版裸300円
ハイネ「ハイネ・浪漫派」(春陽堂世界名作文庫)昭和22年8月15日初版200円
藤木二三男「泣き笑いスガモ日記」(朝日文化手帖)昭和28年11月10日200円
これ前にもどこかで見かけたことがあったのだけど、戦後の春陽堂世界名作文庫は大判というか文庫とは判型が異なる本。もちろん、ワイド活字版などではない。これは原稿に使えるかと。「スガモ日記」は挿入されたイラストも著者が描いていて、なかなか面白い巣鴨プリズンの話。
舟崎淳「ラーゲルの性典」(日本週報社)昭和33年3月17日19版カバ200円
田中美智子他編「女子学生」(三一新書)昭和46年10月31日3刷カバ200円
佐貫百合人「蟻屋物語」(早川書房)昭和54年9月15日カバ帯ビニカバ300円
円地文子「女形一代」(講談社)昭和61年2月18日函帯200円
円地のとラーゲルは既に持っているのだが安かったので買ってしまった。入れ替え検討用(帰宅後「女子学生」も持っていたことが判明)。蟻屋というのは、昔バーメッカ殺人事件のあったメッカの隣にあった喫茶店で、新劇人の溜まり場だった場所。俳優座を中心とする戦後新劇史である。
そして5月24日の趣味展初日。
趣味展は朝イチで並ぶ。と言っても古書会館に到着したのは開場10分前。もちろん、扶桑書房の棚に向かっていく。今回買ったものは以下。
トルストイ「性欲論」(新潮社)大正9年4月25日改版11版200円
これら製本や印刷やといった面で資料として購入。トルストイ相馬御風訳のこれなんかは新潮文庫で出ていなかったか。
オルムツソン「子供の国から」(伸展社)昭和15年6月30日函欠500円
雑誌「成功」明治36年1月号500円
「子供の国から」は創作童話。それはどうでもいいのだが、この角背上製本は横開きではなく縦開きの本なのである(表紙は普通だが、中身は背を上にしてめくる)。フランス大使夫人の作者の仏語原文と在仏日本大使夫人による邦訳が併載されている。結構お金かかった造りだが作者は向こうの名門の家柄のようだしお金が出ているのだろうな。資料用に購入。雑誌は、明治期の立身出世資料として。裏表紙にちぎれた切手が貼付してあり、縦二つ折りにして帯封で郵送した第三種郵便物として送付された痕跡がある。
雑誌「奇譚クラブ」昭和28年4月号200円
大木英夫「終末論」(紀伊國屋新書)昭和47年5月31日帯ビニカバ200円
白表紙前の「奇譚クラブ」はこの値段なら即買いか。この雑誌は安ければ白表紙期までは集めている。「金閣寺」はスペイン語版のペーパーバック。もちろんスペイン語なんてオラ〜コモエスタ?くらいしか知らない。
せっかくの趣味展であったが、自分的にはこれといった買い物がなかったのが残念ではあった。