漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

書生猫オリーブ添え

趣味展である。いつもよりはちょっとだけ早く、9時半過ぎくらいいは会場到着。小雨が降っていたので、行列は会場内硝子戸を入ったところにとぐろを巻くように蛇行。受け付け開始。地下の会場入口に蟠踞するようにごった返す。そして10時、会場。
一斉に皆が向かうのは扶桑書房の棚である。今日は目録に雑誌とりわけ中央公論と改造の昭和に入ってからのものが充実と記してあり、雑誌狙いの人も多かったであろう。ポツポツとカゴに本を入れつつ、開始90分くらいでもう棚はスカスカ気味。スゴイ売れ行きだなと思う。さてこちらは、会場の他の棚をまわる。11時半頃、帳場に本を預けて友人らと共に昼食に出る。丸香の冷やしかけうどんである。
今日は、温度はといえば暑いというわけではなく。むしろ涼しいくらいであるのだが、なんというか蒸す。雨は止んでいた。
で、その後茶店で一服したりしてから再度会場へ。14時半過ぎ。そろそろお昼で帰った人々のリバース分があるのではないかと。またじっくりと棚を見て行き、更にまた買う物を吟味し、お会計。1万円以下に抑えたかったが、久々にかなりの買い物をしてしまい、今後の金欠に眩暈がするような気分でもあるが仕方が無い。で、買ったのは以下。

夏目漱石吾輩は猫である 上編」(大倉書店)明治41年2月15日13版カバ欠痛汚1500円
夏目漱石「行人」(大倉書店)大正3年1月7日初版痛凾2500円
猫は中編と下編がなかなか入手出来ないなあ。しかし「行人」は背下部に痛み(鼠でも囓ったか)があるとはいえ、初版凾付は嬉しい収穫。

春のやおぼろ「一読三嘆 当世書生気質」(晩青堂)明治19年8月合本別製本痛3000円
小山内薫「一里塚」(三星堂)大正7年6月15日5版凾1000円
当世書生気質」は逡巡したが、まあ近代最初の小説本でもあり、高いけれどもいったれと買ってしまった。無論有名であるが、最初はお江戸の草双紙のような分冊形式で出たものが、合本で後に改めて出ている。今回のはそれらの後版の一種であろう。冒頭に多色刷口絵が入っているバージョン。まだ国産クロスがない時代だし、輸入クロスで製本されたものである。それから、「一里塚」も初版を所持しているけれども、これは版権が植松書院から三星堂になってからの重版で、この凾は初めて見た。初版よりも若干薄く、製本材質も布ではなくクロス。

三島由紀夫仮面の告白」(河出書房)昭和25年2月10日再版カバ帯欠400円
秋朱之介「書物游記」(書肆ひやね)昭和63年9月8日凾帯限定800部毛筆署名入1500円
「書物游記」も最後まで逡巡。これは読んでおきたいと思っていたが、普通古書で3〜4000円するもので、ケチケチと安くないかと思っていたのである。ボロボロの川上眉山の本を戻してこれをセレクト。お次は雑誌。


「大衆文芸」大正15年7月汚痛300円
「大衆文芸」大正15年10月汚痛300円
「改造」昭和2年9月印800円
「文芸世紀」昭和19年7月800円
「新世間」昭和22年4月創刊号800円
雑誌でかなり散財。「大衆文芸」は「鏡地獄」など乱歩初出。まだ二十一日会のころの。「改造」は芥川龍之介追悼号。「文芸世紀」は三島由紀夫掲載。「新世間」は谷崎潤一郎顧問という雑誌で、一応買っておくかと。「改造」は、芥川追悼号というだけなら買わなかったけれども、表紙に捺されているスタンプが興味深く購入。「大阪朝日新聞文庫2.8.25」「編輯局長室」のスタンプもさることながら、「改訂版」「創作欄」「削除」の文字。

確かに中里介山「夢殿」が削除されているのであるが、このスタンプは版元デフォの仕様なのであろうか。いや。大阪朝日が捺したのであろうか。

「オリーブ」昭和57年6月3日創刊号300円
「JAM」昭和54年10月?号200円
こちらはサブカル方面。「JAM」は後の「HEAVEN」の前身。翌80年から「HEAVEN」になる。エロ雑誌ではあるが、申し訳程度に巻頭巻末にグラビアがあるだけで、中身は滅茶苦茶で面白い。
今朝はほとんど眠れなかったので、もうくったくた。かなりの散財をしてしまったし、もう今月はいろいろと気をつけないといけない。仕事も進まず。これで改めて気合いを入れてやっていくほかない。