漁書日誌 3.0

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漁りの楽しみ

本日は紙魚展初日。
会場に到着したのは17時くらいだったか。1時間、みてまわる。ザッと見ていったのだが、けっこう黒っぽい棚があちこちにあって面白い。明治の小冊子ものがドサリとあった棚など、ついついとあれこれと漁り倒してじっくりみてしまう。無論、価格も数百円。安いし、漁っていて、これは…というちょっと面白いものがあると嬉しい。図書館にはあるだろうし、日本の古本屋なんかで探せば入手も出来るのではあろうが、何ら脈絡無くその場でその資料と対面し、これは面白い資料なんではないか、とちょっと抱えてみる、あとでウンウン逡巡しながら棚に戻す、とか、こういう時のあまり何も考えずに漁って楽しいというのが古書展の本当の醍醐味なのであろう。窓展や趣味展ともまたちょっと違う楽しみである。
で、今日買ったのは以下。


谷崎潤一郎「恐怖時代」(金星堂)大正14年10月10日13版カバ痛2000円
亀谷正司他「快弁自在 演説鍛練法」(国華堂)大正2年2月13日カバー500円
アイゼンステイン「印刷革命」(みすず書房)カバ帯2000円
キーワード事典編集部編「バロック的」(洋泉社)520円
小林信彦「1960年代日記」(ちくま文庫)カバ200円
長谷川伸「石瓦混淆」(中公文庫)カバ100円
谷崎のは目録注文品。金星堂名作叢書の上製後版である。これのカバーは、かつて見たことがあったが、まさか入手できるとは。痛みもあるけれども嬉しい。なかなかカバーが残存していないようで、他の作家のでもまず見ない印象。
それから「印刷革命」はちょうど安く欲しかったのでこれも嬉しい。値札には3000円を消して2000円とあった。演説の本は、500円は高かったかもしれないが、まあいいかと。カバーも綺麗で、中身はいろいろなシチュエーションを装幀した演説の例文のようなものが羅列してあるのが面白い。これが明治20年代後半あたりの本だったら、また意味が違ってくるのであるが。200〜300円くらいの面白そうな明治期の小冊子ものも幾つか抱えていたのだが、戻してしまった。当たっているとは思わず、谷崎のも含めてけっこうな出費になってしまったが仕方ない。