漁書日誌 3.0

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炎暑の趣味展

趣味展である。朝イチ、開場の15分くらい前に開場前に並ぶ。10分前くらいか、入り口のガラスドアが開いて中に。しばらくするとゆっくりと階下へ進んでいく。下の会場入り口前の帳場前の溜まりに人を詰めているのだろうなと降りていくと、すでに開場しているではないか。まだ9時55分であった。なんで一斉スタートにしないんだろう。

扶桑書房の棚へ。そんなに混んでいるというわけでもなく、量もいつもよりは少なめのような気がした。扶桑さんに聞いてみると、今回は追加はなしということであった。しばらく漁ってから、会場を一周。

お昼過ぎ、会計。

澤柳政太郎「読書法」(宝永館書店)明治35年7月28日12版1000円

吉本襄「読書と静坐」(狂簡文荘)明治35年1月5日再版300円

「読書法」は英米の読書論などを参考に「編述」したものだと序文にある。千円はちょっと高いが、明治期における読書言説として3個資料として。「読書と静坐」はそれの中国版とでも言った趣のもの。

岡鬼太郎「あつま唄」(南人社)大正7年5月15日4版毛筆献呈署名入800円

吉井勇「娑婆風流」(岡倉書房)昭和10年7月18日初版函1000円

鬼太郎のはとうに持っているけれども署名入りということもあって購入。「娑婆風流」は前からちょいと欲しかった随筆集。というのは本体の青水色白のチェック柄の布装が気に入っていたからである。同じ本が同じ値段で2冊あったんで綺麗な方を選んだ。

西川一草亭「風流生活」(第一書房昭和7年1月25日帙500円

この本、本の存在自体は前に第一書房の本をちょっと調べた時に知ってはいたのだが、実物を見るのは初めて。菊版角背上製本316ページ、背題簽はもとよりなし。限定425部。すごいのが見返し、本文と全部のページに著者による2種の絵を雲母刷してあることである。刊行者あとがきによれば、雲母に活版印刷すると活字に雲母の粉が詰まってしまい10枚くらい刷ってはいちいち洗ってを繰り返し他との由。定価は7円。かなり凝った造本で、これは製作資金を著者が出しているのかなあとも思われた。著者は生け花の家元。さすが金がある。帙の紐が片方切れてしまっているが、安いし、印刷物資料として購入。

斎藤昌三「三十六人の好色家」(有光書房)昭和48年4月ビニカバ函550円

三島由紀夫「近代能楽集」(新潮社)平成2年9月10日筒函550円

斎藤昌三のは亀山巌装幀の本でこれは普及版。確か特装は表紙が分厚い透明アクリル板が貼付してあるような本だったと思う。この本の新書版はとうに持っているけれど、まあいっておくかと。三島のは三島没後20年の1990年に「新装復刊」としてでた8冊のうちの一つ。筒函になっている装蹄は菊池信義。シリーズ全部が同じ値段で出てて、余裕があれば全部買っていたかもしれない。

そしてこちらは先日届いた扶桑書房目録で注文したもの。

仮名垣魯文「高橋阿伝夜刃譚」第8編上中下袋4500円

これは袋目当てで、何も当該作を揃えようとも思っていない。いわゆる明治草双紙の袋付きを資料用として持っていたかったのである。

まあこれがあったので、趣味展会場ではなるべく買わないようにしていたのであった。