漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

猫と馬鹿

趣味展である。

先週が窓展で開場前に駆けつけたが、これが二週も続くとなかなかつらい。体力的にも出費的にも、である。9時48分ごろに開場着。30人くらい列んでいるが、その後も続々と人が来て50名くらいかというところで開場。入り口のところで検温して階下に降りると既に入り口は開いている。扶桑書房の棚に駆けつける。棚が随分と少なくなった。扶桑書房の棚は壁面2つのみ。しかも半分のほとんどが目録掲載品。扶桑さんに伺うと、今後もずっと減らすという。

とはいえ、気のせいか今回はいつもより値段が下がっているような印象があった。開場から90分くらいで、リバースが結構あって面白い。それから会場を一回り。お昼、帳場に本を預けて、丸香にうどんを食べに行き、その後お茶して一服の後に再び会場へ。以前ならばここで田村の外台などを覗いていったものである。

ここであれこれと逡巡して、何冊も棚にもどし、お会計。

納所弁次郎編「日本軍歌」(博文館)明治25年4月7日袋500円

菊池幽芳「新聞売子」前編(駸々堂明治34年1月20日3版1000円

軍歌の本は袋目当て。本体は和装。歌詞は活字ではなく整版印刷で、美妙や小波など。「新聞売子」は催眠術がキモとなっている小説。多色刷木版口絵があるのだが誰のだかわからない。固有名詞などは日本に置き換わっているが元々はイギリスの小説。

夏目漱石吾輩は猫である」上巻(大倉書店)明治40年8月25日11版背痛2000円

夏目漱石吾輩は猫である」中巻(大倉書店)明治41年2月15日8版2500円

上巻は見返し補修、しかも雑。

村上浪六「馬鹿野郎」(金葉堂)明治44年7月19日函400円

「趣味」明治43年4月号400円

浪六のは函があったため。取り出し口に本体を取り出しやすいように半円状の切り抜きがある。明治期の本の函には、これ、よく見かけるような印象。もっと大きくいわばデザインとして採用しているような本もある。「欺かざるの記」元版などもそうだ。「趣味」はなかなか面白そうな記事があったため。

真山青果「青果集」(新潮社)明治41年4月25日再版400円

生田長江編「ダンヌンツイオ死の勝利」(青年学芸社)大正3年8月20日5版400円

加藤朝鳥編「ダンヌンツイオ犠牲」(青年学芸社)大正3年8月20日4版400円

青果集はもう一冊初版があったが1500円だったか。再版で十分とこちらを。ダヌンツィオは状態もよく嬉しい収穫。ともに青年学芸社のエッセンスシリーズ。

内田魯庵「読書放浪」(書物展望社昭和7年6月10日限定千部記番袋欠1000円

室生犀星「復讐」(竹村書房)昭和10年12月20日函欠800円

犀星のは表紙裏表紙ともに本作の原稿が印刷されているという装幀。装幀目当てでの購入。魯庵のは、先日普及版を購入したばかりであったが、当然こちらの背革装のが欲しかった。これは皮の状態もよく嬉しいところ。前見返しに魯庵の名刺が貼付されているが、これはデフォルトの仕様なのかしら。

書物展望社編「書祭」天(書物展望社)特装版昭和14年11月8日函400円

「書物趣味」昭和8年1月400円

「書物趣味」は座談会掲載のため。「書祭」は「書物展望」100号記念のアンソロジーで、過去同誌掲載のものよりピックアップし、天地人と3冊にまとめたもの。奥付によるとこの本は羽二重装幀の特装版らしく番号も奥付にあるが、限定何部なのかはわからない。普通は紙装なのかしらと。

永井龍男「自撰作品十一種」(新潮社)昭和49年6月25日函巻カバ500円

萩原朔太郎「月に吠える」(名著復刻全集近代文学館)カバ200円

永井龍男のは、実は前から綺麗なのが欲しかった本。背革装で本文2色刷。

十一代目市川團十郎襲名大興業筋書200円

「コメディアン」(俳優座)昭和46年1月1日200円

十一代目団十郎のは三島の「鰯売恋曳網」がある。昭和37年のものである。半券つき。「コメディアン」は俳優座の劇団新聞。アンケート集計などが掲載されていたので何かの資料になるかと購入。

いやはや、これでも絞りに絞っての購入なのだが、かなりの出費である。またあれこれと古本を売却しなければならない。