漁書日誌 3.0

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逃しの趣味展

本日は趣味展初日。いつものように朝イチだー、のつもりでいたのだが、疲労が溜まっているのか昨夜の寝不足か起きられず、結局会場に到着したのは正午過ぎとなった。既に扶桑書房の棚は、最下段が取り外されている(つまりそれだけのものが全て売れたということだ)。朝イチで来ていた友人に聞くと、今日はいつもの趣味展よりも多かったというから、かなりの勢いで売れたのであろう。それでもぺんぺん草というわけでもなく、真山青果「青果集」再版裸1500円とか谷崎潤一郎「蓼食ふ蟲」の凾付が2500円だったり(凾は痛んでいるが本体の表紙はキレイめでこれは安いと思ったが、見返し全部張り替えであった)、まあ結局棚に戻してしまった。
ただし今回は注文品も3点あり、それによっては予算が大きく変わる。ということで確認してみると、2点確保であった。実はヤフオクで古書の落札などもあり、ギリギリに絞って以下の収穫。

谷崎潤一郎全集(改造社)内容見本2000円
谷崎潤一郎「芸術一家言」(金星堂)大正13年10月20日初版凾3500円
内容見本は昭和5年から刊行の始まった谷崎全集の内容見本。そして「芸術一家言」はこれも既に所持しているのだが、凾付である。この本、布表紙なのだがこれとは別に紙表紙のものがあり、それぞれ凾が異なるようである。凾自体なかなか見ないものなので、この価格で入手できたのは嬉しい。この2点は注文品。もう1点注文していた尾崎紅葉他「黄櫨匂」初版はハズレ。

三田文学明治43年10月1000円
緑葉さとう「夢の夢 男三郎之歌」(三好学友館)明治41年3月5日痛切汚600円
三田文学」は谷崎の「飇風」掲載号。同号はこれによって発売禁止となった。5年くらい前に入手し、その後、「飇風」だけを削除した雑誌を入手、そして今度は未削除で綺麗なのを一番安く入手という流れで、同号を3冊所持している。すべて扶桑棚から買ったものだ。発売禁止といいながら、けっこうあるなあと。ワタクシが会場に着く前の雑誌争奪戦はかなり凄かったらしい。
「男三郎之歌」は、もちろん御存知野口男三郎の事件を七五調の歌になおしたもので、社会的事件もこんな風に歌にしていたのかというのが興味深く面白い。

♪ああ世は夢か幻か……というやつである。これは扶桑書房の棚ではなく他の書店の紙もののカゴの中から見つけたもの。ボロボロで600円はウムムと思ったが、珍しく興味深い資料として購入。

三上晴子「オール・ハイブリッド」(ペヨトル工房)カバ300円
村田沙耶香コンビニ人間」(文藝春秋)カバ重版200円
「毛主席語録」縮刷版(外文出版社)2刷300円
三上晴子は先年亡くなった現代美術の人で、80年代中頃に飴屋法水らとコラボレーションなどしている。その時の作品写真なども収めた写真集。赤い手帖は参考資料として。「コンビニ人間」も実は未読なので一応ザッと読んでおこうと。
いやしかし、先週の特選やブックフェスなどとも合わせてかなりの散財。寒くなっていき時期に冬物も買わないといけないのに、すっからかんである。また本を売るしかないのか。
以下は、先週来た扶桑書房目録速報で注文した本とヤフオクで購入した本。これがあったので、趣味展遅刻は残念だが、開場から行っていたらもっと買っていてしまったろうし、これでよかったのかもしれない。

谷崎潤一郎「肉塊」(春陽堂大正13年1月15日4版凾4000円
尾崎紅葉「をとこ心」(春陽堂明治26年11月23日再版1000円
吉田一穂「桃花村」(彌生書房)昭和47年11月20日初版凾1円
最後の1円という吉田一穂のエッセイ集はマケプレ購入。この本はオルタナ編集者の郡淳一郎氏に教えて貰ったもので、吉田一穂晩年の詩論が刺激的に展開されているもの。