漁書日誌 3.0

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連休古書

ここのところの古書。

まずは土曜日の連休初日。ぐろりや会古書展には間に合わず、扶桑書房事務所へ。新たに出来た100円均一棚から2冊を抜き出し購入。

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鈴木善太郎「紙屋橋」(野田書房)昭和13年7月24日初版特製凾100円

宇野浩二「文章往来」(中央公論社昭和16年10月28日初版凾100円

鈴木善太郎はモルナールの翻訳で知られているだろうが、「暗示」やら「人間」といった著書に興味がある。これも小説集らしいので、というか、野田書房なので買ってみたといったところ。宇野浩二は文壇回想ものが少なくなく、安ければ買うようにしている。これは葛西善蔵あたりの回想などを収録。

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「紙屋橋」は池田遙邨による多色刷木版画装。角が面取りしてある。木下杢太郎の「雪櫚集」特製本みたいだなと思ったことであった。天小口は天銀?酸化して黒くなってしまったような感じ。並製は未見だが、特製はしっかりした造本でさすが野田書房という気もする。

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小杉天外「女夫星」(春陽堂)明治33年10月13日初版2099円

こちらはネットオークション落札品。今更小杉天外なんぞという感じもするのだが、「写実」というものが意識されるようになり、それまでの家庭小説とどう異なるのか、なにが意識されていたのかという観点から天外は安ければちょびちょび買っていたが、「コブシ」とか永遠に積読かしら。

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昭和の日である今日は、三鷹のSCOOLに吉田アミ「サマースプリング」(太田出版)の舞台化作品を見に行く。15時開演の回はアフタートークに同書編集の郡淳一郎氏と木村カナ氏が登壇でこれ目当てでもある。舞台化といっても演劇化というのではないパフォーマンス。なんというか、ある意味圧倒的なステージであった。

その帰るさ、せっかく三鷹くんだりまで出たのだからと、悪い癖で荻窪にて途中下車。ささま書店を覗いて、3冊ほど購入。まずは外の均一棚から。

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谷崎潤一郎細雪」(中央公論社)昭和24年12月20日初版凾100円

岡野他家夫「明治の文人」(雪華社)昭和38年11月10日初版凾100円

細雪」は初刊3冊本の合本縮刷で、本文2段組。

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たまたまこういう栞が挟まれていたが、ここで「縮刷版」と版元が銘打っている。ただし、縮刷版といっても、戦前の縮刷版はもっと活字が小さく判型も袖珍本であるものというようなものであったが、これは四六判か。「縮刷」自体の意味が変わったのか。

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澁澤龍彦「黒魔術の手帖」(桃源社昭和36年10月5日初版凾帯2000円

これはちょっと高かったが、実は持っていなかった初版でしかもコンディションがよい。そのうえ、当時の献呈箋と、桃源社の矢貴昇司の識語入献呈名刺が挟まっていたのが珍しく購入しようと決めた。これはちょっと嬉しいな。