漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

古書ほがい

コロナ第4波来るのかというところで、またぞろ緊急事態宣言が出てしまうとへたをしたら見られなくなってしまうかもと、今週は文学展ふたつに赴いた。

ひとつが、さいたま文学館で開催中の「江戸川乱歩と猟奇耽異」展である。本来は1月16日からであったのが2ヶ月もおしてしまったのである。実は、ワタクシはこの展覧会に資料を貸し出しており元より見に行く予定であった。

f:id:taqueshix:20210330163830j:plain

桶川も下車したのは初めてで、文学館は駅からも近く新しめの複合的施設のようであった。乱歩ばかりでなく、涙香の「無惨」以後の探偵小説(的)作品も紹介され、全体的には、近代文学における乱歩的なものがどういう流れで拡がりをもっていたかがはあくできるような展示であった。ワタクシの行った翌日から入場は予約制になった由。

f:id:taqueshix:20210330213501j:plain

こちらが限定700部の図録と会場で買うともらえる特製乱歩栞。

そしてもうひとつが神奈川県近代文学館で開催中の「永遠に「新青年」なるもの」展。こちらは20日から開幕。

f:id:taqueshix:20210401160701j:plain

こちらにもまた涙香「無惨」の横溝正史旧蔵本が展示。乱歩もそうだが、「新青年」周辺の作家の肉筆ものなどズラリと展示してあり、幅広く「新青年」なるものとはというものを追いかけている。探偵小説ばかりでなくファッション記事などにもフォーカスをあてていたのが面白かった。

f:id:taqueshix:20210401234204j:plain

こちらが図録。バッヂは学芸員さんにいただいたもの。さいたま文学館の図録もそうだが、こちらもマストバイだろうなあ。奇しくも乱歩二連続のような感じになったが、やはりガラス越しにでも実物を見るという体験はやはり違うなあと。

で、ちょうど横浜に行った日に扶桑目録が到着。あるコレクターの蔵書処分特集ということらしい。乱歩の欲しいところがお安めに出ていたので注文してみたがすべて売り切れ。結局、1点のみ欲しいのが残っていてそれが土曜日午前中に届く。

土曜日、扶桑書房事務所をひさびさに開けるというので赴き、少々古書を買ったので以下にまとめて記す。

f:id:taqueshix:20210403212751j:plain

吉井勇「酒ほがひ」(昴発行所)明治43年9月7日初版裸4000円

夏目漱石吾輩は猫である」(春陽堂)縮刷大正6年10月10日35版凾欠800円

「酒ほがひ」が目録注文したもの。正誤表もついている。状態もよくこの価格というのは嬉しい。装幀は高村光太郎。縮刷の猫は耳が完全な状態。こちらは事務所で購入したもの。

f:id:taqueshix:20210403212629j:plain

f:id:taqueshix:20210403212721j:plain

久米正雄「蛍草」(春陽堂大正8年1月25日4版凾欠

島田孤村「妖婦短冊お留」(春江堂書店)大正2年9月1日初版印裸

夏目漱石「こころ」(岩波書店大正11年9月15日43版凾欠

黒川嘉雄「愛は輝く」(蛍文閣)大正15年3月1日初版

長田幹彦「鶯姫」(春陽堂大正8年6月25日3版凾欠

小杉天外「縮刷魔風恋風」(春陽堂大正11年3月15日11版凾欠

以上、3冊100円で合計200円

怒濤の100円コーナーで面白いものをお安く入手できた。とりわけ「蛍草」は嬉しいところ。

***********************************

f:id:taqueshix:20210402170859j:plain

アバンギャルドシアターEX『MISHIMA祭り』@池袋GEKIBAでの「あやめ」(寺原航平演出)、「班女」(八木タケル演出)を観劇。年明け最初の芝居である。「あやめ」は上演自体珍しいところ。2名が複数を演じ分けながらやるという構成。「班女」もそうだが、両方とも俳優は台本を手にしていながらほとんどそれを読まない。わざとああいうスタイルにしているのか。4月2日。