漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

秋へ向けての古書

扶桑書房目録が来た。いつも突然である。一気に目を通していき、絞り込む。今回は買いたいものがある、というか多くて困る。いろいろと私事で入り用で懐もキツイのだが、しかしこれはいま逃したらもうないというのもあり、ママよと注文。それが早速届いた。

f:id:taqueshix:20190905035623j:plain

恒川陽一郎「灯ともし頃」(磯部甲陽堂)大正4年11月1日初改装2500円

小川未明「血に染む夕陽」(一歩堂)大正11年2月20日初版印6000円

吉屋信子「屋根裏の二処女」(交蘭社)大正13年11月10日初版凾6500円

これでもかなりの買い物ではあるが、しかも恒川陽一郎は改装本で和装にしてある。恒川は「旧道」重版凾付であれば持っているが、この本は書影を見たことすらなく、国会図書館にもない。改装であろうが珍しさでいえば比でないので購入。中身は小説集で、「旧道」含め5篇を収録。

f:id:taqueshix:20190905035804j:plain

未明のこれも初めて見る本。角背布装だが表紙に芯が入ってない柔らかい表紙。元はおそらく凾があったかなと思われる。恩地孝四郞装幀かなと思えるが、それにしてはアクが強くて恩地モドキっぽいような気もする。それから吉屋信子。「屋根裏の二処女」の最初の版は洛陽堂から出たもので、こちらは裸本であれば前回も買ったものだ。この交蘭社版はかなりシンプルな装幀で、羽二重に箔押し。凾背にごく一部欠損があるのでこの値段か。この価格はお得である。

かなり痛い出費であるが、本としては大満足の収穫。しかし、である。昨夜、いま書いている本の資料としてどうしても必要な本が検索したら出てきてしまった。これがまだ売れ残っているかどうか、資料としても、いやそれは関係なく以前から欲しかった本ではあるが、連絡待ちである。

f:id:taqueshix:20190905095926j:plain

f:id:taqueshix:20190905100107j:plain

谷崎潤一郎「アヱ・マリア」(全国書房)昭和22年10月25日初1000円

これはいま書いている全国書房の谷崎本の原稿のために買った本。全部で8冊ある谷崎の全国書房本のなかでこれは持っていなかったために、急ぎ注文して、先日、日本書房まで直に取りに行ってきたもの。東郷青児の装幀で、挿絵も4枚挿入。