漁書日誌 3.0

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師走は寒い

12月16日、ぐろりや会古書展、五反田古書展とふたつの古書展の初日である。まず向かったのが神保町。注文品はない。稲垣足穂の年賀状2通12000円というのがあったが申し込んではいない。このところ芝居続きで金欠で、余裕のある買い方はもとよりできないのである。

で、ザーッと回ってリネン堂の棚があれこれと面白くじっくりと見てしまった。しかしここの棚にあった紙ものの入った段ボールを一人の中年男性が抱えるようにずっと独占しており、しかも紙もの一枚一枚をスマホで「日本の古本屋」検索していて、邪魔だなあと見ていたら、こちらの視線に気がついたのか、なんとその段ボールごと抱えて他の本屋の棚に持っていきそちらで検索していた。しょうもない手合いがいるものだ。

会計を済ませてから、今度は大急ぎで古書会館を出て神保町駅へ向かう。都営三田線浅草線と乗り継いで五反田へ。会場到着は閉場10分前。残念ながら下のガレージは見ること叶わず2階の会場へ行き、ザーッと見る。結局1冊のみ。

マラルメ「骰子一擲」(ガリマール)550円

岡野他家夫「伝記の文献」(古通豆本)200円

雑誌「工芸」115号少痛虫喰200円

筋書「国際演劇月三月大歌舞伎」100円

中村哲郎「歌舞伎の幻」(前衛社)昭和45年9月9日カバ帯献呈名刺500円

マラルメのは原書を一応持っておきたかったため。1969年に出た版。「工芸」はご存知柳宗悦の。10枚染紙の見本が貼付されているが1枚欠。染紙は三代沢本壽。おお三代沢といえば谷崎の「月と狂言師」限定本装幀の染紙もこの人の作だ。この雑誌の表紙も木版刷ではなくって染紙。昭和21年12月のものだがこの時代でこの贅沢さ。筋書は谷崎の「お国と五平」を上演した昭和27年3月の。そして「歌舞伎の幻」は唯一五反田で買った本だが、これは三島由紀夫序文。とうに持っているが献呈宛名入り名刺がついていたため。近藤信行宛。中公の編集者である。

しかしここ数日で気温がグッと低くなった。寒い。というか、これがこの季節当たり前なので、今までが少し暖かすぎたのかもしれない。

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三島由紀夫作「サド侯爵夫人」(鈴木忠志演出)第二幕@吉祥寺シアター

コロナ前にも今時分の頃にやっていて一度観に行ったことがある。これは17日昼の公演。客席もほぼ満杯であった。あの独特の演技と美空ひばりの音楽は前と同じ。上演後のアフタートーク渡辺保。矍鑠としていた。