漁書日誌 3.0

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秋だが初夏をつかまえる

ちょうど木曜日から潮目が変わったように夏が終わった。いまだに湿気で汗をかくけれども、夏のような感じは消えて空気が切り替わったと肌で感じる。

そして金曜日、窓展。注文品はない。開場15分前にいく予定が、バスを乗り逃がして結局は開場して10分後の到着。あきつ書店を中心にザーッと見て行く。薄田泣菫「落葉」裸初版900円とか、北原白秋「兎の電報」後版痛み本200円とかを棚に戻す。とにかくお金がないので、ケチりにケチりたいということで、お昼に抜けて再度会場を漁ってからのお会計は以下のごとし。

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「小学唱歌集第二編」明治18年5月再版400円

岡崎英夫「鈴蘭のたより」(宝文館)大正14年5月1日50版背痛200円

改造社図書目録」昭和4年6月100円

「高祖保詩集」(岩谷書店)昭和22年8月15日300円

「素面」54号(昭49・9)200円

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「ダブル・ノーテーション」1号(UPU)1985年3月300円

文学増刊「明治文学の雅と俗」カバ帯400円

唱歌集」は第一を持っていたので。「素面」は安成二郎特集。

面白いのは「鈴蘭のたより」で、これは羽二重装の表紙を開くとリボンで紙束が綴じてあり、その紙束は少女の手紙のやり取りという体裁となっているもの。これで50版てけっこう売れているなあと思うのだが、いかに当時エス的女学生カルチャーのなかで文通がフューチャーされていたかということか。かなり凝った造本、印刷。葉書の体裁だったり便箋だったり、それらはちゃんと手の筆跡で便箋の柄なども印刷されている。

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こういう感じ。まだまだなにも知らないことばかりである。

それから、帰宅して見たら届いていたマケプレ注文および美術館へ通販注文していた図録が到着していた。

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ヴォルフガング・ウルリヒ「不鮮明の歴史」(ブリュッケ)カバ帯1780円

波戸岡景太「映画原作派のためのアダプテーション入門」(彩流社)カバ862円

図録「本間国雄展—旅に生きる」(米沢市上杉博物館)1026円

上記2冊はどうでもいいとして、本間国雄(国生)の展覧会が開催されていたのは知らなかった。詳しい年譜があるだろうと睨んでの購入だが、こちらが把握している以上のことはやはりよくわからないようである。

これはたまたまネット古書店で見つけてしまっておとついくらいに届いたもの。前回のエントリに書いたものである。探求20年、ようやく入手。

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名越国三郎「初夏の夢」(洛陽堂)大正5年11月25日献呈署名入9000円

最初は、2000年前後だったか、書肆ひぐらしでカバー付が5万円で出た。もちろん、とてもではないが買えない。ちょうど生田耕作の「奢灞都」という雑誌で知った頃で、それから谷崎の『人魚の嘆き』挿画であれこれ調べて古通に原稿を発表したという経緯がある。あれが2000年3月か。その後、扶桑書房一人展の目録にカバ欠20000円で出たが、逡巡に逡巡を重ねて、限定版「蘆刈」と杏奴宛献呈署名入の森茉莉の本を注文して「初夏の夢」は選ばなかったのであった。以来、古書目録でもネットに日本の古本屋でも全く見かけなかった。それが、先日ひょいとネット検索したら出ていたのである。しかも献呈署名入り。献呈先の本山松陰とは本山彦一大阪毎日新聞社長のこと。

いやしかし買わないわけにもいかず、大喜びではあるが、いろいろと逼迫しているなか大打撃でもある。しかしまあ、この画集も使っていま旧稿に手を入れている。