漁書日誌 3.0

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盛夏の高円寺

vintage book lab.展に行く。毎年夏の西部古書会館である。しかし暑い。だいたい9時半過ぎくらいに高円寺着、駅前の喫煙所で一服してから会場へ。今日は昨年よりも混んでいたかなという感じで、並んだ位置は去年よりもちょっと後ろの方であった。で、熱中症に関するアナウンスが繰り返しあったあと、開場。荷物を預ける棚が入り口のところに設置されてはいるが、荷物預けは必須ではなく、預けている暇もなくカゴを手に目当ての棚である盛林堂の棚に向かう。

あらかじめ棚の写真がアップされているので、ある程度の目星はつけていたのだが、これはというのは抜かれた後であった。それではと他の箇所をまわり、目をつけていた本はほぼ手にすることができた。基本500円均一だが、ごく一部に300円も混ざっていた。「三人叢書」とか当初は買おうと思っていたが、重いし置き場所やら何やら考えて、なるべく買わないようにと手にとっては戻すということを繰り返す。一旦、帳場にカゴを預けて、会場で落ち合った友人とお茶、そして食事に出る。会場は空調が効いているが外に出るとかなり暑い。寝不足ということもあってかなりグタグタ。

昼食後に戻ってきて、改めて棚を見ていく。リバースがあったのか、午前中には気が付かなかった本があって買いそうになったが、グッと抑えて、何も新たには足さずにお会計。

菊池幽芳「夏子(愛と罪)後篇」(春陽堂)奥付欠痛

八瀬不泥「恋の白蓮夫人」(時事出版社)大正10年11月12日初版函

「夏子」はボロボロだが木版口絵のために。「恋の白蓮夫人」は嬉しい収穫。まあ当時のスキャンダル本といえばよいか。背継布装で凝った装幀。

ポオ(谷崎精二訳)「赤き死の仮面」(泰平館書店)大正2年7月10日裸

窪田十一「人肉の市」(大日本雄弁会大正11年11月18日116版裸

ポオの方はちょっと汚れが目立つけれどもまあ。「人肉の市」は高畠華宵装で有名な重版本ですでに持っているが、所持本はちょっと背が壊れているため。表紙の汚れは消しゴムで消えるかもしれない。この本はエリザベート・シェーエン「20世紀の恥辱、白き女奴隷」の翻訳。

黒田礼二訳「表現派戯曲集」(叢文閣)大正13年12月8日印

川崎長太郎「朽花」(砂子屋書房昭和12年5月1日初版カバ欠

実は「表現派戯曲集」は所持しているが、こちらの方が綺麗だったので。表紙にラベル剥がし跡があるけれども。そして「朽花」はカバー欠だが嬉しい。著者の2番目の本。

夢野久作「暗黒公使」(新潮社)昭和8年1月15日初版函欠

「獅子狩の人他二篇」「赤狼城秘譚・失踪夫人」(改造社)カバ2冊入函

夢野久作のはご存知、新作探偵小説全集の第9巻。函欠だが状態もよくワンコインならばめっけものである。世界大衆文学全集の2冊セット函は、71巻の秦豊吉訳と79巻藤田龍郎訳の昭和6年11月配本セット。お目当ては秦豊吉の方。こちらも裸なら持っているが、この本はエーヴェルスの「プラーグの大学生」が入っているのである。ほかにドーデー「獅子狩の人」、ゲーテ「ヘルマンとドロテア」が収録。

辰野隆「あ・ら・かると」(白水社昭和11年6月1日初版函

リラダン渡辺一夫訳)「トリビュラ・ボノメ」(白水社昭和15年2月6日初函献呈署名1500円

辰野のこの本は安く探していたので嬉しい。背にコルク板を使用した装幀なのである。「トリビュラ・ボノメ」は目録注文品で墨筆献呈署名入り。会場の棚にはこれの函が傷んだ署名なし本があったけれども。

山田風太郎「陰茎人」(東京文芸社)昭和29年11月10日初版カバ欠

園田てる子「黒い妖精」(東京信友社)昭和35年6月15日初版カバ

「陰茎人」はもう10年以上前にも裸を買って持っていたがその後売却してしまったなあと。「黒い妖精」は未知の本だがなんとなく買ってみた。

山田一夫「京洛風流抄」(白川書院)昭和36年4月1日初版カバ墨筆献呈署名3300円

川端康成「片腕」(新潮社)昭和40年10月5日初版函帯300円

山田一夫は目録注文品。なかなかいい宛名であった。川端はもちろん持っているが、この本は背焼け本が多く綺麗な本は持ってなかったので。「眠れる美女」の綺麗めな帯付きもあったが、再版だったので戻した。こんなのも今更だが。

マンディアルグ生田耕作訳)「黒い美術館」(白水社)1968年1月10日初版帯

高橋睦郎編「さようなら ありがとう」(黒野利昭を偲ぶ会)平成15年5月3日カバ

「黒い美術館」はちょっと原稿用に。そして今回こんなところにあるとはと意外だった拾いものがゲイバー・クロノスの饅頭本

人文書院版の「ヴァリエテ」各500円やら「三人叢書」500円なんかも欲しかったが、結局棚に戻す。これだけでもけっこうな出費でもあり、重くて持ち帰りが大変である。友人とお茶してから帰途。ぐったり。しかし高円寺も往時とくらべるとかなり変わったなあという気がする。