さあ今年もきた特選と青展。

年1のイベントでもあり、これは朝イチで向かう。といっても会場到着は開場10分前くらいで行列の最後尾近く。魚山堂、あきつ、けやきなどの棚を見ていく。

夏目漱石「吾輩は猫である」(大倉書店)明治41年8月10日5版カバ欠800円
夏目漱石「吾輩は猫である」縮刷(大倉書店)大正8年1月30日53版函欠500円
梅原北明「秘戯指南」(文芸市場社)昭和4年5月1日送り函美1500円
泉名月「羽つき・手がら・鼓の緒」(深夜叢書社)昭和1100円
「秘戯指南」の正続がそれぞれ送り函付きで出ており、一瞬抱えるも、逡巡の末に続編は棚に戻す。これは装幀史を考える上でも欲しい本で、前にボロボロの本を持っていたが状態のいいものが欲しかった。ただ正続2冊と考えると思いし場所も食う。中身が読みたいわけでもなし続編は似たような装幀だしということで。酒井潔装幀。
それから古書会館を出て靖国通り沿いの古本ワゴンを順々に見ていく。

小川未明「血で描いた絵」(新潮社)大正7年10月28日初版函欠痛800円
志賀直哉「或る朝」(春陽堂)大正10年6月20日再版函500円
深尾須磨子「イヴの笛」(むらさき出版部)昭和11年5月10日初版函500円
盛林堂のワゴン。志賀のは現代文芸叢書の一冊で、初版はたしか発禁本ではなかったか。未明のはすでに持っている。深尾のはかわいい装幀で安かったのでつい。

沼正三「家畜人ヤプー」(都市出版社)昭和45年2月20日2刷函帯500円
コクトー高橋洋一訳「フランソワの薔薇」(森開社)1975年11月20日
ヤプーはとうとう2刷を入手。これでヤプーは初版のみ各背上製本で本文スミ印刷で、2刷より並製本で本文緑色印刷ということの裏が取れた。森開社本は本文にも表紙の薔薇カットが入っているもので、限定500部記番。
土曜日は鎌倉に三島関連の講演を聞きに行き、日曜日は雨の中学習院大までオペラ「卒塔婆小町」を見に行った。そして月曜日、学校始まる前にチラと盛林堂のワゴンを見て購入。

小村雪岱「日本橋檜物町」(高見沢木版社)昭和18年5月20日重版函欠500円
吉田一穂「冷明集」(コーベブックス)昭和51年3月31日函帯1500円
結城昌治「隠花植物」(角川文庫)昭和52年10月25日初版カバ300円
雪岱のは「重版」と表記あるがおそらく2版。木版口絵があるから。3版は木版口絵がなくなる。一穂のは限定550部記番。
お次は水曜日。学校帰りに神保町に向かえば間に合う時間。

ユルスナール多田智満子訳「ハドリアヌス帝の回想」(白水社)1964年6月20日初版カバ500円
関口良雄「昔日の客」(夏葉社)2016年7月14日9刷帯500円
学校の帰りにここまで出てきたしと。ハドリアヌス帝のは白水社の「新しい世界の文学」シリーズ元版。おそらく帯欠。うちにあるのは丸背上製本カバ装のもの。このシリーズは上製本のこれが新装版ということになるのだろうか。そして昔日の客は、以前元版を持っていたが売却してしまったことがある。そしてそうこうしているうちに、扶桑書房から目録が届いた。で、1点注文。

二葉亭四迷訳「浮草」(金尾文淵堂)明治41年9月23日初版帙4000円
帙にはシミがあり紐も切れているけれども。これも裸本なら所持しているが原稿用資料として帙が欲しかったもの。
で、土日は金沢の泉鏡花記念館へ。依頼された講演をするために1泊2日である。そして帰京してから今日はまた祝日だが昼から依頼仕事。で、寝不足でクタクタのところを神保町に向かう。最後のワゴン買い物。

ポウ牧野信一他訳「ユリイカ」(芝書店)昭和10年8月10日初版函1000円
ポウ西村孝次訳「ユウレカ」(山本書店)昭和10年5月20日初版函800円

長田幹彦「澪」(籾山書店)大正元年8月10日初版函欠2000円
佐々木善郎訳「ファントマ」(ハヤカワ文庫)昭和51年1月31日初版カバ300円
ルース秦豊吉訳「殿方は金髪がお好き」(奢灞都館)1982年11月カバ帯2000円
いやはや、買いも買ったりだ。「澪」は持っていなかったはず。そしてアニタ・ルースはすでに持っているが、所持本は帯欠のため。面白いのは、この本、帰宅してから見てみるとなんとカバー帯が二重に被せてあり、下のカバーは背が出版当時のオレンジ色そのまま。オレンジなので褪色しやすいのである。
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10月26日の日曜日は、オペラ卒塔婆小町@学習院百年記念講堂に行く。
昨年京都で上演されたものの東京公演。
そして今週の日曜11月2日は金沢・鏡花記念館での特集展示「三島由紀夫の愛した鏡花」の関連イベントで金沢へ行き講演。



金沢駅すぐ近くの地下で「いしかわ古本フェス」というのをやっていたので見に行く。買うものはなかったが、古文書などのオークションもやっていた。