漁書日誌 3.0

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汗ばむ窓展

ひさびさの窓展。会場の古書会館には9時50分過ぎくらいに到着。まだ外のガラス戸を開けておらず、古書会館前にジグザグに人が並んでいる。

やっとガラス戸が開いたと思った瞬間、ガシャんと音が。ふと大通りを見るとどうやら車に自転車が追突したようだ。なんか追突の原因になった?第3者を自転車のサラリーマンが捕まえて、車のところで何か話しているのを横目に古書会館へ。ちょいおしくらいで開場。あきつ書店の棚へ。

翻訳局訳述「仏蘭西法律書 下巻」(印書局)明治9年2月24日官許1700円

これは、最後の最後に逡巡して買った本。明治一桁の総革装ということで。分厚くて重くて家に置く場所はない。どうするのか。しかし窓展はカゴがないから本を抱えて移動したり棚を見たりしなくてはならず、これがなあと。

古谷慶作「暗の世大疑獄 相馬事件」(真林館)明治26年9月6日5版400円

「明治三十三年新刊 東京遊学案内」(修学堂)奥付欠製本済900円

古いものから順番にということで。相馬事件のは前にも「闇の世の中」というのを買ったことがあるが、明治初期の精神疾患スキャンダルとでもいえばよいか。今回のはそれのゴシップ冊子みたいなもの。そして「東京遊学案内」は嬉しい収穫。国会デジコレで同名の本は見られるが、実物は嬉しい。図書館にあるような紺色のクロスで再製本され背には金文字が押されていた。個人が製本したというより図書館用だったのか? ただ奥付欠(なのか裏表紙の背のところに印刷されているのか不明だが、この修学堂バージョンは国会にもなく書誌情報は不明)。

ダヌンチオ矢口達訳「巌の処女」(新陽堂)大正2年4月15日函欠200円

佐藤三重三「朝寝髪」(春陽堂大正8年5月5日3版函欠1300円

いまさらダヌンチオなんてという感じだが、翻訳文芸系はちょっと仕事で使うかもということで。三重三は前に後版を持っていたが売却してしまっていた。高いけれどもまあ詩画集として持っておくかと。

徳田秋江「閨怨」(植竹書院)大正4年7月5日初版函欠600円

西条八十「少女純情詩集」(講談社)昭和?年?月10日20版函欠200円

「閨怨」はだいぶ前から棚にあって、前はこれの3倍くらいしていたと記憶するんだがこの値段だったらと。この本では「近松秋江」ではなくて背表紙も奥付も「徳田秋江」名義。西条八十のは挿絵もたくさん入って、ビロード装幀。ただ奥付けの検印が剥がされ、そのために紙の表面が剥がれ重版の日付がわからない状態。まあ200円なら。

松崎天民「銀座」(銀ぶらガイド社)昭和2年5月5日初版献呈署名落款入900円

小島烏水「書斎の岳人」(書物展望社昭和9年8月11日限定函欠600円

「銀座」は開いてみたら献呈署名本だった。「謹呈大山大人/乞(提灯の絵)」とあって落款もある。そして「螺吹亭蔵書印」という蔵書印。誰なんだろう。表紙は汚れているがまあ。それから「書斎の岳人」だが、山登りの本だろと今までスルーしてきたが、今回パラパラしてみると「サロメ」初版本についてなど本についての蘊蓄も語られているしということで購入。限定980部記番。背中はミノムシ装。ゲテの一種か。

豊島与志雄「書かれざる作品」(白水社昭和8年9月30日初版函500円

岡田八千代「若き日の小山内薫」(古今書院昭和15年7月9日初版函200円

谷崎潤一郎「二月堂の夕」(全国書房)昭和22年6月帙300円

豊島与志雄は、この時期の白水社本というだけの理由で購入。「二月堂の夕」もとうに所持しているが、所持本よりも綺麗なので。

伊藤整「鳴海仙吉」(細川書店)昭和25年3月15日特製月報付函欠300円

谷崎潤一郎少将滋幹の母 乳野物語」(毎日新聞社)昭和26年3月20日初カバ200円

「鳴海仙吉」は興味ないけれども、細川の特製本なのでという理由で購入。白い羊革に銀箔でタイトルと著者名。これで昭和25年の本かと。「細川だより」も挟まっていた。

チャック・ヤング「ブロンディ2巻」(朝日新聞社)昭和24年4月20日3版300円

「谷崎文学入門」(中央公論社)刊記無200円

「ブロンディ」は戦後資料として。「谷崎文学入門」は横綴じの小冊子。刊記はないが、新書版谷崎全集の刊行途中に出た販促物と思われる。初めて見た。

増田五良「金曜抄三題」(五典書院)昭和43年2月5日限定署名函700円

黒岩涙香「弊風一班蓄妾の実例」(現代教養文庫)カバ110円

増田五良は「文学界」の本がある人で、この本も目録で見て知っていた。まあどんなもんかと。文庫はもちろんとうに持っているけれども、どこかに行ってしまったようなので。

東京朝日新聞社編「関東大震災記」(大正12年10月10日)200円

「蒐書通信」8号(昭和58年9月10日)100円

まあ震災のはどうでもいいとして、「蒐書通信」は知らなかった。近代文学研究者らが執筆。コレクターというより、研究者がおのおの見つけた資料について研究的視点から語るというようなもの。こういうのいまはもうないよなと。

それから以下は、先日ネットで入手したもの。

堀辰雄「聖家族」(江川書房)昭和7年2月20日木炭紙刷函たとう付函題簽欠25500円

いやあ、これはねかなり高価な買い物だがいってしまった。いつかは純粋造本の実物が欲しかった。野田書房の「窄き門」総革装は無理でも。函の題簽欠だからか、なんとかこの値段で落札できた。復刻版も持っているけれども、やっぱり本物は本物。今後の原稿執筆のいわば石炭として。