さて、今週の金曜から日曜日まで、西部古書会館で萬書百景市であった。いつもいい買い物ができるので朝イチである。で、金曜朝にかなり余裕を持って家を出るがバスが遅れている。10分遅れているせいで電車を逃す。そのせいであまり余裕がない時間に到着予定となってしまう。そればかりではない。金曜朝に上野駅で架線火災があって上野を通る路線はほぼ遅延。地元駅からの路線も遅延で、高円寺駅に到着したのが開場3分前くらい。駅からダッシュ。ゼエゼエ言いながらいま開場したというところに滑り込み。

が、前回はなかったシステムとして荷物預かりがあった。荷物預かりは前からあるが、預かり要員が1名のみ。つまり駆け込んで将棋倒しなどのトラブルを未然に防ぐ役割でもあるのだろう。ただ、荷物預かりがゆっくりなせいで、先頭組の一人勝ちのような感じでもあった。もちろん盛林堂の棚のことである。狭いところなので押し合いへし合いは趣味展以上かとも思われた。ツイッターにアップされた写真で、これは欲しいと思っていたものはとうに抜かれている。それでもへばりつくようにして見ていく。
これがという本はいくつもある。でも、もう所持している本。つまり昔買った本が買った値段の半額以下でしかも綺麗だったりする。ああこれ、こんな安いのかと確認して棚に戻す。その繰り返し。それからまあすごい混雑であるせいか、ちょっとダウンの入ったコートをきていたので汗だく。11時半過ぎ、一旦帳場に取置きを頼んで、友人とお茶して一服。その後、所用で神保町に出てから蜻蛉返り。
と、その前にせっかく高円寺まできたのだからと足を伸ばして荻窪へ行き、古書ワルツをチラと覗く。荷物にしたくないと思いつつも4冊ほど購入して、古書会館へ向かう。
古書会館にきて改めて盛林堂の棚を見ていくと、やはり、リバース品と思しきものがいくつかあって、そこからまた数冊抱えてようようお会計。目録注文品は当たっている。けっこうな支出になってしまった。それでもまあ、ビニール袋2つを、お茶飲みながら持参の布製トートに入れ替えて、帰途。
で、買ったもの。基本的に場では800円、500円、300円の値札のものしか買っていない。今回は(昨秋の青展のときもそうだが)知人のコレクターが手放した明治大正の文学書があれこれとあって、面白い買い物ができた。

新声社編「青年文集 彩雲」(新声社)明治34年4月25日初版印500円
斎藤緑雨「緑雨集」(春陽堂)明治43年3月6日再版函痛500円
「彩雲」は一条成美や鏑木清方の挿絵が入ってるもので、掬汀や梅渓なんかが書いている。「緑雨集」は函付初版を持っているのに書架で行方不明、これは函がついているがなんと函の底が欠でトンネル状になっている。が、会計の時に帳場に雑なオジサンがいて四辺のうちひとつが切れて取れてしまった。安いからって雑に扱うなよ。

古屋鉄石編「驚異的大魔術」(博士書院)明治41年4月4日再版改装800円
「夏小袖」はもちろん紅葉の作で、モリエールの翻案作品(だから森盈流)。後者はよくわからないが、コックリさんや降霊術から読唇術、金縛りから地獄極楽巡りまで、オカルト現象やら超能力的なものを紹介する本。改装だが明治期のものならと。

溝口白羊「家庭新詩 乳姉妹の歌」(春陽堂)明治39年4月20日痛ムレ300円
小川未明「紫のダリヤ」(鈴木三重吉)大正4年1月28日印ラベル剥がし跡500円
志賀直哉「大津順吉」(新潮社)大正9年5月5日8版痛300円
長田幹彦「ゆく春」(玄文社)大正10年10月15日35版函欠500円
「乳姉妹の歌」、初版はこんな判型だとは知らなかった。未明のは三重吉の現代名作集、志賀のは新進作家叢書。「ゆく春」は昔持っていたのを売ってしまって、しかしやっぱり大正期ベストセラー本として手許に欲しかったのでうれしい。

永井荷風「新橋夜話」(籾山書店)大正2年6月30日増補3版函欠800円
荷風のはこれパラがかかっているから写真ではわかりづらいのだが、緑なんですよ。初版再版は焦茶なのに。胡蝶本は橙、焦茶、緑の三種類の色使いがあるのだが、同一本の重版で色が変わるのは知らなかった。「留女」はとうに函欠を所持しているが、この値段なら。でも、小口が黒に染めてあるのである。たしかにこれでは値付けが難しいだろうなあと。

芥川龍之介「羅生門」(新潮社)大正8年6月20日改版初版函欠500円
村島帰之「ドン底生活」(弘学館)大正7年1月1日函欠ラベル痛献呈署名800円
この中では「ドン底生活」が嬉しい。表紙下半分は濡れたのを拭いた感じのようになってしまっているが、でもこの本は前に扶桑事務所の棚で見たような…。「天才泉鏡花」は3冊目だが、所持している2冊は、1冊は短冊欠、1冊は短冊あるが裏表紙欠。今回のはちゃんと短冊が付いていてようやく。

三島由紀夫「金閣寺」(新潮社)昭和31年10月30日初版カバ800円
三島由紀夫「獣の戯れ」(新潮社)昭和36年9月30日初版カバ帯500円

澁澤龍彦「フローラ逍遥」(平凡社)1987年9月28日6刷函800円
「幻想と怪奇」9号300円
「幻想と怪奇」5号500円
「幻想文学」13号500円
「フローラ逍遥」は重版でもいいから1冊持っておきたいなと思っていたのでお安く買えてよかった。けっこう売れた本らしいのに、現在でも重版でも古書価は3000円超えたりしているようだ。たしかに綺麗な本である。

「牧神」マイナス号3冊揃5500円
これは目録注文品。マイナス2と3はとうに所持しているが、マイナス1号が欲しくて注文したもの。これがなかなか出ない。やっと入手という感じ。資料用である。
で、以下は元ささま書房だったところで購入したもの。

森茉莉「恋人たちの森」(新潮社)1961年9月30日初版函帯440円
森茉莉「枯葉の寝床」(新潮社)1962年7月30日初版函帯440円
これはコンディションよくて入れ替え用に買ったのだが、ついている帯がそれぞれに挟まっていた。これがまた同じ帯なのである。おそらく「枯葉の寝床」の帯。これ、もしかしたら後帯とかそういうものか。不明。

ロートレアモン(栗田勇訳)「マルドロールの歌」(現代思潮社)1960年6月25日函帯220円
高須梅渓「江戸情調と悪の讃美」(牧神社)1975年11月30日カバ帯220円
「マルドロールの歌」の現代思潮社版はいろいろと装幀を変えて出ているが、これが最初のバージョン。これ、大学1年の時に鷺ノ宮の古書店で高いなあと思いつつ4000円で買ったことがある。まさか帯があるとは。今まで帯は一度も見たことがなかったので思わず抱えてしまった。牧神社の復刊版は、これの後版(カバーが異なる)は持っているのだが、こちらの方もお安く欲しかったところ。
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以下は前回のブログ以降に入手した古本。

イング「キリスト教神秘主義」(牧神社)1976年8月31日函帯美1760円
これは以前に元版を買ったが、牧神社による復刊本。牧神社の復刊本は面白いのだけど、元版についての解説が一切ないのがどうもなあと。

永井荷風「雨瀟瀟」(野田書房)昭和10年9月25日限定300部函19380円
これは高かった。函と本体背に図書館ラベル貼付されてあったが、きれいに剥がせた。元々和紙装幀なので剥がし跡も目立たない。これは今度書く原稿用の資料である。
しかし、買いまくっているなあ。散財もいいところである。