漁書日誌 3.0

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5月の趣味展

仕事やらなにやらと、前回のエントリからバタバタしているうちに一ヶ月が経過してしまった。正に須臾の間で、時々にお勉強用の本やら趣味の本などもポツポツと買ってはいたのだが、なんとなくそのままになってしまっていた。連休明けあたりから、いやここ数日か昼間は夏のような気温になり夜は少し冷えるといったような塩梅で体調を崩したりグズグズであったものの、久々の趣味展ということで古書会館へ向かった。
電車を乗り逃がして、結局は最後尾あたりに会場10分前くらいに到着して列んで、前の方とは違ってゆたゆたと進み会場へ。扶桑棚を中心に見て行く。今日はやけに伊藤永之介の本が目立ったのと、宇野千代の署名本がドッサリとあった。小山内薫の「北欧旅日記」の初版で、表紙が凾の意匠と同じでかなり薄い表紙の上製本を見つけた。この本は本来角背上製本貼凾入りで、本体表紙は無地のものを持っているのだが、これは異装本かと抱えていた。花袋の「野の花」重版並製本もだが、これも初版はクロス装上製本ではなかったか。といっても、両方とも逡巡の末に戻してしまった。
正午前に古書友人らと一緒に昼食のためにマルカうどんへ行き、その後喫茶店で一服。午後の部を13時過ぎからまた。次に扶桑ではない書店の棚で、新劇系パンフ1冊200円というのがズラッとあったので、そこから三島と安部公房のものを抱える。再度全体を見回ってから、最終的に何を買うか吟味。そろそろ疲労もマックスかという15時過ぎに会計。結局買ったのは以下のものであった。

小熊秀雄詩集」(耕進社)昭和10年5月25日初版凾欠1000円
日夏耿之介「瞳人閑語」(高陽社)大正14年3月21日初版凾欠800円
日夏耿之介「黄眠文学随筆」(桃蹊書房)昭和16年8月7日初版凾欠200円
小熊秀雄は今度文庫見つけたら買おうかなと思っていたのだが、ドンとそのものが千円であったので買ってしまった。文庫だと伏せ字部分は埋めてあるのであろうか。日夏のは、まあ読み物として。「瞳人閑語」の方は題字が水島爾保布チックだが、果たしてどうだろう。

金阜山人「四畳半襖の下張」(三希洞)昭和21年?200円
志田柳次郎「倒錯の群像」(龍書房)昭和34年1月25日初版カバ1000円
蕗谷虹児「花嫁人形」(国書刊行会)凾300円
「四畳半」はいろいろバージョンがあるし、既に「ユリイカ荷風特集やらなにやらで全文も普通に刊行されているので今更ではあるのだが、この三希洞私版のやつは前から名のみ聞いており200円ならと買ってみたもの。「花嫁人形」は国書刊行会の復刻版。そして「倒錯の群像」は表紙カバーを東郷青児が描いているが、昭和30年代同性愛小説として前々から安く探していたもの。

秋山庄太郎作品集「おんな・おとこ・ヨーロッパ」(文藝春秋新社)昭和36年11月1日初版カバ毛筆署名入800円
これはふと手に取ったら状態が良く(どうも元はビニルカバーがあったようなのだが、カケラのみで外れていた)、あれこれは昭和30年代の「婦人画報」とかの表紙で使った写真だなとか、文士がモデルになっていたりとかで、署名も入っているしまあいいかと気まぐれに買ってみたもの。

「文芸倶楽部」明治29年6月、1000円
中央公論大正3年9月、1000円
「クラク昭和2年9月口絵欠、1000円
ちょっと千円は高いかなあと随分迷ったが、買ってしまった。「文芸倶楽部」は桂舟の木版口絵が入っており鏡花が小説を発表している号。「中央公論」は谷崎の「饒太郎」初出。コピー持っているけれど、初出で比較的綺麗なものだったので。「クラク」はもちろん「苦楽」で、片仮名ロゴになる後期のもの。片仮名苦楽は1冊も持っていなかったので参考に。それから雑誌では以下のうれしい収穫。

酒井潔連続著述「談奇」6号(昭和5年10月30日)800円
先日1〜5号までの揃いを買ったので、全7冊の「談奇」はこれであと1冊を残すのみ。今回は、なんと1号から6号まで場にあり、6号のみ購入。この6号が確か発禁だった筈。
お次はパンフ類。


文学座三島由紀夫特集公演」パンフ
俳優座「どれい狩り」パンフ
安部公房スタジオ「ダム・ウェイター」「緑色のストッキング」「幽霊はここにいる」「ウエー」「友達」パンフ
俳優座「1970定期公演」ポスター
各200円
ポスターは「コメディアン」の附録という体裁で裏面もぎっしり文章がある。まあだいたい70年代の安部公房のものがメイン。こういうものは安いうちに買っておけば、おいおい使うことが出てくるかもしれない。
この他にも、少し前に眉山の「観音岩」とか柳浪の小説とかも買っているのだが、また機会があったらここで紹介したい。