漁書日誌 3.0

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春風の中の窓展

窓展である。ここのところ暑いくらいに暖かだったのが昨日急に冷え、そして今日の回復。今日はそれでも強めの風がありさわやかな春といった塩梅。
9時45分頃会場到着。趣味展に比べれば人は少ない方か。10時開場。一番奥のあきつ書店の棚に向かう。人が少ない。どけどけとばかりの老人客もいない。ゆったりとした感じで棚を見ることが出来た、窓展で朝イチにこういう状態は希有なのかもしれない。ザーッとみてから続けてみはる書房の棚を見ていると、かわほりがすごいよと古書仲間から情報が。行ってみる。痛みのある本全部800〜500円均一、のような棚。これがまあいろいろとゴチャゴチャあって堀り甲斐のある面白い棚。裏表紙が取れているけれど木版口絵はついてる風葉とか、凾が割れてしまっているが本体は綺麗な夢二装だとか、それぞれ欠点があるものの黒っぽいものでこれだけあれこれあると夢中になってしまう。一通りみてから、帳場に取り置きを預けて昼食に出る。古書仲間とマルカうどんを食べてから、コーヒー飲んで一服し、ちょいと田村の外ワゴンを覗いてからまた古書会館へ。
改めて会場を全部回ってから、お会計。

長田幹彦祇園待宵草」(春陽堂大正8年6月10日7版凾欠口絵欠800円
吉井勇祇園歌集」(新潮社)大正5年9月14日4版凾壊800円
下田惟直「胸より胸に」(交蘭社)大正12年5月15日初版凾800円
「古著百種」第1号、明治22年11月3日、300円
祇園待宵草」は夢二の多色刷木版口絵が欠だが、まあ「祇園歌集」がお安く入手できたからよいか。本体は綺麗なのだが凾は背欠でしかもパーツ毎にバラバラ状態。背の下半分を棚で探してようやく見つけ出してきたが、さて修理に手間がかかりそう。それから交蘭社の本は蕗谷虹児装幀、挿画。古著百種は、むろん、新著百種のまがい物というか類似品というかパロディというか。明治20年代の頭からこういうものがあったのかと面白がって購入。

小杉天外回顧録」(読売新聞社明治41年11月20日初版800円
谷崎潤一郎「愛すればこそ」(改造社大正11年6月5日3版凾500円
俳優座創作劇研究会パンフ200円
天外のは短篇集。巻頭には若い頃の肖像を掲げてある。谷崎のは田村外ワゴンで買ったものだが、貼題箋ではなく凾に直接タイトル著者名が印刷してあるもの。背も同じく。前に一度見たことがあるが、異装かなと参考のために購入。俳優座のパンフは三島由紀夫「火宅」初演のもの。

斉藤昌三「近代文芸筆禍史」(崇文堂)大正13年1月15日初版凾300円
斉藤昌三「閑板書国巡礼記」(書物展望社昭和8年12月29日限定千部凾欠献呈識語署名1500円
蛯原八郎「明治文学雑記」(学而書院)昭和10年7月20日凾800円
読み物と資料ということで。「明治文学雑記」は恥ずかしながら知らなかった本だが、これは明治初期の新聞小説論や新聞小説一覧など付録も付いてなかなか面白そうな本。書物関係といえば、以下もそうである。奢灞都館のフランス装本3冊。

コブデン=サンダスン「この世界を見よ」
ポラード「書物の余白」
生田耕作編著「フランスの愛書家たち」(奢灞都館)各400円