漁書日誌 3.0

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澁澤龍彦展、そして雨



先週の金曜日、世田谷文学館で土曜日より開催されている「澁澤龍彦展 ドラコニアの地平」の内覧会に誘われて行ってきた。一日雨、暗くなってからはちょっと雨脚も強くなってきたなか、17時からの閲覧のあと、18時より館長等の挨拶、その後澁澤未亡人、巖谷國士氏らのスピーチと立食。帰りには図録をおみやげにいただいた。それはそうと、展示内容。どちらかといえば、晩年の「高丘親王航海記」を中心としたといっては偏っているかもしれないが(創作ノート、初出に手を入れたものやメモなどズラリと展示)、1970年代以降の仕事がクローズアップされていた印象。
今回、これは初めて直に見たなあという資料としては、「モダン日本」編集部時代の名刺、「別冊新評」でお馴染みの男根サック(金色。会場には後年作成された同型のものが展示)、澁澤のパスポート(身長160センチと記載)、澁澤龍彦宛献呈署名入りの三島由紀夫『サド侯爵夫人』、吉行淳之介『驟雨』があった。会場中央部にある書斎を模した的な空間では、これもお馴染みアルチンボルド的な凸面鏡、サド侯爵の手紙に加えて、加納光於らの版画などが壁にかけてあり、中にピエール・モリニエや山本六三もあったのもまた印象的であった。

これは図録だが、平凡社から刊行されており普通に書店に流通している。中を読むと、会場の展示とはまたちょっとウェイトが異なった作りになっており、高橋睦郎細江英公両氏による対談など面白く読んだ。
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先週、今週に買った本。


青木育志・青木俊造「明治期の綜合出版社 青木嵩山堂」(アジア・ユーラシア綜合研究所)
林喜一「アキレ申候」(二松堂書店)大正3年1月27日初凾1000円
ウェルデニウス「ミメーシス」(未来社)カバ500円
青木嵩山堂の本は新刊書。東京堂にあると聞き駆けつけて購入。一緒に赴いた古書仲間もみな購入し、一気に6冊くらいうれていた。これは、青木嵩山堂についてのホームページをやっていた方が、そこに近々一冊にまとめるということを記していたので楽しみにしていたものである。発行所などからして、おそらくは自費出版かと思われ、早々に購入しないと品切れた後では大変と購入した次第。小説だと浪六から奴之助、風葉から水蔭などを刊行しているこの出版社については、従来断片的にしかわかっていなかったものだが、今後はこの本が基本となろう。
それから「アキレ申候」はネットオークション。社会の裏面を取り上げてあれこれと皮肉ったようなエッセイともいうべきか。前年に上下巻で別の版元から出て、どうも上巻収録2つのエッセイによって風俗壊乱で発売禁止になったようだ。これは翌年版元を変えて合本になったものだが、問題のエッセイは収録されている。伏字も見当たらぬ。これも発売禁止になったと聞くがちゃんと確認はしていない。それからもう1冊はお勉強用。