漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

白蟻と盲目

現在新国立劇場小劇場にて上演中の三島由紀夫作「白蟻の巣」に行ってきた。
演出/谷賢一 出演/平田満安蘭けい、石田佳央、村川絵梨半海一晃、熊坂理恵子
3月2〜19日(この後、兵庫、豊橋を巡演)


マチネのあとにトークショーがあるのである。おそらくこの戯曲の主人公的な位置にあるのは啓子だと思うが、啓子を演じた村川絵梨は大熱演という感じで、刈谷夫妻はもちろん、大杉も脇役として盛り立てていた。大熱演に過ぎてちょいと台詞が聞きづらいのはご愛敬か。
前に、初演と同じく青年座が小さなスペースで上演したのをもう10年くらい前に観に行ったことがある。その時は、初演で妙子を演じた東栄美子が車椅子で演じていた。三島生前はポツポツ上演されていた本作だが、没後はほんの数回だけで今回は久々の上演であろう。

(ロビーに展示してある装置模型*撮影許可済)
僭越ながら、ワタクシ、プログラムに一文寄せていますのでよろしくお願いします。
****************************
で、先日突然舞い込んだ扶桑書房目録で注文した品が届いた。

小山内薫「盲目」(四方堂)大正4年9月15日初版凾付3000円
いや、これは探求書であったので手ごろな価格で購入出来て嬉しい。小山内の戯曲ではなく小説本はちょっと集めているのである。「黄昏の世界」も入手出来たし、「盲目」も今回手にできたことでほぼ満足。
で、この版元の四方堂だが、発行者は小川正次。これって、山崎俊夫「童貞」の版元である小川四方堂のことではなかろうか。装幀的には、本体は丸背紙装上製本、無地の面白みがないものだが、どうも三方小口が黄色に染めてあるような感じ(紙の褪色でよくわからない)。それから、本体の背と凾の背題箋が、横書きで「盲目」とあるばかりで、版元や著者名は一切記されていないというもの。これもなんかちょっと不思議な感じである。