漁書日誌 3.0

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五反田展と夏日の土曜

暑い。まだ6月も半ばというのに30度越えの気温である。これが7月半ばならわかるのだが、暑い。昨日は、五反田展に行って来た。

まずは1階を漁っていく。「キネマ旬報」「映画芸術」が山ほどある。映芸もけっこう集めた筈だが、あれこれ持っていたかなあというのを2冊ほど。するとそこに月の輪書林さんが声をかけてくれた。月の輪さんは、今回の目録に「人魚通信」創刊号5000円を掲載していたのである。「人魚通信」とは、約10年ほど前に、神保町の古書バーである「人魚の嘆き」に集っていた古書仲間をメンバーとして創刊した古書趣味雑誌。雇われ編集は何を隠そう不肖ワタクシで、創刊号は200部、2号は500部で2号で休刊という3号雑誌にすらならなかったもの。しかし3名の注文者があって、無事欲しい方へ収まったとの由。目録では「麒麟」なんかと列んでいておおーと思ったことであった。
2階へ。ザーッと回って、今日はもう神保町でやっているぐろりや会には間に合わないなとじっくり見る。赤いドリルやおどりば文庫や澤口書店など、1冊200円300円祭かというほどに、安くて面白そうな資料や本がけっこう目についた。そうしてまた必要でもない本が増えていくのである。結局購入したのは以下。

堀内新泉「故郷を出つるの記」(成功雑誌社)明治43年7月20日再版裏表紙欠200円
尾崎紅葉「紅葉集2巻」(春陽堂明治42年10月25日再版凾欠300円
田中智学「国体の権化 明治天皇」(国柱産業株式会社書籍部)大正10年6月1日14版200円
巖谷小波「我が五十年」(久山社:復刻叢書)凾欠200円
「変態心理」大正14年10月号200円

朝日ソノラマ」(昭和35年1月)200円
映画芸術」(昭和43年1月号、44年9月号)各200円
映芸は1階で買ったもの。他は2階である。「我が五十年」は「これ復刻のように綺麗だな」と思ったら復刻であった。元々は大正9年5月に東亜堂から出た本だが、「復刻叢書 日本の児童文学理論」というシリーズで復刻されたらしい。こういう復刻本があるのは全く知らなかったけれども、硯友社まわりのことなども記してあって前から安く欲しかった。「紅葉集」はこの2巻を以てコンプリートだが、凾欠。凾付で揃えているので、また探さないと。堀内新泉の立志小説は、まあ安いので参考用に。読むことはないだろうなあ。表紙にドドンと貼られた図書館ラベルは、長野県神科村自彊図書館のもの。神科村は現在消滅してしまった村だが、当時、この本を読んで村を出た若い村人などいたのであろうか。「故郷を出つる記」読んで上京し、失敗して村に戻ってきて改めて湖処子「帰省」なんかを読む、とか。
朝日ソノラマ」は実は既に所持しているが、思わず。ソノシートが6枚綴じ込まれた雑誌で、スパイラル綴じになっているので、そのままレコードプレーヤーにかけられる。この中に各界著名人の1960年の抱負を述べたソノシートがあり、それに三島由紀夫が入っているのである。「変態心理」はゼーゲル夫妻の批判記事が興味津々。ゼーゲル夫妻追っかけている人はいないのだろうか。智学の本は、これ国柱産業株式会社というのは国柱会の運営でこういう株式会社組織にしていたのだなあ、と知る。
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そして土曜日。ぐろりや会には間に合わず。田村書店の外ワゴンを覗いて、扶桑書房に立ち寄り、その後久々に日本特価書籍まで行って古書を購入。夜帰宅してみると、マケプレやらヤフオクやらでの本が届いていた。

イェシュケ他編「初期観念論と初期ロマン主義」(昭和堂)カバ1300円
稲垣志代「夫 稲垣足穂」(芸術生活社)昭和46年10月4日初カバ300円
富島美子「女がうつる」(勁草書房)カバ帯840円
「游魚」2号375円
「游魚」3号574円
上から特価、田村、オク、マケプレという順。お勉強用。ポチポチ「夫 稲垣足穂」なんかを読んでみたが、しかし稲垣足穂の評伝書いている人っているのかしらん。関係者も次々と亡くなって、もう手を着けていないと間に合わないような気がする。
それから人に教えて貰って注文したのが雑誌「游魚」。この雑誌自体全く知らなかったのだけれども、なんといってもこの2号と3号は、松田修の私家版歌集「靠身文書」および「装飾古墳」を完全再録。これは、ということで購入。

游魚〈NO.3(2015)〉

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最近気になる本。
死刑執行人の日本史―歴史社会学からの接近 (青弓社ライブラリー)

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唐牛伝 敗者の戦後漂流

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東京モノクローム―戸田達雄・マヴォの頃

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日本人にとって日記とは何か (日記で読む日本史)

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石川三四郎と日本アナーキズム

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東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く

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明治・大正・昭和の化粧文化―時代背景と化粧・美容の変遷

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痴人の愛 朗読CD付 (海王社文庫)

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三島SM谷崎 (フィギュール彩)

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太宰治ブームの系譜 (未発選書 26)

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曾根崎艶話

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