漁書日誌 3.0

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春雷と雑書

昼過ぎから雲行きがあやしくなり、ポツポツ降って来たと思いきやゴロゴロと雷、と、勢いよく土砂降りの雨。そんな金曜日、五反田散歩展に向かう。ただし五反田はまだ雨降っていなかったらしく、古書会館二階で見ていたら「とうとう降って来た」と店の人らが騒いでいた。といっても、帰る時には既にやんでいたが。
注文品もなく、じっくりと1時間半かけて雑書を漁ったのが以下。

現代日本の底辺4「零細企業の労働者」(三一書房)初カバ月報200円
緒方克行「権力の陰謀」(現代史出版会)初カバ200円
樺美智子遺稿集「人しれず微笑まん」(三一新書)初帯200円
竹島茂「舞台裏の現代史」(三一新書)初カバ200円
叢書「現代日本の底辺」は月報付で探している本。川口の鋳物工やら花火工場、冨山の薬売りなどの実体とデータ。「権力の陰謀」は九頭竜事件をめぐるルポ。「舞台裏の現代史」は速記の歴史の本だが、なかに座談会の速記がいかに潤色されていくかという章があって興味深い。

福田恆存「明暗・崖のうへ」(新潮社)昭和31年2月29日初版凾200円
葛西善蔵感想集」(改造文庫昭和9年9月19日初版500円
ゴア・ヴィダール「マイラ」(早川書房)カバ帯200円
鷲尾洋三「忘れ得ぬ人々」(青蛙房)凾200円
一番高かったのが葛西善蔵の文庫。これは福武文庫版も持っているけれども、やはり元版も欲しかった。鷲尾は文藝春秋の編集者で、のちに出版局長になった人。

さて、上記とは別にここ数日くらいでネットオークションで思わず落札してしまい届いたものが以下。

鴇田英太郎「現代生活考」(ロゴス書院)昭和4年10月25日初版凾欠1000円
扇谷亜夫「そどみあ挽歌」(新鋭社)昭和33年7月5日初版凾1000円
「現代生活考」は戯曲集。谷崎潤一郎と室伏高信が序文。岡田時彦と同級の元映画俳優で、一応谷崎の自称弟子のようでもあるようだ。とはいえ、出版前にガンで手術し、結局転位して切除は無理だったようで、自序はほとんど遺書のような趣を呈している。戯曲「現代生活考」は小山内薫が大いに褒めて出版する時には是非序文をといっていたそうだが、その前に小山内が急逝した由。