漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

城北展終了5分前

城北古書展。初日。世は既に連休のところもある。
注文品は無し。しかも、ぐうたら家を出たので、古書会館には17時55分頃到着。これじゃあ入れてくれないかもと思ったが、すんなり入れてくれた。駆け足で見ていく。途中、値札が貼ってないが幾らだと聞いたお客がいて、どこの書展さんだ云々ということになり、閉場間際のもう会計にしてくれという動きがなく、その合間に…と、ザッと一周した。で、購入したのは以下。

根本繁男「柾它希家の人々」(冥草舎)昭和50年7月30日凾筒外凾限定千部美800円
村と町との生活記録文集「つまずいてもころんでも」(淡路書房)昭和30年5月12日カバ帯200円
この「柾它希(まさたけ)家の人々」というのは前々から少し気になっていた。冥草舎から出ているというのも一癖ありそうだし、布装貼凾に段ボール筒外凾、背は革のように見えるがビニールのようなクロスで、しかし平は本物(印刷ではない)マーブル紙、小口は三方黒染。

冥草舎だけあって、なかなか凝った装幀をしている。月報のような冊子が2冊付録で付いて、だいたい古書価2千円くらいなのだが、千円以下で探していた。どうだろう、大ハズレなのかもしれないし、あるいは…。もともとは「近代文学」昭和30年4月から連載開始されたあと中断、昭和42年に「南北」に続きが連載され完結したという。著者については何も知らない。装幀については、何かこうちょっと桃源社っぽい感じもなきにしもあらずという印象。
続いての「つまずいてもころんでも」は、いつものワタクシの雑書趣味で。全国の各種職場サークル同人誌などに発表された、味気のない私小説のような、過酷な労働と冷酷な村社会の生活記録のようなものの集大成。当時あった「生活をつづる会」「生活記録運動」の一環のようである。序文には、若者よ身体を鍛えておけ、などとどっかで聞いたことのある歌詞のような文句が〆の言葉として出ていた。1950年代の左翼運動で出て来た前衛と記録という二つの道の一つである。紡績女工の嘆きや地方銀行員がデモに参加して興奮するさまなど。そういえば、職場サークル運動って聞かないなあ。
もう一冊写っている、植村和秀「昭和の思想」(講談社選書メチエ)は、その後、靖国通り沿いの古書店にて購入。

ヒュウザン会前後―光太郎伝試稿

ヒュウザン会前後―光太郎伝試稿

最後の祝宴

最後の祝宴