漁書日誌 3.0

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池袋から窓へ

 水曜日、池袋リブロならぬ三省堂池袋店古本まつりの初日であった。夕方、向かう。注文品、珍しく4点くらい注文していたが、なんとか1点のみ確保。細かく見て行くと、あっと言う間に3時間とか経過してしまう。

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泉鏡花「りんだうとなでしこ」(プラトン社)大正13年7月5日初版凾4000円

川端康成「僕の標本室」(新潮社:新興芸術派叢書)昭和5年4月20日12版1000円

注文品は鏡花。凾のこの緑の題箋が擦れやすく背も焼けているのが多い(この凾は谷崎潤一郎の「無明と愛染」と同じ意匠で、あちらもこのアート紙のような題箋が擦れまくる)。前に五反田だったかで裸ならば500円で買ったことがあるし本自体はそこまで魅力がないが、状態がよければというところか。川端の方は重版だし背も少し痛んでいるが、これでも十年くらい前は6千円くらいしたなあとか。モダニズムはもう食傷気味なのだが、まあ千円ならと買ってしまう。

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瀬沼壽雄編「水守亀之助書誌と作品」(京王書房)カバ700円

蒲原有明「夢は呼び交わす」(岩波文庫)カバ200円

雑誌「えこた」2号(1971.3)300円

瀬沼壽雄氏という人は、古書会館にベンツで乗り付け、お伴の女性秘書と一緒に古書展会場を歩いているという伝説のイメージが強い。伝説というか何度も趣味展などの朝イチの行列に並んでいるのを見ているが、ぶいぶい言わせていた頃の伝説は幾つか聞いたことがある。この他に、十一谷義三郎、片岡鉄兵の書誌も出ているけれども、いままで十一谷しか持っていなかった。十一谷のは限定300部、片岡鉄兵は限定350部、では水守はというと限定部数記載無し。といって300部くらいと思うが。しかし今はもう千円以下か。「えこた」は昭和48年の日本大学芸術学部の雑誌研究というゼミの雑誌。三島由紀夫文献として買ったのだが、巻頭にはヌードグラビアとか掲載されていて、大学のゼミの雑誌でヌードとはと時代性を感じる。

そして、今日金曜は、窓展初日。

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土井晩翠「暁鐘」(有千閣)明治35年7月5日3版カバ500円

中村利器太郎「私より見たる三越回顧録」(日本百貨店通信社)1500円

「書物展望」(1935.5)200円

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小山内薫「霧積」(春陽堂:現代文芸叢書)大正1年9月13日3版背痛200円

 斎藤茂「喜劇 新聞記者」(アカギ叢書)大正3年6月20日3版200円

徳永直「光をかかげる人々」(河出書房)昭和18年11月20日初版カバ400円

野坂昭如編「弱者の悪知恵」(青春出版社)昭和40年12月15日初版カバ300円

「光をかかげる人々」は本木昌造関係作品というか、近代活字史への興味から前々より適価で探していたもの。「暁鐘」は重版だがカバーが嬉しい。

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ルイス・キャロル(矢川澄子訳)「鏡の国のアリス」(新潮社)カバ400円

ハンス・ベルティング「美術史の終焉?」(勁草書房)カバ帯200円

アリスは、文庫でも出ているけれどもこれは大判の画集というか絵本のような体裁。ドゥシャン・カーライ挿絵。1991年の初版で定価5500円だからなかなかのものである。勁草書房の本は中に鉛筆でライン引きがあるためにこの値段。