漁書日誌 3.0

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渋谷東急東横の最後

谷東急東横大古本市って、いつくらいから行くようになったのかあまり覚えていない。覚えてはいないのだが、自分のホームページの記述を検索してみると、2004年8月28日がいちばん最初の記述のようだ。してみると16年にもなるのか。その間、だいたい毎回通っていると思う。渋谷東急は会場が他に比べて広い印象で、21時までやっているものだからじっくり見れてしまう。だからなのか、いつもここにくるとぐったり疲れるような記憶。新宿伊勢丹も、小田急新宿もというふうにお馴染みのデパート展がどんどんと消えていく。通い始めたのはついこの間という気もするのだが、16年というのはけっこうしんどい年月だ。

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で。さすがに朝イチの気力はない。いつも夕方である。初日である2月20日の18時過ぎに到着。しかも次に予定があり40分くらいザッとみて終了。それでも2冊を購入。

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澁澤龍彦「高丘親王航海記」(平凡社)昭和62年10月25日初版凾帯300円

ジョン・パリス「空間と視線」(美術公論社)初凾1000円

実は澁澤晩年の本って持っておらず。こないだ「龍彦親王航海記」も出たことだしと、初版だったので買ってみた。帯の背の部分にブックオフの105円のレッテルが貼付されたままだったが、これは古書店がわざと残して出してるのかなどと思ったことであった。「空間と視線」はちょっと読んでおきたく前から見つけたらと思っていたもの。ちょっとしか見られなかったが、この時にチラとみた本が気になってしまい、結局翌日の夜また会場に行ってしまった。

翌日というのは金曜日。ぐろりや会の初日である。

30分くらいザッとまわり、結局買ったのは以下。

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デザインの現場編集部編「本づくり大全」(美術出版社)重カバ300円

復刻版「夏目漱石山鳥」原稿」(ほるぷ)500円

「本づくり大全」はいろいろと勉強になった。なかに須川バインダリーがドドンと取り上げられていて、こんな記事知らなかったと今更ながらに購入。

それから渋谷へ向かう。渋谷東急である。半蔵門線神保町駅から行こうと古書会館から歩いていく。田村書店の外ワゴンをフト見る。そこにちょっとボロい重版の「夏くさ」を発見。迷ったが買ってしまった。

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島崎藤村「夏くさ」(春陽堂明治36年3月16日4版少痛汚2000円

決して安くはないが、この「夏くさ」は6名の画家が挿絵を描いている。明治から大正頭くらいまでの美術と文学関連でこれはちょっと持っていたいなと無理矢理理由を付けて納得。というのは、渋谷で買おうと思っている本が少々値が張るのである。渋谷、会場に着いて一目散に昨夜見たところの棚に向かう。あった。

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佐々木健一「フランスを中心とする18世紀美学史の研究」(岩波書店)初カバ6000円

昨日この値段で出ているのを見かけてしまってから気になって逡巡していたものである。定価の半額、しかもあんまり古書で出ないし安くもならない印象で、悩んだがいってしまう。まあお勉強用の本。もう金もないけれども、一応と会場をじっくり見ていく。

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金子国義「メトミニー」(アスタルテ書房)内容見本200円

「アートシアター」500円

「メトミニー」の内容見本は大判のもので、これだけでもなかなかのもの。「アートシアター」は、写真のように「ポリー・マグーお前は誰だ」のパンフ。なかにチラシやアートシアター友の会入会申込書などが挟まっていたので購入。

そして帰宅してみると、先日の扶桑書房目録速報で注文した本が届いていた。

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永井龍男「絵本」(四季社)昭和9年6月5日限定350部記番帙欠3200円

なんで急に永井龍男をというふうに不審に思われる読者もいるかもしれないが、この四季社の限定本、実は学生時代の三島由紀夫が持っていて、こういう限定本を将来作りたい云々と書簡で語っていたような、曖昧な記憶があって注文したものであった。350部のうち50部が著者自家用で署名入り。これは署名無し。

結局は、金曜日1日でかなりの散財。そんな余裕はないのに…。