漁書日誌 3.0

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桜の谷崎潤一郎展

4月3日、翌日より開催の谷崎潤一郎展@神奈川近代文学館に赴いた。
実は数点展示物を提供していたりするので、開催前日の内覧に招待されていたのである。強風のためちょっと散ってしまったが、桜もまだ見頃である。


20度前後の暖かい日。14時から主催者挨拶、その後立食など。
明治から戦後まで谷崎の資料がズラリとあり、各時代のスポットもキチッとおさえ、なおかつ、ありきたりではない珍しい資料などもあって堪能。とりわけ興味深かったのが、原稿類だが、その所蔵がひとつひとつキャプションで記されていたことである。個人蔵は仕方がないが、国会図書館に「二人の稚児」の原稿があるとか、山梨にはあれ、神近にはこれ、という風によくわかる。それと谷崎旧蔵の洋書なども珍しい。谷崎展は、ここでは98年にやってから17年ぶり。

没後50年 谷崎潤一郎展神奈川近代文学館4月4日〜5月24日

さて、それはさておき帰宅して見ると先日届いた扶桑書房目録で注文した本が届いていた。

広津柳浪「女馬士」(春陽堂春陽文庫8)明治31年3月10日発行3000円
をんなまご、と読む。この春陽文庫、まあ雑誌形式の吉岡書店:新著百種みたいな形式のものだが、第1の桜痴「大策士」から第10の篁村「いへ物語」まで10冊出ているようだ。で、面白いのが裏表紙。

下部に小さく「世評やかましきにつき/試に長襦袢を着せたる裸体画」とキャプションが入っている。お、ということは美妙の「胡蝶」のアレかと思ったのだが、時代が10年近く違うし、鴎外とか樗牛とかの美術裸体画関係の論争時だったかと思ったが、それも数年前のようだ。明治30年なにかあったっけか。個人の単行本ではこうはいかないだろうし、雑誌形式というところで即座に世評に反応した硯友社のしゃれっ気のようなものか。