相変わらず緊急事態宣下中であり、古書展はなかなか開催されない。無駄にお金を使わないことはよいことではある。が、そもそも2月頭は採点で猛烈に忙しく、締切に遅れている原稿などもあり気の休まる暇も無い。
というところに来たのが扶桑書房目録。
泉鏡花「白鷺」(春陽堂)明治43年2月15日初版裸7500円
三島由紀夫「仮面の告白」(河出書房)昭和25年3月20日4版カバ2000円
欲しいところ残っていた。「白鷺」は金子薫園木版口絵付。嬉しい。そして「仮面の告白」は最後の重版である4版。背焼けはしているがまずまずの状態のカバー。
そして、ついついストレスゆえか、ネットオークションやら日本の古本屋でも買い物してしまう。
「校訂 一葉全集」(博文館)明治39年10月5日19版カバ1530円
重版は既に所持(表紙が木版のものと印刷のものと)しているのだが、カバー狙いで。一葉全集はどの版から表紙が木版ではなく印刷になったのか。こういうのは重版をひとつひとつ確認しないとわからないだろうなあ。
吉田健一「交遊録」(新潮社)昭和49年5月30日限定500部凾1650円
サインが入っているわけでもないのでもともと高い本ではないけれども、前から欲しかった本。凾の差し入れ口の革がボロボロなので格安であった。これは流布本よりも判型が大きく、本文は罫線で囲まれ、用紙は真珠アルトン。見返しは手染めマーブルか。無染革で流布本とは用紙と判型を変え、ただ革で包んだだけでも版画を入れただけでもない、これだけのためというエディションで、シンプルな造本はストイックな限定版という感じがする。用紙などは同時期新潮社発行の「三島由紀夫全集」特装版やら吉行淳之介「湿った空乾いた空」特装と同じ。吉田健一はよい読者ではないけれども、これは愛蔵に耐える。
それからこれは先月買った本だが、春陽堂より復刻された「人魚の嘆き・魔術師」をようやく購入。
出版は昨年末だけれどもそのうちと思っているといつの間にか絶版になっていたりするので。左は架蔵の初版本。院生時代にバイトでお金貯めて買った記憶が蘇りました。巻末解説には拙著も言及されています。やっぱり水島爾保布のあの挿絵は文庫本だと細い線が潰れてしまうのでこのくらいの判型で見たいものです。
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昨年は三島由紀夫没後50周年ということで種々のイベントがありましたが、イタリア・トリノで開催されるはずがコロナで中止になった三島由紀夫展に合わせた三島由紀夫論集が刊行されました。
Teresa Ciapparoni La Rocca編『MISHIMA MONOGATARI UN SAMURAI DELLE ARTI』(Lindau, 2020)
こちらに拙稿伊訳「Mishima Yukio : scrittore, attore, performer」を寄稿しております。
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