漁書日誌 3.0

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ぐろりや会そして神保町おさめ

神保町での忘年会に参加してきた。
その前に閉会間際のぐろりや会を覗く。閉場10分前でザーッと見たが、何も買うものは無かった。その後、田村書店に行き、ザッと見る。入って右側の社会科学関係が2割引であったが、お勉強用に探していた本を見つけ思わず購入してしまう(これは二割引ではない)。

バッチェン「写真のアルケオロジー」(青弓社)カバ3000円
泉鏡花柳田国男「山海評判記/オシラ神の話」(ちくま文庫)カバ帯800円
福井憲彦「時間と習俗の社会史」(ちくま学芸文庫)カバ230円
奥付見たら「写真のアルケオロジー」って地震前の出版物だったんだなあと。定価5000円は高いと古書で探すも3000円台は見かけなかった。photographers'spressとか買ってバッチェンの論考読んだなあというのも数年前か。鏡花と柳田国男のは、新刊で買おう買おうと思いつつも後回しになりいつしか新刊書店では帯付きが消えておりそのままになっていた。雪岱挿絵入り文庫。千円超えの文庫はけっこうキツイ。最後のちくま学芸文庫は、お勉強用にマケプレ購入したもの。
マケプレ購入といえば、近頃も幾つか購入しているのでそれもついでに出しておく。

篠山隆「ドラマと観客」(研究社出版)カバ帯499円
岩波講座現代社会学別巻「現代社会学の理論と方法」(岩波書店)カバ帯130円
浜崎洋介福田恆存「国家とは何か」(文春学芸ライブラリ)新刊
マケプレづくと千円以上の本が高く感じる。その感覚こそおかしい筈なのだが。マケプレの登場で、こういう古書に対する相場感覚は完全に転回点を迎えた。
それから三冊目の福田恆存は、全く別で、友人である評論家・浜崎洋介君の新編著。編者から直接いただきました。感謝です。前編著の「保守とは何か」に続けて第二弾の「国家とは何か」。福田思想のエッセンスを見立てよく凝縮させたエッセイ集で、なおかつそれ以上に編者による解説が初心者にも親切でありつつ芯のある文章で読ませるのが魅力。福田恆存ルネサンス来る! 今こそアクチュアルな福田をこの一冊で。

それからここのところネット経由で入手した古書も書いておく。


夏川静江「私のスタヂオ生活 第四巻」(私家版)昭和8年5月15日凾2611円
長田秀雄「午前二時」(玄文社)大正7年10月23日再版凾欠1600円
中央公論大正7年7月臨時増刊・秘密と開放号3500円
「私のスタヂオ生活」はネットオークションで入手。出版社から刊行されている版もあるけれども、このキュートな木版装表紙の私家版非売品のこれが欲しかった。もっと高くなるかと思いきやこのくらいで落札出来たのはよかった。写真もたっぷり入っていてこれは楽しく読書できそう。それから長田幹彦の兄・長田秀雄の本は橋口五葉木版装幀。須原啓興社から出ている素木しづの「悲しみの日より」もこんな風な鹿の絵の五葉の表紙だったような気がするが……なんて書いたが、これは勘違いで、同じく玄文社から出ている「美しき牢獄」がこれと同じ装幀であった(読者某氏よりご指摘、感謝)。
そして「中央公論」の秘密と開放号! もうこれは十年以上の探求書であった。「芸術的新探偵小説」と称して谷崎や芥川らの諸篇が掲載。この号、なかなか見かけないのですよ。目次は例えば以下のような感じ。「二人の芸術家の話」は後に「金と銀」に改題。

ということで、古書展では最近あまり買ってはいないけれども、けっこうポツポツと金遣いが荒く、この年末いろいろと苦慮している。しかしまあ、この秘密と開放号もそうだけれども、谷崎の「金色の死」も今年は入手出来たし、長年の探求書が入手出来た一年であった。
この益々世知辛くなっていく昨今、もしかしたら来年以降こんな風なこともなくなるなんてこともありえる、無職渡世の貧書生。こうやってますます了見の狭い文献オタクになり果ててバイトしながら滅んでいく中年になるのだろうなと思うと暗澹たる気にしかならない。来年はますますケチになっていきそうである(笑)