漁書日誌 3.0

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花粉舞う古書展

数日前から、どうにも眼がかゆい。そろそろ花粉が舞っているな、と思う。たしかにそういう季節ではある。昼間こそ少し暖かくなってきたような気もするが、やはり陽が落ちてからは寒い日が続く。先日来た扶桑目録も欲しいものはすべて売り切れであったし、最近古書展も行けてないということもあってか、よせばよいのに古書店マケプレで古書を買ってしまう。

住吉雅美「哄笑するエゴイスト」(風行社)カバ1600円
シュタンツェル「物語の構造」(岩波書店)カバ2578円
八木雄二「神を哲学した中世」(新潮選書)カバ891円
永嶺重敏オッペケペー節と明治」(文春新書)新刊定価
オッペケペーのみ新刊書店で購入。「哄笑するエゴイスト」は、シュティルナー論でプレミアが付いているようだが安く地元の本屋で発見したもの。博士論文の単行本化。シュタンツェルなんかも今更だが、じゃあちょっと読んでみるかと思うと今これも結構高くてマケプレで価格が下がった時にすかさず注文したもの。こんなの岩波現代文庫入れれば一発だのに。
で、今日は目録注文していた西部古書展初日。上記のものを買う前に注文してしまっていたが、いつもながらに不急不要のもの。その後こんなに買うなら…というのもなきにしもあらずだが、電話してみると当たっているというので、高円寺に久々に向かう。

17時半過ぎに高円寺駅到着。正味20分くらいだが、会場を見ていく。黒っぽいものも混ざっていて、じっくり見たら面白い資料もあったかもしれない。結局、会場で買ったのは以下。

川端柳太郎「小説と時間」(朝日選書)カバ200円
池田浩士ファシズムと文学」(白水叢書)カバ300円
板野潤治「未完の明治維新」(ちくま新書)カバ帯150円
雑誌「演劇」創刊号帯付200円
まあお勉強用の安い本ばかり。「演劇」は三島由紀夫も同人だった雲の会の機関誌で、見つけたら買うようにしているもの。帯は、帯というより帯的な紙片が表紙下部に貼付されている。雑誌でたまにある。
で、注文品である。

酒井潔連続著述「談奇」1巻1号〜5号揃7000円
酒井潔の個人雑誌である。表紙も自分というもので、正確には「連続著述」。「未読の書の整理」のために発刊したという(1号「巻末に」)。発行は国際文献刊行会で、昭和5年5月25日の1号から同年9月30日発行の5号まで。本当は6号と7号があり、6号が発売禁止。うっかり全揃いと思っていたが甘かった。シェークスピア劇における毒薬の研究から珍書解題、回春料理からお風呂談義、南方熊楠訪問記等々。後記が実は面白く、酒井潔は当時ラジオに出演していたことなども初めて知った。「趣味の講座」という番組で、「降霊魔術」を話すつもりが、電報の行き違いで放送延期になってしまったとか書いてあるのだが、これは昭和5年当時実際に放送されたのであろうか。しかし趣味の講座で降霊魔術を話すとは。ケチな話だが、これ5千円くらいだったらなあと思う。注文者は己のみ。いまはそこまで酒井潔にこだわりはないが、まあ勢いで注文してしまったもの。勢いだから確認もせず中途半端な揃いを注文してしまった。嗚呼。


その後も、せっかく高円寺くんだりまで来たのだからということで、学生時代のように、高円寺から中央線の高架下を歩いて阿佐ヶ谷まで出て、パサージュ阿佐ヶ谷の千章堂書店、荻窪ささま書店西荻音羽館とまわる。よせばいいのに、また手を出してしまい、数冊買ってしまう。

大橋崇行「言語と思想の言説」(笠間書院)カバ帯1600円
デカルト省察」(ちくま学芸文庫)カバ500円
武田徹「「隔離」という病」(中公文庫)カバ300円
青木冨貴子「占領史追跡」(新潮文庫)カバ200円
荒戸源次郎編集「陽炎座」(群雄社出版)凾帯汚800円
陽炎座」は御存知鈴木清順の鏡花原作映画の本。脚本と種村の鏡花論など。35ミリフィルムがおまけで1コマ添付されている。変な製本で読みづらいったらありゃしない。いちおうアダプテーション研究用資料。凾が薄汚れているので安い。「言語と思想の言説」は山田美妙の研究書。昨秋でたばかりの本でおそらく未読ピンピンの本。半額近くで買えて良かった。クタクタになりながらも、そのまま喫茶店へ駆け込んで、一服。